Z世代はSNS起点で考える
今瀧:結果にもあった通り、Z世代にとってSNSは欠かせません。私自身、中学生のときにクラスのLINEグループができ、友だちとはまずInstagramを交換する学生時代を過ごしてきました。インサイトが多様となっている中でも、Z世代に唯一共通しているのが「SNS起点」であることだと言えるでしょう。
とはいえ、「SNSが全て」ではありません。便利なものが出てくるほど不便なものにも愛着を感じるところがあります。それを踏まえると、オフラインや他のメディアとの連携を考えることが必要です。

森永:広告宣伝予算の全てを、SNSに投じることが求められているわけではないのが重要なポイントです。SNSが中心、SNSが起点なことと、予算の中心がSNSであることはまた別ですもんね。
今瀧:そうです。さらに、無理にSNSをやってしまうのも陥りがちな点ですね。投稿するものはないが、とりあえずSNSをやるのは本末転倒で、ディスブランディングにもなりかねません。何のためにやるのか、やるならどのSNSがよいのか、設計をした上でやるべきだと思います。
「TikTok」だけではNG。SNS同士、メディア同士をつないでいく
森永:「今だったらTikTokですかね」とプラットフォームを1つに絞ろうとするのもよく陥りがちな失敗例ですよね。
今瀧:はい、TikTokは世界的にも伸びている優秀なツールです。パーソナライズされた悪魔的なアルゴリズムで「時間が溶ける」と言われるほどユーザーを夢中にしています。とはいえ、TikTokのプロモーションにも連携が必要です。TikTokから他のSNSに飛んだり検索したりした上でようやく商品を買いますから。
弊社では、TikTokと他のSNSの連携を重視しています。TikTokで認知を得て、そこからInstagramでファンになっていただき、購買につなげる形です。
たとえば、マッチングアプリのタップルの公式TikTok「おさ活」の運用を当社でしています。正式には「幼馴染と共同生活中」という名前で、幼馴染の男の子と女の子が一つ屋根の下で暮らすという少女漫画のような企画です。「見ると、きゅんとして恋がしたくなる」を目指しており、開始から約1年で2億回ほどの再生数になりました。こうした例からも、出会いの場や認知獲得にTikTokは向いていると思います。

今瀧:またトレンドについても、今までとはとらえ方を変える必要があります。トレンドは「花火」のようなものと捉えるとわかりやすいです。TwitterやInstagramなど様々なプラットフォームで流れており、トレンドは「小さく・短く・大量に」打ちあがっています。
そのトレンドに自社のコンテンツ要素を少し混ぜ、プラットフォームを超えて連携していくことが重要です。一つのSNSだけで情報収集する時代ではないからです。
森永:既存のマーケターはついつい大きい花火を打ち上げたらどうにかなるんじゃないかと考えてしまいますが、花火が大きくても小さくても数秒で消えてしまうことは変わらないですもんね。何発も打ち上げる、花火大会を開くということ。Z世代とは、「どのメディアから始まっても何らかの情報を得ていけ、気になってしまう」関係を作ることが重要ですね。