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【特集】本格AI時代到来 広告・マーケティング業界の行方

生成系AIで検索連動型広告はどう変わる? プラットフォーマーとマーケターの現在地

キーワードは「ヒューマンインザループ」

 出し先が増えるということは管理が大変になるということでもありますから、運用の効率化がより一層求められます。プラットフォーマーに対する選球眼も必要です。新興プレーヤーが増えているとは言え、サードパーティークッキーの規制によってファーストパーティーデータを持っているプラットフォーマーがより一層強くなったのも事実です。うまく選別しながら効率的に管理する。ここは事業会社および広告代理店の腕の見せ所かもしれません。最近はBIツールにも生成系AIが搭載され、次世代のレポーティング環境(図2)が整いつつあります。

図2 出典:アタラ(タップで画像拡大)
図2 出典:アタラ(タップで画像拡大)

──最後に、本格AI時代の広告・マーケティング業界に身を置く読者へ向けたメッセージをお願いします。

 検索連動型広告を含め、運用型広告の業務は「入稿」「入札」「レポーティング」の大きく3つに分けられます。入稿するにあたっては、当然クリエイティブが必要です。その制作を生成系AIによって自動化できるようになりました。入札の自動化や最適化には、生成系ではないもののAIが元々使われていましたよね。レポーティングにも生成系AIが活用されつつあることは、BIツールの話で触れたとおりです。このように話すと「運用担当者はお役御免なのか」と思われるかもしれませんが、そうではありません。

 広告・マーケティング業界においては「ヒューマンインザループ」が最大のキーワードだと思います。AIで自動化・自律化が進んだ機械やシステムにおいて、一部の判断や制御にあえて人間を介在させる考え方です。これまでもAIを活用する際は、データのラベル付けやアノテーションに人間が介在していました。生成系AIも、人間が介在してフィードバックを与えなければアウトプットの精度はいつまでも上がりません。その点を理解した上で、マーケティングにおいてもヒューマンインザループがワークするポイントを見つける必要があるのです。

 たとえばあるマーケターが自身の持っている広告運用のノウハウにAIを掛け合わせて新たな活躍の場を見出すことができれば、それは大きなバリューと言えますよね。広告売買のシステムは、実際に運用したことのある人でなければ設計できませんから。マーケティングの現場を熟知しつつ、AIもうまく使える人や組織は非常に強いです。各人がAIとどう共存できるか考えましょう。

──共存の道を探るにあたり、AIへの理解は不可欠ですね。

 冒頭の言説は極端ですが、生成系AIがマーケティングの業務に影響を与えることは認めざるを得ない事実です。市場/競合分析、戦略立案、キャンペーン企画、クリエイティブ制作、ハイパーパーソナライズ、モニタリング、すべての工程にAIが絡んできます。マッキンゼーが実施した調査によると、生成系AIがもたらすマーケティング部門の生産性向上は、マーケティング総支出における5〜15%の価値に相当するそうです。

 プロンプトエンジニアリングまではいかなくても「マーケティングの一連の工程で効率的に業務を進めるためには、どのようなプロンプトで投げかければ良いのか」という勘所はツールを実際に触ってみなければわかりません。逆に勘所が掴めると効率化が望めますし、ヒューマンインザループのポイントを見出すためのヒントも得られるはずです。SGEやBingなどの検索エンジンはもちろん、生成系AIをとにかく使ってみてください。

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この記事の著者

渡辺 佳奈(編集部)(ワタナベ カナ)

1991年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部を2013年に卒業後、翔泳社に新卒として入社。約5年間、Webメディアの広告営業に従事したのち退職。故郷である神戸に戻り、コーヒーショップで働く傍らライターとして活動。2021年に翔泳社へ再入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/10/20 09:30 https://markezine.jp/article/detail/43807

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