Robloxがマーケティングに活用できる3つのケース
MZ:海外では様々な企業・ブランドの活用が進むRobloxですが、日本企業が活用するとしたらどのような目的だと活用しやすいでしょうか。
森岡:Robloxをマーケティングに活用する場合、大きく3つのケースが考えられます。1つ目は「ゲームやメタバースを絡めて何か施策を展開したい」ケースです。他のプラットフォームでのコラボレーションや新規サービスの開発だと開発やメンテナンスに工数がかかったり、集客が大変だったりします。一方、Robloxの場合DAU6,550万の圧倒的なグローバルのリーチがあるので、新しいファンコミュニティを作っていけるチャンスがあります。
2つ目は「ブランドの世界観を表現したい」ケースです。Robloxのエクスペリエンスの自由度は高く、自社のブランドイメージに合ったエクスペリエンスを作りブランドの世界観に没入してもらう、といった体験の提供が可能です。
3つ目は「日本から世界に商品・サービスを広げていきたい」ケースです。現時点では海外ユーザーの割合が圧倒的に高いので、海外向けに発信していきたい場合は相性が良いと思います。
MZ:ちなみに両社では、企業やブランドと一緒に取り組んだケースはあるのでしょうか。
田中:たとえばGeekOutでは、本田技研工業様とHonda Power Productsのエクスペリエンスを作り、耕うん機や芝刈機などを使ったゲームなどが体験できるようにし、本田技研工業様の伝えたいことを全世界に発信しました。
森岡:電通グループのグローバルでの話ですが、我々の北米チームではP&G様とP&G Parkというエクスペリエンスの制作を支援させていただきました。
MZ:現時点だとグローバル向けのコミュニケーションで活用される側面が強いんですかね。
田中:現時点ではそうですが、国内のユーザーも着実に増えていて、既に国内向け施策も十分に可能なボリュームになってきていると思います。
森岡:Roblox本社としても様々な国・地域がある中で日本市場を最重要マーケットに認定しているので、これから取り組みが加速すると予想します。
エクスペリエンス開発からアバターアイテム、タイアップまで幅広い施策の可能性
MZ:Robloxを企業が活用する場合、どのようなパターンがあるのでしょうか。
森岡:Robloxに企業が参入する際のポイントはいくつかあって、1つ目は常設型のエクスペリエンスの開発です。これは開発期間が半年以上から1年弱かかるので、多少コストと時間のリソースが必要になります。
ただ、その前にもエントリーポイントがあります。たとえば、マーケットプレイスと呼ばれるアバターアイテムが購入できる場所に企業やブランドオリジナルのアイテムを作ることができます。既にグッチやバーバリーなどのブランドのアイテムが存在します。
また、既存のエクスペリエンスとコラボタイアップする方法もあります。既にトラフィックのある人気タイトルと組んで限定マップやスポンサードエリアを設置するなど、期間限定でコラボすることによって効果的な認知獲得が見込めます。
その他にも、ポップアップショップのように期間限定のエクスペリエンスを作成するといったことも可能です。これらの手段を用いながら、最終的に常設型のエクスペリエンスを作り上げていくという流れになると思います。
そして電通として注目しているのが、Robloxが2023年から提供を開始した没入型広告(Roblox Immersive Ad)です。この広告では、特定のエクスペリエンスにポータルというゲートを設置して、別のエクスペリエンスへの移動を可能にします。作った自社エクスペリエンスへの集客をリッチなクリエイティブで行えるのが特長です。
MZ:最後に今後の展望を教えてください。
森岡:海外ではあらゆる企業、ブランド、IPコンテンツがRobloxに参入してきているので、日本でも同じ流れを作れるよう、日本向けのコンテンツを増やしてユーザー、ディベロッパーを活性化させたいですね。
田中:今Robloxにおいては「Non Game Experience」と「Aging Up」がキーワードになっています。現時点では子供など若年層向けのゲーミングプラットフォームのイメージが強いんですが、誰でも楽しめるプラットフォームとして大きくなっていくと考えています。我々も子供向けのゲームだけでなく、国内の様々な方に日常的に楽しんでいただけるものを作っていきたいです。