SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

実践企業に聞く!経済価値と社会的価値の両立

楽天の原点は地域にあり!ビジネスと社会貢献の両立を目指す地域創生事業10年の歩み

足元の数字より先々の価値を重視する

菅原:2013年に部署が立ち上がって10年経ちました。塩沢さんは、どうして長年にわたって地域創生事業を続けることができたと思いますか? 今回の企画のテーマは「実践企業に聞く、経済価値と社会価値の両立」です。このバランスをとるのが難しいと考えている人もいると思います。

塩沢:まず短期的に数字を積み上げていくよりも、中長期的、将来的な価値のために日々動いていたことが挙げられます。地域創生事業を担当するにあたり、上長には「私たちの活動は直接的かつ短期的な収益を生み出すのではなく、間接的かつ中長期的に楽天の様々なサービスに貢献することができます」と伝えていました。もちろん、目標はありましたが足元の数字だけを求めないよう約束をしたんです。

菅原:経済価値と社会価値では、実感できるまでの時間軸が違いますからね。

塩沢:そうですね。事業が拡大する中で、経済価値の追求に寄りすぎたときには、社会価値の追求に大きく振り直すなど、この2つの概念はゆらぎながら進化していくことを常に意識しています。

 長く続けてくることができたもう1つの理由は使命感でしょうか。青臭い話ですが、創業メンバーである3人全員が「自分たちがやらなければ」という強い想いを持ち続けていたことは大きいと思います。

菅原:価値のある活動とわかっていても、売上や利益が必要な会社の中ではなかなかその価値が認められづらい状況もあると思います。塩沢さんの上長は、その価値を理解してくださる方だったのですね。

塩沢:元々、地域の大切さを理解している人でしたが、より理解を深めてもらえるよう私たちからも働きかけました。たとえば自治体の方々とお会いするときは上長も同席してもらうように意識しました。実際に現地の方々の楽天に対する期待感や要望に触れてもらうことで、私たちの活動の価値を社内にも実感してもらいました。

 また、社内全体を見ても最初の頃とは状況が変わってきました。私たちの活動を見て、徐々に「何だかおもしろそう」と興味を示してくれる人たちが出てきたんです。事業者向け勉強会を「楽天大学」の担当者が手伝ってくれるなど、応援してくれる仲間が少しずつ増えていきました。

自社だけでなく、地域や次世代のために

菅原:社内は変化していったとのことですが、出店店舗の方々はどうでしょう。この10年で変化は見られますか?

塩沢:間違いなく変化しています。

 10年、20年前はまず自社の利益のためにECを活用していた方がほとんどでしたが、売上が伸びて会社が成長すると、自社以外のことにも目を向け始めるんですね。その1つに地域があります。自社のためから、地域にどうすれば還元するかを考えるようになっています。事業者であると同時に、その地域の市民でもあるからです。

 また、今まで培ってきたECのノウハウを次の世代に還元していこうと考える方々が増えてきたと感じます。私たちとしても、こうして出店店舗の方々と共に歩みを進める中で視野を広げてきました。

次のページ
地域創生事業は楽天のサービス群と地域をつなぐハブ

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
実践企業に聞く!経済価値と社会的価値の両立連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

菅原 賢一(スガワラ ケンイチ)

 株式会社パブリックグッド 代表取締役
1975年岩手県生まれ。プラップジャパン、インテグレートを経て、2013年にソーシャルマーケティングを手掛ける株式会社パブリックグッド設立。日本PR協会主催PRアワードグランプリ「ソーシャルグッド部門」にて2020年ブロンズ、2021年シルバー受賞。
2023年、事業活動...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/10/03 17:03 https://markezine.jp/article/detail/43160

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング