経営層に説明しておきたい、ライブコマースの可能性
即時的な売上への直結が難しく、かつ継続的な活動が重要となると、やはり気になるのは会社、特に経営層とどのような連携を取っていくべきかだ。幸いにも資生堂では「経営トップの理解があり、この活動を推してくれた」が、そうもいかない場面も十分考えられる。河原氏は経営層に対して「ライブコマースの成果は売上だけではない」と説明している。
ライブコマースの成果は売上に加え、コミュニティーとメディアの存在が大きい。
コミュニティーは、前述にあるライブ体験のコミュニケーションにより、愛着心や一体感が生まれ、形成するものだ。
そしてメディアには、ライブコマースのアーカイブが該当する。アーカイブには、ただその場で買うのではなく、商品や使い方を理解するために見るという需要が存在する。「メディアとしての価値も十分にある」と河原氏は語っている。
ライブ感を共有するコンテンツとしてだけではなく、ストックできる情報としての価値もあることを含めた効果を経営層に説明することで、ライブコマースを継続的な活動にしていくこともできるようだ。
その他にも、実際の活動を始める前の説得材料集めとして、PoCの実施も一案として挙げられた。小さく始めてみることで3点の成果を体験・再現してみることも有用になりそうだ。
社員インフルエンサーが生き生きと活動する環境作りを
今後の展望として、河原氏は「新しい体験の創出」を目指している。その体験のベースとして「オムニPBPとお客様の絆をベースとしたビジネスをやっていきたい」とも語った。
「今まで弊社は、会社・ブランド・店舗があり、それらとお客様がつながっているという状況でした。そこにオムニPBPのようなパーソナリティーを持った人を追加することで、よりお客様とのつながりも強くなるのではないか、何か新しいビジネスやコミュニケーションを作れないかと考えています」(河原氏)
これまでの新しい体験は、オムニPBP一人ひとりや、チームの試行錯誤を経て創出されてきた。この活動を継続していくためには、個々人のモチベーション維持も重要なポイントになる。こうしたモチベーションを維持するためにもフォロワー数などの成果が伴うことが重要だ。
成果を出す環境作りの一環として、他の社員インフルエンサーの成功事例を参考にする場面も多い。「まねをしただけだとなかなか伸びない」という点もある一方、「なぜたくさんのお客様がこのコンテンツを見てくださるのか、まねをすることで学びがある」ため、「楽しみながらまねしている」そうだ。
「やはり1人で活動していると、数字が伸びなかった時など色々苦しい場面もあるので、そういう時こそチームで活動し、会社としての環境を整えるというところが、オムニPBPのメンバーが生き生きと活動するために必要なのかなと思っています」(河原氏)
