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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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編集長インタビュー

マイクロソフトはいかに広告事業を推進するか。有園雄一氏に聞く、ビジネス躍進のロードマップ

 2022年5月末、マイクロソフトは日本における広告事業への注力を発表し、「Microsoft広告」を開始。検索エンジン「Microsoft Bing」を通した検索広告とネイティブ広告、また各種の配信先も合わせて、フルファネルで広告主に貢献しながら、リワードという形での生活者への還元も強く推進する。本稿ではMicrosoft広告の責任者に就任した有園雄一氏に、どのように事業を推進していくか、背景にある思いを含めて戦略を聞く。

自身のコンサル事業から、マイクロソフト広告の責任者へ

安成:マイクロソフトが日本での広告事業に注力していくニュースを受けて、有園さんが事業を率いていくと聞いたときには驚きました。まず、どのような経緯で参画されたのか、うかがえますか?

有園:このようなポジションに就くとは、実は私も予想外でした。

 2022年の前半、ちょっとしたお手伝いから、マイクロソフトと接点を持ちました。私はGoogleを辞めて独立してから10年以上、コンサルタントとして主に仕事をしてきたので、マイクロソフトからの話の内容が次第に深くなってきたときに、コンサルタントとして契約するのもやりがいがありそうだと思ったんです(笑)。そうしたら、コンサルはいつまでやるんだ、履歴書を出してくれといった話になり。呼ばれるまま面接を重ねていたら、今のポジションのオファーを受けたという経緯でした。

日本マイクロソフト Regional  Vice  President  Japan, Microsoft Advertising 有園雄一氏
日本マイクロソフト Regional Vice President Japan, Microsoft Advertising 有園雄一氏

安成:そうだったんですね。その時点でコンサルティングのクライアントを複数持っていたと思いますが、迷いはなかったのでしょうか?

有園:自分の会社でのコンサルは、クライアントへの貢献を含めて自分なりの思いを持って続けてきたので、もちろん迷いはありました。一方で、何度も話すうちにマイクロソフトの本気度もわかりましたし、オファーをいただけるのは率直にとてもありがたいことだなと思って、あまり時間はかからず決断しました。

検索エンジン「Bing」の国内シェアを上げていく

安成:2022年5月末に日本でのMicrosoft広告の提供開始が発表された際、MarkeZineでもコーポレート バイス プレジデント Microsoft Advertising担当のRob Wilk氏へのインタビューをさせていただきましたが、あらためて現状を教えてください。

有園:現時点では、Microsoft広告には大きく、マイクロソフトの検索エンジン「Bing」での検索広告と、MSNやMicrosoft Edgeなどにおけるネイティブ広告があります。2022年5月末をもって、日本の広告主企業と広告会社は、直接マイクロソフトからこれらの広告を購入できるようになりました。

 まず、デスクトップの検索エンジンにおいて、Bingは日本では約16%のシェアで、米国の40%弱、欧州の20~30%に比べるとまだ伸びしろがあります(出典:Desktop Search Engine Market Share Japan)。

 客観的に見ても、市場の約7割をGoogleが1社で占めているのは、あまりよくない状況だと思います。MarkeZineのコラム「なぜ、今、Microsoftで働くのか?」にも書きましたが、誰が何を検索し、どのリンクをクリックしたのかの情報が1社に集約するのはどうなのか、と。

安成:そうでしたね。Bingのシェアの拡大は、十分可能とお考えですか?

有園:はい、やりようはあります。

 そもそもGoogleの検索エンジンは2001年にYahoo! JAPANのエンジンに採用され、2004年に提携を解消、2010年にヤフーとGoogleが提携して改めてGoogleの検索エンジンが使われ始めました。そうしてGoogleは広がったわけですが、現状でGoogleとBingの検索結果を比較しても、クオリティはあまり変わりません。人によって好みも異なるでしょうから、どっちが良いかと比較することに意味はないかもしれませんね。ただ、Microsoftのエンジニアの話では、技術的には追いついていると聞いています。

 とはいえ、普通の人はほとんど検索結果の差に気づかないので、技術力だけではシェアを10%から20、30%へと引き上げるのは難しい。GoogleがYahoo! JAPANと提携したように、ビジネス戦略を考えないといけません。Googleや、Metaなどとは違うビジネスモデルが必要です。つまり、ビジネス戦略次第で、Microsoft広告事業には、十分に成長する余地があると感じて、入社した次第です。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

安成 蓉子(編集部)(ヤスナリ ヨウコ)

MarkeZine編集部 編集長
1985年山口県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。専門商社で営業を経験し、2012年株式会社翔泳社に入社。マーケティング専門メディア『MarkeZine』の編集・企画・運営に携わる。2016年、雑誌『MarkeZine』を創刊し、サブスクリプション事業を開始。編集業務と並行して、デジタル時代に適した出版社・ウェブメディアの新ビジネスモデル構築に取り組んでいる。2019年4月、編集長就任。プライベートでは2児の母。

★編集...

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MarkeZine(マーケジン)
2022/12/07 08:00 https://markezine.jp/article/detail/40708

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