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リードナーチャリングの仕組みを3ヵ月で構築 ベネッセBtoBマーケ部門が実践で得た「始め方」の極意

顧客理解のある営業を「巻き込む方法」

 早川氏によると、ナーチャリング業務の推進は大きく3段階に分けられる。「(1)顧客理解」に始まり、それに基づいた「(2)ナーチャリング構築」でシナリオを固め、インサイドセールスに「(3)リード連携」するという流れだ。そもそもナーチャリングを行うには対象となる顧客の情報が整理されていなければならない。しかし、当初はフォームデータで取得してきた情報に揺らぎが多く見られ、使える情報があまりなかったという。同社でも上記の手順で仕組み作りに取り組んでいった。

 まず(1)顧客理解のフェーズは、「ターゲット(セグメント)特定」「ペルソナ定義」「カスタマージャーニー設計」の順で進められた。

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 ここで重要となるのが「とにかく営業を巻き込むこと」だ。

 「お客様を社内で一番わかっているのは営業です。私としては、顧客理解をスピーディーに進めるために営業からの声を集めたいと考えました。でも、営業メンバーも非常に忙しく、なかなか時間を取ってもらうことは難しい。そこで営業側のインサイトを考えることから始めました」(早川氏)

 マーケター側から情報が欲しいといっても営業側にメリットがなければ動きづらい。そこで早川氏は営業側にもメリットがあるテーマでワークショップを開催したという。

 たとえば、「商談落ちする時に、何がボトルネックになっているのか、一緒に考えませんか?」といった営業側の視点で声がけ。それでも時間を取ってもらうのが難しければ、オンサイトで行うキックオフなどの営業が集まるタイミングで、そのうち1時間を割いてもらえるように交渉したという。実施方法には付箋を使ったブレスト形式を採用。アウトプットをできるだけ増やし、営業側も「楽しかった」「得られるものがあった」と感じてもらえるような仕掛けを作るように心がけた

 早川氏らマーケティング部はこうして収集した情報から、ペルソナを見出していった。その確からしさを確認するために、営業に個別でヒアリングも実施。営業からの意見で仮説をペルソナという形にし、それを再び営業に戻してフィードバックを得て、ブラッシュアップをしていった。

 「ヒアリングも手当たり次第ではなく、気になったお客様の担当者の方にお声がけして、個別でアプローチをしていきました。仮説で立てたお客様の思うこと、そのイメージが合っているかどうかを確認するという目的意識で臨みました」(早川氏)

 早川氏は、こうしてペルソナやカスタマージャーニーを構築。営業側からフィードバックが継続的にもらえるよう、それらの情報すべてを常に公開し続け、コメント機能で誰でもいつでもフィードバックができる環境を整えた

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「完璧を目指さない」がナーチャリング構築を素早くする

 二つ目のフェーズ「ナーチャリング構築」は、次の図の流れで進められた。

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 「まずは前段階で作成したカスタマージャーニーに沿って、どんなフェーズのお客様にどんなコンテンツを届けるかを考えました」(早川氏)

 元々、マーケティング部門のコンテンツは一元管理されていて、コンテンツリストはあったというが、それだけでは足りない。ここで生きた考え方が「完璧を目指さない、今あるもので」だ。コンテンツが足りない場合、新規のコンテンツを用意しなくてはと思ってしまうが、早川氏は「時間がかかるので、まずはあるものだけでプロットすることを心がけた」と話す。では「あるもの」とは何なのか、どのように見つけ、使えるようにしたのか。

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組織内の情報を最大限活用 他部署から集まる仕組み

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この記事の著者

中村 祐介(ナカムラ ユウスケ)

 株式会社エヌプラス代表取締役

 デジタル領域のビジネス開発とコミュニケーションプランニング、コンサルテーション、メディア開発が専門。クライアントはグローバル企業から自治体まで多岐にわたる。IoTも含むデジタルトランスフォーメーション(DX)分野、スマートシティ関連に詳しい。企業の人事研修などの開発・実...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/05/31 08:00 https://markezine.jp/article/detail/45212

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