地域創生事業は楽天のサービス群と地域をつなぐハブ
菅原:3名からスタートした地域創生事業も今では100人を超える大所帯になり、できることは増えていると思いますがいかがですか?
塩沢:人数は増えましたが、やりたいことがたくさんあって全然追いつきません。
現在は、ふるさと納税、観光、データ周りと様々な領域を担当しているメンバーが、皆それぞれサービス軸でのスペシャリストとして活躍しています。これからは、サービス軸(縦軸)とエリア(横軸)で見ていきたいと考えています。そうすればエリアごとに専属のチームを作ることができ、各サービスの担当者が連携しながら、そのエリアが抱える様々な課題を解決していくことできるでしょう。
菅原:楽天が展開する70以上のサービスと地域をつなぐハブとしての役割を強化されようとしているんですね。また、近年の地域創生事業の活躍を表わすものとして、全国47自治体との包括連携協定締結も挙げられると思います。

塩沢:包括連携協定に関しては、締結がゴールではなくそこからスタートだと考えています。形骸化しないよう、締結までに少なくとも半年ほど時間をかけて地域の課題を聞き、楽天としてその解決のためにお手伝いできることを考えます。その際は私たち地域創生事業だけでなく、ヘルスケア担当者やシニア向けスマホ講座担当者、キャッシュレス決済担当者など、様々な担当者を総動員。楽天オールの強みを活かして丁寧に向き合っています。締結後も定例会の開催などを通して、パートナーとしての関係性を進化・深化させています。
アンチであり、エバンジェリストでありたい
菅原:最後に、経済価値と社会価値の両立の実践者としての今後の展望をお聞かせください。
塩沢:こんなことを言ったら会社の広報に怒られてしまうかもしれないけど(笑)心のどこかに「アンチ楽天」の目線を持っていたいなと思ったりします。
楽天という会社の面白さは、対極的な概念が包摂されているところだと思っています。たとえば「楽天市場」。セールやポイントという「価格訴求」のイメージが色濃くあるし、実際にそれで大きな売上があがっています。でもその一方で、生産者やものづくりの想いやストーリーを丁寧に伝える「価値訴求」も大事にしています。どっちかだけではなく、どっちもやる。この2つを有機的につないでいくのはすごく難しい。でも、楽しいなあと。
そしてもうひとつ、楽天の「エバンジェリスト」でいたいなとも思います。楽天のサービスやマーケティングデータを活用すると、こんなに独自性があって面白い取り組みができる! ということをもっと多くの方々に知っていただき、地域を元気にする取り組みを一緒にやろう! というパートナーをもっともっと世の中に増やしたいと思っています。
菅原:楽天というとIT企業というイメージが強い人も多いでしょうが、今日塩沢さんのお話をうかがって、やはり原点は地域創生事業にあると思いました。また塩沢さんは「アンチ楽天の目線」とおっしゃっていましたが、言葉の端々から楽天に対する愛を感じます。
塩沢:そうですね。やはり愛がなければここまで続けられなかったと思います。
菅原:本日は貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。