総広告費が7兆円を超え、過去最高の結果に
──今回は電通が発表した「2022年 日本の広告費」について伺います。まず同調査の中で最も注目すべきトピックスを教えてください。
北原:一番大きなトピックスは、総広告費が7兆円を超えたことです。コロナ禍の落ち込みを乗り越えてきたことがデータから見て取れました。1947年の推定開始以来、過去最高の結果は2007年の7兆191億円でしたが、2007年を上回り過去最高の7兆1,021億円となりました。
──コロナ禍からの回復の兆しが見えた点について教えてください。
北原:まずは人流の回復にともない、旅行・観光・イベント業界など、人が集まったり、移動したりする業界の広告費が回復しつつある点が挙げられます。また外食や買い物に関する広告費も増えています。一方で、コロナ禍で急速に進んだDXへの機運は落ち着き、DX推進を支援するサービスに関する広告費の伸びが緩やかになりました。
インターネット広告が3兆円を突破。総広告費の4割以上を占める
──2007年も7兆円を超えていたとのことですが、総広告費の内訳は当時と比較してどのように変化していますか。
北原:広告市場の構造がまったく違っているので、それにともない内訳も大きく変化しています。2007年はマスメディアの影響力がまだまだ強いと言われていた時代で、マスコミ四媒体の広告費は約半分を占めており、折り込み広告・屋外広告・フリーペーパーなどのプロモーションメディア広告費が4割近くを占めておりました。一方インターネット広告費は、6,003億円と全体の8.6%でした。
それが2022年になると、インターネット広告費は3兆912億円と調査開始以降、初めて3兆円を突破したのです。これは、日本の総広告費の43.5%を占めています。
北原:東日本大震災やコロナ禍をはじめ様々な経済危機に直面し、他の広告費が減少する中、インターネット広告費はプラス成長を遂げてきました。その蓄積が3兆円超という結果に反映されています。