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実践企業に聞く!経済価値と社会的価値の両立

楽天の原点は地域にあり!ビジネスと社会貢献の両立を目指す地域創生事業10年の歩み

 生活者が企業の社会的価値をも重視し始めた今、企業には誠実な姿勢が一層求められている。誠実さを担保しつつ、経済価値と社会価値の創造を両立させるためにはどうすれば良いだろうか。本連載では、B Corp認証を取得したPR支援企業パブリックグッドの菅原賢一氏が企業成長の視点を持ちつつ、社会価値を創造するためのヒントを探るべく実践者に取材する。今回は、10年にわたり楽天グループで地域創生事業に取り組む塩沢氏にお話をうかがった。

インターネットの力で地域活性化を目指す

菅原:本日は楽天グループ(以下、楽天)の地域創生事業を10年にわたって推し進めている塩沢さんをゲストにお迎えしました。塩沢さんは2003年入社で、社員番号555番。全国各地を飛び回り、ほぼデスクにいないことで有名な方です。

 「楽天市場」というと現在は約57,000店舗が出店する日本最大級のECモールですが、元々は地方のシャッター商店街をインターネットの力で活性化(Empowerment)しようと立ち上がったとうかがいました。塩沢さんが入社される前年の2002年は、6,000店舗程度の規模だったとのこと。そのような中で、どのような仕事をされていたのですか?

塩沢:「楽天市場」のECコンサルタント(ECC)としてグルメジャンルを担当していました。北は北海道礼文島のウニのお店から、南は沖縄県石垣島のマンゴーのお店まで、全国各地を駆け周り、ECでどうやって商品を売るかを提案、売上アップのサポートをしていました。

楽天グループ株式会社 地域創生事業 共創事業推進部 ジェネラルマネージャー 塩沢 友孝氏
楽天グループ株式会社 地域創生事業 共創事業推進部 ジェネラルマネージャー 塩沢 友孝氏

 当時、実店舗のシャッターは閉まっているけれど、その内側ではECで全国各地に商品を次々と出荷、売上をどんどん伸ばしている店舗がいくつもありました。広い店舗や立派な設備がなくても、パソコン1つで全国のお客様に商品を届けることができる。会社の売上が伸びれば雇用も生まれ、地域も元気になる。ECのダイナミズムを感じた原体験です。

 私が地域創生の仕事に携わるようになったきっかけとして欠かせない出来事は、2011年に起こった東日本大震災です。震災後、「楽天市場」に出店する店舗の方々から「被災地の力になりたい」との声を受け、必要な方々に必要とするものを届けられるよう力を尽くしました。

3人で始めた地域創生事業

塩沢:その後、地域関連の仕事に携わるようになり、2013年には地域創生事業という新しい部署の責任者に就任しました。現在は100人を超える部署ですが、スタート時のメンバーは私含め3人でした。

菅原:当時の楽天の状況を調べてみたところ、既に流通総額が1兆円を超え、様々な分野で最先端の新規事業が華々しく生まれていた時期でした。その中で、社会的価値が高い、楽天の原点である地域創生事業を任されたんですね。

株式会社パブリックグッド 代表取締役 菅原 賢一氏
株式会社パブリックグッド 代表取締役 菅原 賢一氏

塩沢:会社としては2008年頃から地方自治体と協定を結ぶなどしていたのですが、ビジネスというより社会貢献のためでした。新しい部署に期待されていたのは、ビジネスと社会貢献の両立を目指すことだったんです。私以外の2人は長くその取り組みを行ってきたので、どうしたら大きく展開できるかを一緒に考えました。

 たとえば自治体とのセミナーを開催し、地元事業者の方々に商工会議所に集まっていただき、ECを活用する魅力について伝えていました。まずは比較的小規模な市や町に向けた取り組みから始めました。

菅原:小さな成功を少しずつ積み重ねていくことから始めたのですね。

塩沢:その通りです。しかしながら、やはりといいますか、すぐには受け入れられない方が多いんですよね。よそからやってきた私たちが地元の方々から売上を奪うのではないかと感じたのかもしれません。「私たちは敵ではありません。この地域を一緒に元気にしたいと思っているので、私たちを使い倒してください」ということを、とにかく地道に伝え続けました。

 このように自分たちのそれまでの発信力不足を日々痛感していましたが、同時にチャンスも感じていました。

 というのも、当時既に「楽天市場」で活躍されている店舗の多くは、自治体の補助金を使っていない方や、商工会・商工会議所などのコミュニティに属してない方たちでした。そのため、インターネットの力や可能性に、多くの自治体や商工会・商工会議所の皆さんはまだ気づいていないわけです。シャッターが閉まっているお店の向こうで、まさかECで大きく成長している企業があるとは知らないんですよね。

 既に「楽天市場」を活用されている事業者の事例を自治体の方々に知ってもらえたら、もっと可能性が広がるのではないかと考えていました。

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この記事の著者

和泉 ゆかり(イズミ ユカリ)

 IT企業にてWebマーケティング・人事業務に従事した後、独立。現在はビジネスパーソン向けの媒体で、ライティング・編集を手がける。得意領域は、テクノロジーや広告、働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

菅原 賢一(スガワラ ケンイチ)

 株式会社パブリックグッド 代表取締役1975年岩手県生まれ。プラップジャパン、インテグレートを経て、2013年にソーシャルマーケティングを手掛ける株式会社パブリックグッド設立。日本PR協会主催PRアワードグランプリ「ソーシャルグッド部門」にて2020年ブロンズ、2021年シルバー受賞。2023年、...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/03 17:03 https://markezine.jp/article/detail/43160

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