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特集:ターゲティングが嫌われる時代のシン・ターゲティング

あえてターゲティングしない。誰をも受け入れる「インクルーシブ・マーケティング」が事業成長を促す

インクルーシブ・マーケティングはどの部門からでも始められる

──ターゲティングを外して門戸を開く……具体的には、どうすればよいのでしょうか。

林:まず企業としてのビジョンを明確に伝える必要があると思います。現状、「ターゲティングが嫌だ」と思われてしまうケースが多いのは、そもそもミスマッチが起きているケースが多いということです。自分たちがターゲットとしたい層と、本当に自分たちの価値を求めてくださっている層にズレが起きているということです。

 自社が目指す社会を作るためのパートナーとして、自社の価値を求めてくれているお客様を探し、一緒に事業を作っていくためには、自分たちが目指す社会や世界観、パーパスを世の中にどんどん共有していって、共感をしてくれた人を仲間にしていくことが、とても重要なプロセスになります。

──ではインクルーシブ・マーケティングをするにあたり、企業のファーストステップとしては、パーパスをきちんと作り、伝えていくということになるのでしょうか。

林:そうですね。お客様と一緒に市場を動かしていくことに、もう1回真剣に取り組むことが必要です。そう考えると、10年後、20年後、100年後にこの会社がある意義を考えることが重要となります。企業の歴史が長ければ長いほど、世の中にすり込まれたイメージも強いので、パーパスを再定義したなら、きちんと発信しないといけません。

 「パーパスから考えよう」と言うと、大変だな、重いなと思われるかもしれません。ですが、インクルーシブ・マーケティングのいいところは、「どこから始めてもいいこと」です。図表1で示した企業活動、そのどこから始めてもいいのです。インクルーシブ・マーケティングは手法ではなく概念ですので、この考え方を取り入れた改革を、どの部門からでも始めることができます。もちろんパーパスから始めてもいいし、インナーコミュニケーションやリクルーティング、働き方改革から始めてもいい。大事なのは、どこから始めてもいいですが、その前後の領域をきちんと巻き込んでいく、ということです。

 図表2は、インクルーシブ・マーケティングのフレームを描いたものです。

図表2 インクルーシブ・マーケティングのフレーム
図表2 インクルーシブ・マーケティングのフレーム

林:大企業は組織がサイロ化していることが多いので、その領域だけで終わってしまいがちなのですが、それだと全然サステナブルではない。インナーから始めたなら、次は事業部も巻き込んでいくというように、フレームの前後の部署を巻き込んでいくことで、会社全体の動きにしていくことが重要です。

 そうすると組織も変わっていくし、開発の考え方もモノづくりの仕方も変わってくる。すると当然、コミュニケーションも変わってくる。企業の中でもインクルージョンを起こすことができるのです。

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SDGsの気運が高まる今だからこそ、経営としてのインクルーシブ・マーケティングに取り組める

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この記事の著者

落合 真彩(オチアイ マアヤ)

教育系企業を経て、2016年よりフリーランスのライターに。Webメディアから紙書籍まで媒体問わず、マーケティング、広報、テクノロジー、経営者インタビューなど、ビジネス領域を中心に幅広く執筆。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2022/08/26 08:30 https://markezine.jp/article/detail/39757

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