関西ではU49のシェアが70%超にまで伸長!
MZ:M-1のプロモーションを考える際、有元さんは何を軸にされていますか?
有元:M-1の根っこには、番組を制作している方々の「本当に面白い漫才師をM-1から世に送り出したい」という熱い想いと、芸人さんに対するリスペクトがあります。このモノ作りに対する姿勢が番組の価値を上げていると思っていて、M-1が多くの方々に支持されている理由もここにあると思っています。たとえば、M-1では、芸人さんの知名度を優先するようなことはありません。ですので、番組のプロモーションでも「売れている人の露出を増やす」といったことはせずに、最後の9組に残った芸人さんは、みなさん平等に扱います。

もうひとつ、M-1には強力なファン文化があります。プロモーションのデジタルでの広がりを考える時、このファンの存在はとても大きいです。OOHひとつ取っても、ファンが話題にしたくなるようなクリエイティブや、実際に行って撮影しやすい場所での掲出を考えています。ファンの熱量の高さはプロモーションにおいて非常に重要で、「ファンのみなさんと一緒にM-1を盛り上げ、広げていく」という考え方がベースにあります。
MZ:M-1の盛り上がりは、肌感的に実感している読者も多いと思いますが、実際の数字はどうなっていますか?
有元:近年テレビ業界では、HUT(総世帯視聴率)とPUT(総個人視聴率)の低下が進んでいます。そうした課題がある中で、視聴率を大きく落としていないこと、加えて同時間帯の中でM-1を視聴している人の割合(シェア)が伸びていることは、よい成果だと思っています。
実際に、2022年末に放送したM-1グランプリの決勝戦は、関東の世帯が29.5%(関東)、個人全体のシェアが32.0%(関東)と、2015年のM-1グランプリ復活以来、最高の数字を記録しました。特に関西でのシェアは凄まじく、世帯、個人全体、U49はいずれも歴代トップで、U49のシェアは初の70%超を記録しています。
HUT(総世帯視聴率):調査対象となる世帯全体の中で、どのくらいの世帯がテレビ放送をリアルタイムで視聴していたのかを示す割合。
PUT(総個人視聴率):調査対象となる世帯の4歳以上の個人全体の中で、どのくらいの人がテレビ放送をリアルタイムで視聴していたのかという割合。
デジタルでの広がりを狙う、六本木駅のOOH
MZ:OOHについてもお話を聞かせて下さい。都営大江戸線・六本木駅の広告ジャックが毎年恒例になっていますよね。
有元:M-1グランプリはテレビ朝日さんのある六本木が決勝の地=聖地です。出場される芸人さんは、まだ売れていない方も多く、電車で会場まで来られる方も多い。その芸人さんたちを激励する意味も込めて、六本木駅でOOHを展開するというのは毎年決めています。


また、M-1のプロモーションに限らず、OOHはマスと呼べるほどのリーチ力があるわけではありません。ですので、OOHを展開する時は「いかにデジタルで広がるか?」という観点をもって設計を考えます。芸人さんたちが六本木駅でポスターを見て、写真を撮って、SNSにあげて下さる。応援する方々がその投稿を広げて下さる。この効果を考えても、六本木のOOHは広告枠の金額以上の価値があるはずです。
加えて、ファンのみなさんもOOHを話題にして下さるのですが、そのツイートも面白いものがすごく多いんです。ファンのツイートから大きなバズが起こることもあり、みなさんの力を信じています。