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アイレップと探るライブコマース最前線(AD)

ライブコマースの「3P」とは? 失敗しない場の選び方と見るべき指標【アイレップ×パロニム対談】

 ライブコマースへの注目が高まっている。特に若年層を中心に、数年前とは異なる使われ方で浸透している状況だ。本連載では“2022年型”のライブコマースの特徴を「場」「人」「コンテンツ」の観点で整理。第1回にあたる本稿では、最適な場の選び方やKPIの設定方法などについて、アイレップの武者慶佑氏とパロニムの小林道生氏に聞いた。

ライブコマースの「3P」

MarkeZine編集部(以下、MZ):初めにお二方の自己紹介をお願いします。

武者:アイレップでライブコマース・エヴァンジェリストを務めています。ライブコマースを再現性のある形で科学し、実践可能な形に体系化していくことが私のミッションです。業務内容としては、ライブコマースを実行されたいクライアント様の制作から分析まで、統合的にサポートしています。

アイレップ ライブコマース・エヴァンジェリスト 武者慶佑氏
アイレップ ライブコマース・エヴァンジェリスト 武者慶佑氏

小林:インタラクティブ動画技術「Tig(ティグ)」を開発・提供するパロニムにおいて、CEOを務めています。Tigでは映像内の対象物をタップすると、詳細ページへとシームレスに遷移させることが可能です。

パロニム 代表取締役 小林道生氏
パロニム 代表取締役 小林道生氏

MZ:「ライブコマースを始めたいが、何からどう着手すれば良いかわからない」と感じる担当者は少なくありません。実践にあたり、押さえておくべきポイントはありますか。

武者:ライブコマースにおいては「場」「人」「コンテンツ」の3つが鍵となります。これらの要素は「プラットフォーム」「プレーヤー」「プログラム」という3つのPで整理するとわかりやすいかもしれません。

 3つのPは三位一体。最新のプラットフォームを活用しても、出演するプレーヤーと打ち出すプログラムがともなわないライブコマースはつまらないため、セットで考える必要があります。

小林:最も重要なのは「顧客と長期的にどのような関係を育んでいきたいのか」を考えること。「自分たちのブランドが持つ世界観や商品の魅力をどう伝えたいのか」「顧客との関係をどう築いていきたいのか」をまずは明確にし、その上でマッチするプラットフォームを選べば良いのです。

 自社の世界観が伝わっていない状態で、いきなりタレントやインフルエンサーを起用して大量のビューを集めようとすると失敗しやすいため、最初はブランドや商品に詳しい自社のスタッフをプレーヤーとし、インハウスで始めるのがポイントです。

「I wanna pay you」を醸成するためには

小林:ライブコマースのコンテンツを作るにあたり、テレビ番組からは学ぶところがあると考えています。出演者や構成など、番組のベースとなるフォーマットを設定しておくと、ユーザーは既視感や安心感を覚えますよね。人は知らない相手や場所から物は買わないので、既視感や安心感が購買につながるのです。

武者:ブランドとの関係性が構築されていて、世界観に共感している人が商品を買っているだけであり、ライブコマースという手段が物を買わせているわけではないのです。テレビの帯番組のように、決まったフォーマットの中で「第1週はこのコーナー」「第2週はこのコーナー」という構成にすると、視聴者に安心感を与えつつ飽きさせないライブコマースが実現できるのではないでしょうか。

小林:ECとの大きな違いは「ここまでしてくれた相手から商品を買いたい」という気持ちが醸成される点にあると思っています。当社では「I wanna pay you文化」と名付けているのですが、この文化を実現するためには視聴者ドリブンになることが重要です。

武者:配信者が、視聴者からのコメントを拾いつつプログラムを盛り上げる“DJスキル”を持っているかどうかもポイントですよね。デジタルネイティブの配信者はそうした振る舞いが自然にできる一方、企業が主体になるとライブ感は損なわれがちです。プログラムの盛り上げ方をフレームワーク化し、ライブコマースの効果的な活用方法を伝えていくことが我々エージェンシーの使命だと感じています。

SNS型・SaaS型・モール型の場が持つ特徴

MZ:ライブコマースの場(プラットフォーム)は「SNS型」「SaaS型」「モール型」の3つに分類できるとうかがいました。それぞれどのような特徴があるのでしょうか。

武者:InstagramやLINE、TwitterなどのSNSプラットフォームに備わるライブ配信機能の大きな特徴は、無料でライブコマースにトライできるところです。自社のアカウントが抱えているフォロワーを呼び込んで、購入への意識付けが行える点も強みと言えます。

武者:しかしながらSNS自体にコマース機能は付いていないため、動画の中で購買まで完結するわけではありません。ECサイトとの連携を通じてその場で“ポチれる”という意味では、TigなどのSaaS型プラットフォームに優位性があります。もちろん、そこへの送客手段としてSNSは必要不可欠です。

小林:SaaS型プラットフォームのメリットは、様々なSNSにライブ動画のURLを投稿するだけで集客が図れる点にあります。インスタライブの場合はInstagramのフォロワーにしかリーチできませんが、SaaS型であればプラットフォームを問わずリーチが可能です。またBtoBに特化している分、ライブコマースに必要な機能が洗練されているとも思います。

武者:近年ではアマゾンや楽天などのECモールにもライブ機能が搭載されていますよね。この場合、ユーザーの目的はあくまでモールにおける買い物であり、ライブ視聴ではないんです。ただ、中国ではモール上のライブ動画を経由して一定の売上が生まれている事例もあるため、日本でもユーザー側にライブコマースが浸透すれば、モール型の可能性も開かれていくかもしれません。

KPIを設計する前にやるべきこと

MZ:ここからはライブコマースのKPIについてお聞きします。昨今のライブコマースはCRM施策の要素が強く、KPIをどう設計すべきか悩む担当者も多いようです。見るべき指標や評価のポイントを教えていただけますか。

武者:KPIを設計する前に、先ほど小林さんがおっしゃった「顧客との関係値」「伝えたい世界観」を明確にすることが大切です。その上で「ロイヤルカスタマーの醸成」を目的とする場合、離脱率や視聴時間を指標にすると良いでしょう。離脱率や視聴時間を左右するのはプレーヤー(人)とプログラム(コンテンツ)です。

小林:私は「視聴完了率」も重要な指標だと考えています。視聴完了率の高さはコンテンツの充実度合いを表すからです。様々なコンテンツが生活者の可処分時間を奪い合う中、平日の夜に30~40分を割いてもらえるライブには何らかの価値があると言えます。

武者:またコメントも重要な指標の1つです。コメントの数でライブの盛り上がりはある程度可視化できますし、コメント数の推移によって盛り上がりの波が見えてきます。仮に100件のコメントが付いた場合、その内訳が「1人につき1件×100人分」なのか「1人につき10件×10人分」なのかによって、意味合いは大きく違ってきますよね。さらにコメントをテキストマイニングすれば、ユーザーの反応を定量化することも可能です。

最初から視聴数を狙い過ぎるのはNG

小林:配信後のアーカイブ視聴数も無視できません。ライブを観た後にアーカイブでもう1度確認したいユーザーはロイヤルティが相当高いと言えますし「ライブは見逃がしたものの、アーカイブは観たい」というユーザーも、今後の“ライブ視聴者予備軍”と捉えてアプローチすべきです。離脱率、視聴時間、視聴完了率、コメント、アーカイブ視聴数まで見て、ここでやっと「視聴数」に目を向けるべきではないでしょうか。

武者:「視聴数の減少」も、場合によってはポジと捉えられますよね。たとえば800人の視聴者が途中で200人まで減ったとしても、商品を購入するために離脱している可能性があるからです。「買ったらまた戻ってきてね」「買った商品を報告してね」という呼びかけもプレーヤーのスキルの1つ。大事なのは、視聴数にとらわれ過ぎないことです。

小林:最初から視聴数やカート誘導率、LP滞在率、CVRなどの指標を狙い過ぎると長続きしません。視聴完了率が高い配信やコメントの質が高い配信は、自ずと視聴数も増えていくんです。当社のクライアントの中には、半年~1年間地道に継続した結果50~100倍の効果が出ているところもざらにあります。

ライブコマースを「第3の場所」と捉えよ

MZ:2022年に企業がライブコマースを取り入れる際のポイントを教えてください。

武者:2017~2018年のライブコマースは「中国で流行っているやり方をそのままトレースすれば売れるのでは?」という希望的観測のもと始まりました。しかしながら、実際にはそうならなかった。時を経て2020年以降のライブコマースは、コロナ禍における「リアル接客の代替策」として注目を集めました。

 これからは、リアルとデジタルの“良いとこ取り”をした第3の場所として活用する視点が不可欠。ライブコマースを1つのチャネルとして設計することが、2022年以降のポイントだと思います。

小林:そうですね。単発の配信で費用対効果を出そうとするのではなく、LTVの観点でライブコマースを設計・評価すべきだと思います。上手く活用しているクライアントは軒並みLTVを意識して取り組み、成果につなげています。

 加えて、コロナで変化した生活の常識に寄り添っていけるかどうかもポイントだと考えています。ある調査によると、自身のオフタイムにおける1時間に対し、リモートワーク「有」の生活者が「無」の生活者の2 倍以上の価値を感じていることがわかっています(出典:ジェイアール東日本企画『EKISUMER』VOL.48)。生活者の時間の使い方が多様化し、可処分時間の価値が高まる今、短時間でも深く刺さるコンテンツが求められるのではないでしょうか。

武者:DXが進む生活者の暮らしの中には、ライブコマースという接点が入り込む余地もあるはずなのです。そう考えると、これからのライブコマースはもっと面白くなると思います。

ライブコマースの事例を徹底分析!

本記事に登場した武者氏と小林氏は、2022年8月23日(火)の「年間700超のライブコマース配信事例を徹底分析!~ライブコマース成功のルールとは?~ウェビナー」に登壇します。「ライブコマースの設計方法」「目標とすべきKPI」「本当に最適なプラットフォーム」について、具体的な事例を基にディスカッション。ライブコマースを実施しているものの成果に繋がらずお悩みの方や、ライブコマースの配信設計に課題をお持ちの方は、ぜひご参加ください。

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/02 10:00 https://markezine.jp/article/detail/39369