インタビューから見る、Z世代の生活価値観
ここからは、実際に筆者の身の回りにいるZ世代へのインタビューを通してその実態を捉えていく。
・インタビュー(1):Wさん(女性)
――どんなところにお金をかけていますか?
「快適な暮らしができるような家具や家電にはこだわりたいと思っている。最近買ったのは、バルミューダのランプ。高かったけれどお気に入り。これからもお金を貯めて、少しずついいものに買い替えていきたい」
「洋服や靴にもお金をかけるほうだと思う。ただ、人に見られないインナーや下着はユニクロなど、コスパ重視で買っている」
「安いものは比較的インターネットで購入することが多いが、高価なものを買う時は実物を見に行って購入している」
――お買い物をする上での情報収集は?
「InstagramやTwitterで自分とセンスが合うインフルエンサーをフォローして、その人が買ったものをチェックしている」
・インタビュー(2)Nさん(女性)
――どんなところにお金をかけている?
「食べることが好き。食べたいと思ったものは我慢しないでお金を使うことが多い。友人と食事をする時間も好きで、定期的に外食でもお金を使っている」
「古着が好きでよく下北沢の古着屋さんを回ったりしていた。他の人と被らない一点もののお気に入りを見つける、宝探し感が楽しい。コロナ禍により外で買う機会が減ってしまったが、また再開したいと思っている」
――節約していることは?
「意識して節約しているわけではないが、食材・消耗品・固定費のような代替が効くものはブランドへのこだわりはなく、低価格のものを選んでいるかもしれない」
――周囲の同世代にはどんな特徴の子が多い?
「食が好き、服が好き、推しが好きなどそれぞれ好きなものがある人は多い。皆、それぞれ中身が違うように思う」

Z世代と一括りにせず、「らしさ」を表現できる仕掛けを
各クラスターの消費特性やインタビューを通して、Z世代は自分の価値観をよく理解しお金をかけるところ・かけないところのメリハリを付けた消費をしている傾向が伺える。
また大きな志向性としてクラスターには分かれるものの、その中での消費スタイルやこだわりは一人ひとりが違う「オリジナリティ」を持っており、一括りにはできないようだ。情報を得る手段がマスメディアからSNS・動画コンテンツ中心になり、より情報のバリエーションが増えたことで、各々の「好き」が多様化しているのだろう。
消費活動においては、消耗品やインナーなど「人に見られない=自分を表現することにつながらない」ものにはこだわりを持たず、コスパ主義である様子が見られる。その一方で、「唯一無二の自分らしさ」を叶えてくれること・ものを求め、気に入ったものには支出をいとわない面もある。
これからの消費活動の中心を担うZ世代の心を掴むには、一人ひとりの「好き」があることを尊重し、彼らが自分らしさを表現できるような仕掛けが必要だといえる。
連載「家計簿発! 実購買データから読み解く消費者インサイト一覧」全4回を通して、Zaimの家計簿データから生活者の消費行動を分析してきた。家計簿データの特徴は、家計支出が丸ごと記録され、あらゆる世代に利用されることだ。本連載のリアルな生活者の消費動向と消費ニーズの分析を、読者の皆様に役立てていただければ幸いだ。