SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第98号(2024年2月号)
特集『お客様の「ご愛顧」を得るには?』

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

小さな会社、大きな仕掛け

「誰も看板なんて見たくないんです」それでもきぬた歯科が高い広告効果を実感できるワケ【後編】

 2012年、インプラントのトラブルを取り上げたテレビ番組の放送を機に、きぬた歯科の客足はみるみる遠のいてしまった。あまりにも暇になったきぬた先生は、それまで手が回っていなかった広告効果の計測に着手。すると、年間1,200万円を投じていたSEOと、年間75万円で八王子インターチェンジに出稿していた看板広告の費用対効果がほぼ同じだとわかったのだ。

※本記事はMarkeZineプレミアムの有料記事です。11月9日(木)~16日(木)の期間限定で無料公開しています。「年間広告費は2.5億円!異端の歯科医院が看板広告を制するまでの波乱万丈ストーリー【前編】」もあわせてどうぞ。

データは参照しても数字の意味は考えない

 思い立ったが吉日、きぬた先生は八王子近辺で徹底的に攻勢をかけた。地図を仕入れて人が多く集まる場所(観光地)や視認性が高い場所(長い直線からカーブにさしかかる場所)、目視時間が長い場所(よく渋滞する場所)を予測し、片端から看板を設置。高尾山口駅、その駐車場、幹線道路の特定の場所など、一週間に1ヵ所のペースで設置場所を一気に広げていった。確実にうまくいく自信があったため、他社から真似される前に着手したという。

首都高速沿いに掲出されたきぬた歯科の看板広告
首都高速沿いに掲出されたきぬた歯科の看板広告

 加えてきぬた先生は、既存顧客のデータを参照しながら看板の出稿戦略を考えた。西八王子から車や電車で約30分の距離にあたる相模原近郊から来院する顧客が多い一方、相模原近郊からほど近い町田近郊からの来院はほとんどないことが判明。明確な理由はわからないが、顧客になり得る場所とそうでない場所がデータで可視化されたため、そのデータを基に行動パターンを予測し、看板を配置したのだ。

「今でも『なぜこの場所からの顧客が多く、この場所には顧客が少ないのか』などの明確な理由はわかりません。でも、完璧にわからなくて良いんですよ。顧客がいるという事実が明らかな以上、その人々の行動を中心に看板を展開していけば良いだけなので」(きぬた)

 きぬた先生のこの解釈は正しい。データ分析は必ずしも真実を浮き彫りにするために行うものではなく、あくまで傾向を読むものであり、そこから何らかのヒントを見つけ出して次のアクションに活かすことが何よりも重要だからだ。可能な限りコストをかけずに傾向を見つけることができれば、それに越したことはないはずだ。分析のための分析になってしまっては何の意味もない。

即効性の高い看板広告には「衝撃」がある

 話を戻そう。きぬた先生は「ここだ」と思う場所があれば土地の所有者に直接交渉し、看板の設置場所を鉄骨で新規につくってもらったことも少なくないそうだ。看板は交渉次第でいくらでも立てられる上、看板の形状はいかようにも変えることができる。これらの事実はあまり知られていない。

 戦略に基づいて看板広告を出稿した結果、2012年のきぬた歯科の売上は前年の約1.6倍まで成長した。ここで思い出してほしい。2012年の前半はクローズアップ現代の特集により、過去に類を見ないほど閑古鳥が鳴いていたことを。2012年の後半にかけて急速にリカバーしたと言えるだろう。きぬた歯科がこの年に大きく取り組んだのは看板広告だけである。

きぬた歯科におけるインプラント埋入本数の推移(2009年~2023年9月)
きぬた歯科におけるインプラント埋入本数の推移(2009年~2023年9月)

 このデータを見るまで、私は看板というものを勘違いしていたかもしれない。看板は長い時間軸で費用対効果を測る広告媒体だと思っていた。しかしながら一年以内、いや、工夫次第ではそれより早い即効性を期待できる広告媒体だと言える。看板広告で素早く成果を得るには条件があるそうだ。

「看板広告に関しては全て自腹で数を試してきたので、誰にも負けない自信があります。看板広告で最も大事なことは、見ている人たちに衝撃を与えることなんですよ。衝撃が全てだと言っても過言ではありません。誰も看板なんて見たくないんです。だからこそ、見てもらえる工夫が必要なんですよね」(きぬた)

 「誰も看板なんて見たくない」という前提に立つ。このスタンスがきぬた先生の真骨頂と言えるだろう。この前提が抜けると、全ての施策が水の泡になりかねない。話をうかがう中で、きぬた先生が言うところの“衝撃”にはいくつかの種類があることに気付いた。それは「クリエイティブで与える衝撃」「数で与える衝撃」「配置で与える衝撃」の三つだ。一つずつ解説していこう。

この記事はプレミアム記事(有料)です。ご利用にはMarkeZineプレミアムのご契約が必要です。

有料記事が読み放題!初月1円キャンペーン中!

プレミアムサービス詳細はこちら

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラスをご契約の方は
・こちらから電子版(誌面)を閲覧できます。
・チームメンバーをユーザーとして登録することができます。
 ユーザー登録は管理者アカウントで手続きしてください。
 手続き方法の詳細はこちら

次のページ
苦情は見られている証

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
小さな会社、大きな仕掛け連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

阿部 圭司(アベ ケイジ)

アナグラム株式会社 代表取締役/フィードフォースグループ株式会社 取締役。大手アパレルメーカーを経て運用型広告の世界へ。リスティング広告やFacebook広告を筆頭とする運用型広告の領域が得意なマーケティング支援会社アナグラムを創業。その後、フィードフォースグループにグループジョイン後、現役職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2023/11/20 19:00 https://markezine.jp/article/detail/43964

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング