「提案タイミング」の見極めで購入完了改善率225%
三つ目の気づきは、「提案のタイミングを見計らうこと」だ。どんなに良いコンテンツを持っていても、ユーザーに届かなければ意味はない。また、タイミング次第では、ユーザーがこういった提案自体にストレスを感じかねない。これに関して深田氏はリアルの接客と非常に似た考え方だという。
「お店に入ってすぐに店員さんが話しかけてきたら少し不快になりますよね。それはオンラインでも同様で、ユーザーにとって悪い体験にしないために、タイミングを見計らう必要があります。誰にでも、いつでも、関係なくお勧めするのではなく、困っていそうなユーザーに気づきを与えるのが重要です」(深田氏)
たとえば、在庫がない商品のページを見ているユーザーに対し、「新品の在庫はないが、中古であれば同じ商品を販売している」「似た代わりの商品ならある」といった案内は嫌がられることは少ないだろう。
実際に案内してみると購入率は225%に改善し、顧客体験は明らかに向上したという。他にも、実施したA/Bテストの一つに、「チャットボット」の活用がある。ヘルプコンテンツでは常套手法として、右下にアイコンが表示されるケースが多い。しかし、これは多くの人にとっては普段から表示される必要はない。
しかし、店内をうろうろして悩んでいたり、困っていたりする顧客に店舗スタッフが声をかける時と同じように、「対応できるので、良かったら問いかけてください」とポップが現れると、それが購入の背中を押すことにつながるケースもあるという。実際こうした提案により、チャットの起動率が上がり、購入完了率も増えたという実証結果が出ているという。
ユーザーを先回りした嫌がられない体験設計を広げていく
このように、サイト内で「つまずきのない体験を作る」「こちらから解決方法を提示する」「聞いてくれるタイミングを考える」といった3つのポイントを押さえた体験設計をしていけば、様々なところでユーザーのプラスな行動を引き出すことができると語った深田氏。
しかし、ここまでそれら体験設計における有効な手段として触れてきたポップアップについて、ユーザーはどのような印象を持っているのだろうか。同社が実施したポップアップに関するアンケートの結果によれば、ポップアップで受けた悪い体験として「×ボタンが押しにくい」「誤タップ」などの回答が多く挙がったという。
「×ボタンの設計一つでも、ユーザーは悪い印象を抱いてしまいます。そんな中で、ユーザーを“先回り”し、嫌がられる前に提案・対処するような、体験設計を作っていくことが重要です」(深田氏)
セッションから垣間見えた、同社が持つWeb体験向上への実証データとノウハウ。深田氏はこれらを生かし、今後も“ユーザーが求める”サイト構築を支援していきたいと展望を語り、セッションを締めくくった。
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