SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第102号(2024年6月号)
特集「ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

マーケティング最新事例2023

「NECって何の会社?」からZ世代の意識を変える、NECの「未来のステークホルダー」作り

 日本電気株式会社(以下、NEC)のSNSアカウント「#止まらない日常」(@tomanichi_nec)をご存知だろうか? InstagramとTwitterで運営され、日々の原動力となるような、かけがえのないひとときを「#止まらない日常」と定義し、様々なクリエイターが手掛けた止まらない日常のGIFイラストを投稿している。なぜ、NECはこのようなSNSアカウントを設けたのか、同アカウントを運営しているプロジェクトのメンバーに取材した。

NECが始めたZ世代向けSNSアカウント

――SNSアカウント「#止まらない日常」を運営している、「NEC Youth Project」について簡単に教えてください。

福嶌:NEC Youth Project(以下、ユースプロジェクト)は、コーポレートブランディング部が2022年9月からスタートさせたプロジェクトです。部内の若手社員を中心に若年層からの認知・共感獲得に向けた施策検討を実施しています。第1弾の企画として、2023年3月からSNSでのGIFイラストを投稿しています。

InstagramとTwitterの「#止まらない日常」アカウント
InstagramTwitterの「#止まらない日常」アカウント

――ユースプロジェクトの背景を教えてください。

角谷:当社は100年以上の歴史の中で提供するものが変わってきました。10年ほど前に事業ドメインをBtoCからBtoB/BtoGにシフトしたことで、若者とのタッチポイントが少なくなっている点が1つ課題になっています。具体的には、現在学生からは「NEC……? 知らないです」という声も上がり、知っていても「NECってパソコンの会社ですよね?」など以前の事業のイメージが強い状況です。

 10年後20年後にもNECが社会価値を届けるためには、「未来のステークホルダー」を増やす必要があります。ここで言うステークホルダーとは、会社を支える社員、ビジネスパートナー、投資家、NECのサービスを使用する立場の方すべてです。さらに、将来のNECを支える現在の若手社員に機会を提供し、経験を積んでほしいという思いもあります。そこで、NECのコーポレートブランディングを担う若手社員を中心にプロジェクトを立ち上げました。

 我々マネジメント層だけの価値観だと本当の意味では若者に届かないと思っているので、企画の骨子や価値観はプロジェクトメンバーの考えを尊重しています。承認など細かいプロセスでマネジメント層が目を配ることで、取り組みを進めています。

NEC 経営企画部門 コーポレートブランディング部 シニアディレクター 角谷 貴士氏
NEC 経営企画部門 コーポレートブランディング部 シニアディレクター 角谷 貴士氏

――GIFイラストの企画はユースプロジェクト全体ではどのような役割を担っていますか?

白川:これからNECが若年層ブランディングに注力するに当たってのオープニング的な立ち位置を狙っています。もちろん、この企画だけでNECの事業内容を含め、すべてを知ってもらうことは不可能です。しかし、まずはNECという会社が眼中になく、名前も聞いたことがない人に少しでも触れる機会を増やすことの価値はとても大きいと考えています。この企画をきっかけに「止まらない日常」という軸でNECと若者のタッチポイントを新たに作ることが狙いです。

 先ほど「未来のステークホルダー」を増やしていくという話が出ましたが、ゴールの1つはユースプロジェクトをきっかけに、将来NECに入社したいと思う方々が増えることだと考えています。ですから、3年後5年後にNECの仲間の候補になっていただけるよう、長期的にお付き合いをしていきたいですね。

同社 経営企画部門 コーポレートブランディング部 グローバルブランド戦略グループ 白川 桜子氏
同社 経営企画部門 コーポレートブランディング部 グローバルブランド戦略グループ 白川 桜子氏

イラストは「推し活」がテーマ

――なぜSNSでのGIFイラスト企画を考えたのでしょう。

白川:NECの存在意義であり事業をする目的であるパーパスを多くの方々に知ってもらうために、2022年度から「社会を止めない。暮らしを止めない。」というコミュニケーションメッセージを発信しています。しかし、企業からの一方的な発信では若年層にアプローチすることは難しいという仮説を立てました。若年層にNECをもっと身近に感じてもらう、ポジティブな印象を抱いてもらうために今回はGIFイラストでの訴求という手段で、若年層一人ひとりにとっての「止まらない社会、止まらない暮らし。」つまり、ずっと続いてほしいと思える日常を表現していくことにしました。

 最近SNSを見ていると、クリエイターさんやイラストレーターさんの活躍が年々顕著になっていると感じます。そのアカウントをフォローしていなくても、自分がつながっている他の方を通じて、なんらかのイラスト作品を見ています。また、イラストが持つ力や、イラストによる世界観の表現はリアルにはない素晴らしいものだと感じています。

 また、クリエイターさんによって様々な作風があるので、多くの方とコラボレーションすることによって、様々な世界観を持つ人たちに届けられる。つまり、より多くの人にNECを知ってもらえるのではないかと考えました。

――新入社員だった久賀田さんはZ世代に一番近いとして主に企画のリサーチをされたとのことですが、GIFイラストとZ世代の相性をどうお考えですか?

久賀田:Z世代はInstagramやTwitterといったSNSで流行を感知しています。イラストを自発的に探しに行く傾向も私生活やリサーチから感じています。また、「#止まらない日常」企画のイラストのテーマを「推し活」にしているのですが、推しがいることが当たり前、ということがZ世代の特徴として挙げられますし、推し活が自己表現の手段にもなっています。今回の企画も、推し活が共感につながると思いますし、止まらない日常を描いたGIFやクリエイターさんがZ世代にとっては、自分が日々推し活に向かう姿を表現してくれる身近な存在に映るのではないかと考えています。

同社 経営企画部門 コーポレートブランディング部 グローバルブランド戦略グループ 久賀田 諒氏
同社 経営企画部門 コーポレートブランディング部 グローバルブランド戦略グループ 久賀田 諒氏

角谷:マネジメント層でも、BtoB企業がイラストを活用する例が増えていることを実感しています。ですから、GIFイラストの企画に問題を感じませんでした。一方、同じことを考える企業が多いため、イラストで企画を進めるならば他にないユニークな発想をプロジェクトのメンバーには求めました。

Z世代クリエイターが考える「止まらない日常」を表現

――具体的にイラストレーターの選定基準や、どのようなイラストの依頼をしたのでしょうか?

久賀田:Z世代が好むテイストをリサーチしたところ、昭和レトロや平成レトロがブームになっているので、レトロテイストが得意な方を最初に起用しました。また、体型やジェンダーも様々な表現ができるよう9名のクリエイターさんにお願いして、個性を出していくことを意識しました。また当然、SNSでの拡散にもご協力いただきたいと考えていたため、普段からSNSを使っていらっしゃるか、企業案件を担当したことがあるかも加味して依頼しています。

白川:今回はイラストの中にNECらしさや企業色を入れすぎず、まずは「NECは止まらない日常を大事にしている」ということを楽しみながら知っていただくことを優先しようと割り切りました。企画時はNECの事業をイラストで描いてもらう案もありましたが、事業をイラスト化してもNECを知らない方々には興味をもって楽しく見てもらえないのではないかと考えたのです。

 また、イラストの大枠として推し活というテーマは決めましたが、クリエイターさんと「どういうシーンであれば自分が止まらない日常だと思えるか」を話しながら一緒に決めていきました。企画に参加いただいたクリエイターさんたち自身も若い方々が多く、止まらない日常というNECが大切にしている想いを、伝えたいターゲットである若い世代のクリエイターさんが表現する点が、イラストを活用した取り組みとしてユニークではないかと思います。

――企業がPRなどにイラストを使う場合、自社製品のイラスト化や、使用場面をエモーショナルに描くことが多いと思います。その点でNECらしさをあえて出しすぎないようにした点は特徴的ですね。

白川:ただ、クリエイターさんも意識されていないと思いますが、実際に上がってきたイラストを見ると、NECの事業とつなげられるポイントも多かったのは嬉しい発見でした。やはり若い世代の何気ない日常の中でも、気づかないうちにNECの技術やサービスに触れてもらえているのだと実感します。

この記事はプレミアム記事(有料)です。ご利用にはMarkeZineプレミアムのご契約が必要です。

有料記事が読み放題!MarkeZineプレミアム

プレミアムサービス詳細はこちら

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
「メイキング動画」も活用

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
マーケティング最新事例2023連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。2013年までは書籍の編集をしていました。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/06/26 09:59 https://markezine.jp/article/detail/42438

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング