運賃割引キャンペーンなど新たな施策で利用者増へ
──鹿児島交通局では、今回の分析で得られた示唆やダッシュボードを活用し、今後どのようなことにチャレンジしたいとお考えですか?
中木屋(鹿児島市交通局):多くの人にとっては、移動すること自体というより、移動先での活動に目的があるはずです。今後はstera transitの導入とダッシュボードにより、乗降前後の人々の活動を把握することで、市電や市バスの利用者数増につなげたいと考えています。
宮本(三井住友カード):stera transitを導入すると、たとえ路線がつながっていなくてもサービス連携機能を活用いただけます。たとえば、タッチ決済機能で鹿児島市内の電車やバスを利用した方が、その後に空港行きのリムジンバスでもタッチ決済で乗降した場合、その方の利用額を割引するキャンペーンがstera transitなら実現可能なのです。
また、タッチ決済で交通機関を利用した方が周辺の商業施設および観光施設を利用した場合に、その方の運賃が割引されるような施策や、あらかじめ設定した上限運賃を超える移動が発生した場合に、超過分の金額を割引するような施策も登場しています。stera transitの導入と利用が広がるにつれ、施策の幅はさらに拡充していくでしょう。同時に分析ニーズも多様化していくと思います。
中木屋(鹿児島市交通局):今後はタッチ決済で乗降する方の分母を増やし、ビッグデータとしての価値を高めていきたいですね。2024年3月には市バスにもタッチ決済を導入するため、活用可能なデータはさらに集まると見込んでいます。
全国の交通機関にクレジットカードで乗れる未来
──三井住友カードは、今後stera transitやCustella Analyticsを通じてクライアントにどのような価値を提供していきたいですか?
氏原(三井住友カード):鹿児島市交通局様とのお取り組みをモデルケースとしつつ、今後より多くの自治体様や交通事業者様にstera transitを導入いただけるように尽力したいです。
氏原(三井住友カード):移動と属性、消費のデータを掛け合わせることで、観光振興や住民サービスの向上に役立てていただけると思います。将来的にはクレジットカードで日本全国の鉄道やバスに乗ることができる社会をつくり上げていきたいです。
宮本(三井住友カード):stera transitを導入される交通事業者様は着実に増えており、今後も引き続き増えていくことが予想されます。将来的には交通事業者に留まらず、沿線の自治体や企業を含めた取り組みが求められるでしょう。そのような中で、我々の提供するサービスが社会にもたらす価値はさらに向上すると考えています。
登坂(三井住友カード):今回のように、分析結果のレポーティングとダッシュボードの構築をセットで提供することは、私たちにとって初めての試みでした。鹿児島交通局様の例をモデルケースとして、今後もより多くのクライアント様に同様のプランを提案していきたいです。
私たちの仕事は、データ分析の支援によって事業者様が描く未来を実現させていくことです。鹿児島市交通局様が目指す未来を実現できるよう、今後も取り組んでいきたいと思います。