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小さな会社、大きな仕掛け

年間広告費は2.5億円!異端の歯科医院が看板広告を制するまでの波乱万丈ストーリー【前編】

 ビビッドな配色にドクターウェアを着た男性の大きなポートレート。街中や道路沿いでやけに目を引く看板と言えば、きぬた歯科の広告だろう。「西八王子で営業する歯科医院の広告がなぜこんなところに?」「医療機関の広告にしてはクリエイティブが派手すぎるのでは?」見る人に大いなるインパクトと謎を残す看板の、秘密のベールをはがしていこう。

※本記事はMarkeZineプレミアムの有料記事です。11月8日(水)~15日(水)の期間限定で無料公開しています。

西八王子の1店舗のみで年商は16億円超

 東京近郊にお住まいの方なら、この看板を一度は目にしたことがあるはずだ。運転する方は、車へ乗る度にこの看板を見かけることだろう。特に首都高や中央道において、この看板の出現頻度は尋常ではなく高い。

 実はこの看板、歯科医院の院長が自ら広告戦略を考え、掲出場所やクリエイティブを決定している。つまり、緻密に計算されているのだ。そう聞けばマーケターの皆さんは興味が湧かないだろうか?

 この看板の主こそ、きぬた歯科の院長・きぬた泰和さんである。一般的な歯科医院の年商が5,000万円と言われる中、多店舗展開をせず西八王子駅前の1店舗のみで年商16億円を超える異端の歯科医院だ。歯科医院の原価率が50%程度だと考えると、いかほどの利益をたたき出しているかは想像に難くない。ちなみに、きぬた歯科の年間広告費は約2.5億円(2023年時点)だという。

 取材にあたり、西八王子駅に初めて降り立って唖然とした。駅前のロータリー沿いに並び立つビル。その至るところに「きぬた歯科」の文字が見えたからだ。

 文字が掲出された場所は全てきぬた歯科の施設。あまりにも数が多すぎるあまり、きぬた歯科の看板を禁じるテナントまで存在しているらしい。東京のローカルな駅と言えども、これほどまでに大きな面積を占める歯科医の看板は見たことも聞いたこともない。

バス停前の立地には刷り込み効果が期待できる

「歯科医ってのはいつか独立するものなんですよ。なので『なぜ独立したのか』と聞かれても『そういうもんだ』ってのが答えになっちゃいますね。ただ、独立開業してもまともに食えない歯科医を多く見てきたので、立地だけはこだわりたいなと思って。関東近郊の空き物件を探し続けていました」(きぬた)

きぬた歯科 院長 きぬた泰和さん
きぬた歯科 院長 きぬた泰和さん

 「歯科医院の数はコンビニより多い」と言われるほど、市場はレッドオーシャンだ。そのため、立地が生命線になり得ることをきぬた先生は肌身で感じていた。独立にあたり、選べなくなるほどの数の物件を見たという。

 「駅前であること」「バス停前であること」この二つの条件を満たしたのが、中央線西八王子駅と京王線つつじヶ丘駅の物件だった。最後の決め手は駅の乗降客数。当時は西八王子駅の乗降客数がつつじヶ丘駅の約6倍であったにも関わらず、家賃には大差がなかったそうだ。JR線の強さを実感し、縁もゆかりもない西八王子駅前に出店を決めた。

 駅前が有利なことは素人でもなんとなくわかるが、バス停前を条件として含めるあたりにきぬた先生の嗅覚の鋭さがうかがえる。「バス停前は滞在時間などの観点から看板と同じ刷り込み効果がある」という狙いにも納得だ。

 開業後、狙いどおりに集客が成功し、売上は順調に推移した。しかしながら、週に6日9時から20時まで働いても、月に残る金額は数十万円程度。保険診療だけでは大きな利益を出しにくいのが歯科医院という事業である。それでも、コンビニより多いと言われる歯科医院の中では「そこそこ上手くやれているほう」だったという。この状態が2年ほど続いた。

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この記事の著者

阿部 圭司(アベ ケイジ)

アナグラム株式会社 代表取締役/フィードフォースグループ株式会社 取締役。大手アパレルメーカーを経て運用型広告の世界へ。リスティング広告やFacebook広告を筆頭とする運用型広告の領域が得意なマーケティング支援会社アナグラムを創業。その後、フィードフォースグループにグループジョイン後、現役職。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2023/11/16 10:40 https://markezine.jp/article/detail/43908

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