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マーケティング最新事例2023

「NECって何の会社?」からZ世代の意識を変える、NECの「未来のステークホルダー」作り

「メイキング動画」も活用

――TwitterとInstagramを採用した理由は何でしょうか? また、それぞれの運用の違いを教えてください。

久賀田:Instagramは、文章よりもビジュアルがぱっと目に入る点がイラストとの相性が良く、さらにアカウントのホームでは投稿画像が一覧で並ぶので、今回の企画の世界観を伝えるのに最適なメディアだと考えました。リール検索やハッシュタグ検索が盛んなので、関連するハッシュタグを多くつけることで幅広い層へのリーチを狙いました。また、日本語以外のタグも使用することで、グローバルでの拡散をしています。

 一方、Twitterはリツイートによる拡散力、特にクリエイター自身の発信力で多くの方に知ってもらえるメディアだと思います。クリエイターさんが「NECとお仕事をしました」と発信していただくことによって、NEC単独ではリーチすることのできない若年層の方々とタッチポイントを作れていると思います。

 また、Instagramではストーリー機能も活用しました。3月1日から1ヵ月間コンテンツを投稿した後、4月から第2弾が開始する6月までは第1弾のメイキング動画(イラストを描く工程動画)をストーリーで投稿しました。ホームで見られる世界観を維持しつつ、新コンテンツの準備期間も更新を止めない工夫になったかと思います。

――ちなみにこの投稿期間が空いている時にTwitterでは何か対策はされたんですか?

久賀田:Twitterでも同じタイミングでメイキング動画を投稿しました。こちらはInstagramと異なり、GIFイラストで表現した止まらない日常と、NECの事業が交わる部分を取り上げ、投稿文で簡単に紹介したことが工夫の1つです。たとえばオンライン通話で友達と推し語りをしているシーンでは通信事業を紹介したり、フェスを楽しんでいるイラストでは、イベントの運営を支える顔認証技術を紹介したり。NECと生活のつながりを発信しました。

画像左:Instagramストーリー、画像右:Twitter
画像左:Instagramストーリー、画像右:Twitter

白川:一方で、社名を出した瞬間にそれまで楽しんで見てくださっていた方が興味をなくし、フォローを外されてしまうのではないかという不安も少しありました。しかし、NECのことに触れても変わらずにフォローし続けてもらえた点は、ポジティブな成果だと思っています。

パーパスから「止まらない日常」が生まれた理由

――今回の企画では「止まらない日常」がキーワードかと思います。改めて、こちらの言葉の成り立ちをうかがえますか?

福嶌:NECグループのパーパスは「安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指します。」です。NECグループの事業は、すべてこのパーパスを実現するために行われています。

 ただ、生活者にとって堅く遠い言葉に感じてしまうという課題も感じています。わかりやすく、身近に感じてほしいという思いのもと、「社会を止めない。暮らしを止めない。」というコミュニケーションワードを開発し、企業広告で展開しました。

同社 経営企画部門 コーポレートブランディング部 メディア・マネジメントグループ 福嶌 優斗氏
同社 経営企画部門 コーポレートブランディング部 メディア・マネジメントグループ 福嶌 優斗氏

白川:今回、これまでまったくNECを知らなかった方々に「NEC」という3文字でも知ってもらえるだけでも大きな一歩だと思いつつ、NECに対してプラスαのイメージをつけたいと思っていました。そこで、NECといえば「社会を止めない会社だよね」、と思ってもらうことを1つのゴールに設定しました。

 「社会を止めない。暮らしを止めない。」というワードはビジネスライクで、まだ若年層にとっては身近なものではないのでは、と感じていました。そこで「止まらない日常」という、生活者目線の、自分に関係あると感じられるキャッチーな言葉に変換しました。

福嶌:コミュニケーションワードから主語を変えたイメージです。

――パーパスの言葉を変えて発信することは勇気がいることだと思います。

角谷:中期経営計画の中で「戦略と文化を結びつけパーパスを実現していく」と表現していますが、そのために我々コーポレートブランディング部はパーパスの言葉だけでなく本当の意味合いを理解して、伝えていく必要があると考えています。福嶌が言った通り、NECが提供しているものを一言で表現すると、当たり前の日常や社会を止めないことだよね、という理解は組織の中で形成されています。その上で作られた「止まらない日常」という言葉も、本質は変わっていません。

 また、会社が決めた文言を一言一句そのまま使うほうが作業としてはラクですし摩擦もありませんが、伝えるべき相手に届かなければ意味はありません。きちんと若年層に届くように新しい価値に転換することは、確かにリスクであり難しいですが大切なことです。メンバーが率先してNECを伝えたいとの思いから、このワードを生み出したことも意味深いですね。エンゲージメントの高い社員がNECの良さをZ世代に伝えることでポジティブなスパイラルが生まれ、双方にとって価値が出ているとも感じます。

次のページ
「止まらない日常を支えるNEC」を社内外に伝えることが重要

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この記事の著者

伊藤 桃子(編集部)(イトウモモコ)

MarkeZine編集部員です。

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MarkeZine(マーケジン)
2023/06/26 09:59 https://markezine.jp/article/detail/42438

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