CEOやCFOがマーケティングに不信感を抱く理由
STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)、ロイヤルティ、顧客育成、離反防止、差別化ポイント、ニッチ戦略、ブランドイメージ、パーセプション、購入意向、推奨意向、態度形成、ファンコミュニティ、購買ファネル、マーケティングROI……。
マーケティング界隈には、様々な理論やフレームワークが溢れていますよね。これらは戦略の方向性を示す地図、あるいはアクションの優先順位や手順を表す“モノサシ”として多くのマーケターに採用されています。
ところで、みなさんは、そうした話の根拠を自分で確かめたことはありますか? 意思決定の前にきちんとファクトチェックしているでしょうか。恐らく大半の方は、特に疑うこともなく、普段の会議や企画書、ビジネス会話の中で使っていると思います。
「だって、あの大先生の理論なのだから間違っているわけがない」「あの有名マーケターが作ったフレームワークだから信頼できる」
……本当にそうでしょうか。そうした属人的な思い込みが売上低下やセンミツ化を招き、CEOやCFOのマーケティングに対する信頼を損ねたケースを、私は数えきれないほど見てきました。よくあるのが次のようなシナリオです。
1.有名な理論やフレームワークを基に戦略や戦術が決まり、施策がつくられる
2.しかし、厳密に効果測定してみると売上がインクリメンタルに増えているとは言えない(正味の貢献が少ない、統計的には有意でも効果量が小さい、etc.)
3.それでは上司や経営陣への見栄えが悪いので、既存顧客に絞りこんで「ROIが高い」「ファンのロイヤルティが向上した」「購買意向が高まった」などと報告
4.しかし、結局は成長の踊り場からは抜け出せず、売上は縮小していく
5.プロジェクトの振り返りでは、競合の影響、市場の縮小、顧客の世代交代等のもっともらしい理由が挙げられ、現場には平穏が戻るが、経営層には不信感が募る
昨年末の『戦略ごっこ』上梓後、こうした問題をフィックスしてほしい、マーケティング部門を立て直したいという相談が後を絶ちません。本書では、従来のマーケティングで「当たり前」とされているような理論や手法、キーワード、フレームワークに対して、総当たり的にエビデンスのメスを入れました。
執筆に際しては、実証研究を中心に数百の論文や先行文献を調べたのですが、いわゆる“定石”や”通説”と言われているような理論でも「事実ではない」、あるいは「一般的に有効とは言えず、場合分けや条件づけが必要」なものが相当数あることがわかってきました。
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『戦略ごっこ』著者 芹澤氏が解く、マーケターの無意識の「既成概念 」 STP?差別化? 鵜呑みにしていた「定石」の真実を知る40分
