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電通プロモーションプラスが最優秀賞を受賞!ファミマが高評価したLINE×店舗送客のプランとは?

 LINE社主催のパートナー企業向けプランニングコンテスト「LINE Planning Contest 2022」。今回で4回目の開催となった同コンテストでは、ファミリーマートのRFPへ企画を提案した電通プロモーションプラスが最優秀賞を受賞した。両社への取材を通し、「LINE×店舗送客」を狙ったプラン「ファミマル国民審査」の企画内容やプランニングまでの過程、高評価を得た理由などについて話を伺う。

※撮影時のみマスクを外しております

コンテスト当時、メンバー4名中2名は入社1年目

 今回のLINE Planning Contest 2022では、協賛企業としてオープンハウスとファミリーマートがRFPを提供。22社69プランの応募があり、一次選考を通過した5社10チームが最終選考に臨んだ。

 結果、最優秀賞に輝いたのは、株式会社ファミリーマートに対して提案を行った電通プロモーションプラスだ。

 電通プロモーションプラスは前回、前々回と優秀賞に選出されていたが、最優秀賞に選出されたのは今回が初めて。チームはリーダーであるプランナー・五十嵐氏をはじめ4名で構成されているが、内2名はコンテスト当時、入社1年目だったという。

(左から)株式会社電通プロモーションプラス OMOプランニング事業部 プランニング・CR2部 コミュニケーションプランナー 五十嵐響介氏
同事業部 プランニング・CR3部 プランナー/アートディレクター 高橋ひなの氏
同事業部 プランニング・CR2部 プランナー 齋藤晃平氏
同社CXソリューション開発事業部 プラットフォームビジネス開発部 デジタルマーケター 高橋遼氏(同社のLINE活用サービス「1/0(ワンゼロ)」の担当)

 「社としてLINEを活用したプロモーションを多数手がけてきましたので『LINE Planning Contest』には毎年参加していますが、今回は改めて決勝進出や受賞を見据え、開発実装面だけでなく、LINE起点でありながらオンラインとオフラインを統合した企画を意識し、プランナーチームにて参加することにしました。

 私がメンバーを探していく際は、若手を中心としたフレッシュなアイデアが見たい、といった私の想いと、そうした人材が入っていた方が型にはまらないアイデアができるという考えの2点を重視していました。

 結果、私がメンターをしていたプランナーの齋藤、アートディレクターでありながらプランナーでもある高橋ひなのという若いメンバーに加え、元々手を挙げていた、デジタルマーケター兼プロデューサーでもあり、LINEに関する施策実績のある高橋遼を含めて計4名のチームが完成したんです」(五十嵐氏)

LINEを使いこなし、選んでもらうキッカケを作りたい

 電通プロモーションプラスのチームが企画を提案したのはファミリーマートのRFPで、課題は『立地以外の理由で「ファミリーマート」を選んでもらうキッカケ・動機付けを強化し、来店客数を増やすこと』だった。

 ファミリーマートは2021年度、LINE社と一緒に、LINEと店舗というデジタルとリアルを掛け合わせ、いかにお客様にアプローチできるか?といった取り組みを行ってきたという。

(左から)株式会社ファミリーマート マーケティング本部 メディア&プロモーション改革推進部 プロモーショングループ 飯干陽子氏
同部 マーケティング業務グループ 根岸文枝氏

 その上で同社のメディア&プロモーション改革推進部に所属する飯干氏はRFPの提出の背景について振り返った。

 「私たちはまだまだLINEのプロダクトの全てを十分に使いこなせていません。しかし、私たちとしては様々な機能をもっと上手く使いこなした上で、抱えている課題である『立地以外の理由でファミリーマートを選んでいただくためのキッカケと気づき』を強化していきたいと思っています。

 そのため、今回のRFPでは、参加される代理店の方々から、私たちの視点とは違う、フラットな提案・知見をいただきたいという考えがあったんです」(飯干氏)

 また、同社のマーケティング業務グループに所属する根岸氏は、プロモーション媒体としてのLINEの特徴を次のように話した。

 「LINEさんは常日頃の取り組みから、我々、企業に様々な知見を提供してくださっています。これはLINEさんが、『導入企業がいかにメリットを得られるか』という点を非常に重視されているからだと思っています。

 そんなLINEさんが企画するコンテストだからこそ、我々の抱える課題に対して良いアイデアがいただけるのではないか、と期待感を持って臨みました」(根岸氏)

電通プロモーションプラスによるLINEのAPI連携サービス「1/0(ワンゼロ)」

 「1/0(ワンゼロ)」は、LINEのAPI関連サービスと連携し、キャンペーンのほか、LINEを活用した様々な販促ソリューションを実現する電通プロモーションプラスのサービスです。

喫食体験を増やしブランド想起を高める「ファミマル国民審査」

 ファミリーマートが抱える課題に対して電通プロモーションプラスが提案したのは、“ファミマル国民審査”という企画だ(※同企画は実施しているものではなくアイデア)。

 「ファミリーマート様のRFPに商材のご指定がなかったので、我々の方で考えをまとめていきました。ファミリーマートさんの基幹ブランドに対し、アイデアを出して勝負に臨みたい。そんな想いで提案商材をファミマルに選定いたしました」と五十嵐氏。

 ファミマルは2021年度に刷新したファミリーマートのプライベートブランド。当時、プロモーションに用いられていたのは『食べてもらえれば、イメージが変わるから食べてみてほしい』といったメッセージだった。

 五十嵐氏は解説を続ける。

 「ファミマルは、開始してから1年も経っていないブランドであることから、お客様の喫食体験が不足しているのではないかと考えました。そのため、今回のご提案ではLINEを用いてどのように喫食体験を増やしていくかをミッションとしました」

【クリックすると拡大します】企画説明資料の一部(電通プロモーションプラスが考えるファミマルの理想と現状)

 そうして考え出されたのが、最優秀賞に輝いた企画“ファミマル国民審査”だった。

 ヒントとなったのはテレビ番組で、ファミリーマートの商品を専門家がジャッジするという内容だった。

 「番組では専門家のジャッジがキッカケとなってお客様の購買・喫食につながり、お客様自身の感想も生まれていました。お客様の声が多くなれば、自然とブランドへの想起も高まっていくと考えました」(五十嵐氏)

 問題は自然な形で喫食をつくり出すことだった。考えを突き詰めた結果、ヒントとなったジャッジを動詞として企画設計に組み込むことに。そうして一連の流れをLINE内で実現する、“ファミマル国民審査”が生まれた。

商材への理解を深め、インプットとアウトプットを繰り返す

 “ファミマル国民審査”は、LINEを活用した商品審査が起点となる。ファミリーマートのLINE公式アカウントからキャンペーンバナーが届き、アンケートに回答すると、投票用のクーポンが発行される。クーポンを用い商品を購入すると、連動して商品の担当者メッセージが届く。消費者はそれを受けて審査を行うのだ。

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【クリックすると拡大します】企画説明資料の一部
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 「一連の内容はLINEのユーザー識別子、UIDと紐付いて蓄積され、LINE以外でのタッチポイントにも活用できる仕組みとなっています。

 購買行動的に『ファミマル国民審査』が他プラットフォームに影響を与えることは自然と予想できました。いかにLINEから外へ影響を与えていけるか。リテールやコマース領域に強みを持つ弊社のノウハウを活かし、こだわりを持って設計していきました」(五十嵐氏)

 メッセージ設計などを担った高橋遼氏は「設計はシンプルに、お客様が気軽に参加できるように心がけました。Flex Messageを用い、トーク上で完結する仕組みとしています」と話す。

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【クリックすると拡大します】企画説明資料の一部

 メッセージや店舗販促のクリエイティブには、高橋ひなの氏のデザインが用いられた。

 「意識したのは、一人の生活者として、何が情報として提示されたら国民審査をやろうと思うか、魅力的に感じるかという点でした。何度もファミリーマート様の店舗に足を運びながら設計、製作を進めていきましたね」(高橋ひなの氏)

 また齋藤氏はスタッフの立場からヒアリングも行ったという。

 「店舗と連動を考えていく際に、どんなスペースが使えるのかについても考えを深めていく必要がありました。その際、たまたま親戚がファミリーマートで働いていることを思い出し、ヒアリングを行いました」(齋藤氏)

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 五十嵐氏は企画づくりを、こう振り返る。

 「提案を考えていく際に、『イメージを変えたい』というファミリーマートさんの想いを、サイトやステートメントなどで拝見しました。そうした概要を把握した後、具体を煮詰めるため、インプットとアウトプットを繰り返していきました。

 クライアント様の商品に順位付けする今回の企画は、お客様と向き合いサービスの向上を目指すファミリーマートさんだからこそ、ご提案できた企画でしたね」

実現可能性とファミリーマート×LINEでなければならない理由が好評価

 電通プロモーションプラスからの提案を受けた当時のことを、根岸氏は次のように振り返った。

 「LINEをいかに活用するかを突き詰めたチームだったので、とても印象に残っています。また、全国のファミリーマート店舗での実現可能性もあるという点も参考にさせていただきました」(根岸氏)

 飯干氏は当時の様子を「LINEの機能をよく活用されていて、入口から出口まで解像度高く設計していただいたと感じています。LINEでなければ設計できないといった点も考慮されていたのが印象的です」と振り返る。

 高橋遼氏は、LINEを用いる理由について、IDに紐付きデータが溜められる点にあるとの説明を行ったという。

 「投票機能だけであれば他のプラットフォームで行えるのですが、LINEであれば、どのお客様がどのような審査をしたか、ある商品についてどういうお客様から評価が得られたのかといった点を計測することができます。そのため『メーカーであり販売会社であるファミリーマート様と消費者であるお客様とのギャップを知られるという点が一番大きい』とご説明させていただきました」(高橋遼氏)

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 「お客様が無理なく参加でき、その上で、LINE×ファミリーマートでなければ実現できない軸が存在していました。店舗との連携やLINEの使い方など、すべてが現実味を帯びていたと感じています」と、根岸氏は受賞の理由を振り返った。

「若手が経験を得られる」「LINEの可能性を感じられる」場として

 五十嵐氏は、今回の参加を次のように振り返る。

 「LINEについて理解を深められたことや、若手メンバーが役割を果たせたことが嬉しかったですね。提案でも、質問を想定し企画を詰めていくといった、実戦に近い活動ができました。これからもクライアント企業様とお客様を良質な購買体験でつないでいいきたいですね」(五十嵐氏)

 ファミリーマート・根岸氏は、今回の集まった提案に社会課題を解決する内容が多かったことに触れ、次のようにまとめた。

 「利用者の数から、LINEそしてコンビニ店舗というのは、現在の世の流れにとても大きな役割を果たす媒体なのだなと感じました。これからもコンビニの新たな可能性を追求していきたいなと思いましたね」(根岸氏)


 また今回のコンテストでは、オープンハウスのRFPに企画提案した電通デジタルのチーム(コマース部門・エクスペリエンスクリエイティブ部門より参加)が優秀賞に選ばれている。同社の参加理由は、ビジネスPFとして根付いているLINEを活用した企画への専門力を示すためだったという。

(左から)株式会社電通デジタル コマース部門 プロデュース2部 高橋潤平氏
同部 木川心平氏
同社 エクスペリエンスクリエイティブ部門 ソーシャルメディア事業部 丸山大貴氏
同部門 エクスペリエンスデザイン第1事業部 山梨真麻氏

 「多くの注目が集まるコンペティションでの企画力を発端に、新しいクライアント企業様と繋がり、事業課題解決に貢献できるきっかけにしたいと考えました」(電通デジタル)

 同社の企画では、住宅購入を本格的に考える前の「20代のカップル」をコアターゲットに設定。カップルの日常生活に密着し、オープンハウスを「ふたりゴト化」してもらうことを目的に体験設計を行った。

 20代のカップルが日々やり取りを行うトーク画面という、LINEならではの利用シーンを強みとして最大限活用。LINE上でコミュニケーションの火種をつくり、ふたりでブランド体験を育んでもらえるような連続した顧客体験の積み重ねがポイントになっている。

 「最終的に、オープンハウスがマイホーム検討の選択肢の1つではなく、ふたりでライフステージを考える時の絶対的存在になることを目指しました」(電通デジタル)

 「カップルの日常生活に寄り添う」という部分にフォーカスした今回の企画。参加を振り返って「LINEというプラットフォームの強みや可能性を改めて感じることができた」という。

 「企業が主体的に行う施策はどうしても“非日常的に”なりがちという印象があります。キャンペーンやイベントなど、日常ではない少し特別な時間です。“今アプリを使っている”という自覚さえないほど、生活に根差したLINEだからこそ、日常生活の中で様々なコミュニケーションの仕掛けができると実感しました。

 また通常の業務では他社チームのプレゼンテーションを拝見する機会もないため、多くの刺激を受けることができた貴重な経験となりました」(電通デジタル)

 多くの企業にとって、LINEが持つ可能性への理解をまた一歩進める機会となった今回のLINE Planning Contest。プランナーのアイデアはプラットフォーム活用の幅を今後も広げていくだろう。

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この記事の著者

タカハシ コウキ(タカハシ コウキ)

1997年生まれ。2020年に駒沢大学経済学部を卒業。在学中よりインターンなどで記事制作を経験。卒業後、フリーライターとして、インタビューやレポート記事を執筆している。またカメラマンとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/29 10:00 https://markezine.jp/article/detail/39502