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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

「マーケティングの担う領域にボーダーラインは引かない」日産の経営を支えるパーパスドリブンな戦略と組織

 近年の具体的な事例としては、2022年に開催されたNBAジャパンゲームスおよび2023年のバレーボールワールドカップで行った「ProPILOT MOP(プロパイロットモップ)」のパフォーマンスがあります。コートを清掃するモップが当社の先進運転支援技術「ProPILOT」を搭載しており、ダンサーとの共演を披露しました。その様子を撮影した動画は、オーガニックだけで1億リーチを達成し、約30ヵ国で話題になるという結果になりました。

NBAジャパンゲームスで行われた「ProPILOT MOP」のパフォーマンスの様子

 このような戦略的にPRを実行していく上で、私たちは「Dance Over There(ダンス・オーバーゼア)」という考え方を大事にしています。従来の広告が「川」の対岸にいるお客様に私たちの「踊り」を見せるようなものだとしたら、私たちが川を渡りお客様の横で踊り、一緒に楽しむような広告にしようという考え方です。つまり、私たちからお客様に寄り添ってコミュニケーションを行っていくという行動指針を表しています。こうした活動を通してお客様が求めるものと日産が伝えたいことの交点を見つけ出すことが重要だと考えています。

 また、日産の技術や取り組みをもとに、社会貢献につながるような別アプローチも実施しています。たとえば、約2年前に始めた「学校マーケティング」と呼んでいる施策。これは、小学校5年生の総合学習の教材に当社の電気自動車を取り上げてもらうことで、その重要性と私たちの企業スタンスを早くから理解してもらう施策です。そもそも当社が電気自動車と自動運転を柱にした背景には、自動車による「排気ガスゼロ」と「死亡事故ゼロ」を成し遂げたいという強い理念があります。現在では、年間で約10万人以上のお子様に、電気自動車が普及する重要性について学んでもらっています。

担当領域にボーダーラインを引いてはいけない

――日産の中でマーケティング組織が果たすべき役割と、もたらすべき価値について、どのように考えていますか?

 今やマーケティング視点が必要な領域は広告だけにとどまりません。インターナルマーケティングによる従業員のモチベーションアップ、お客様のロイヤルティ構築、コーポレートパーパスの設定、自動車づくりの起点となる生活者のインサイトの理解までマーケティングの領域に含まれています。そういった観点から、私たちマーケティング本部は、担当領域にボーダーラインを引いてはいけないと考えています。つい先日も、マーケティング本部のスタッフから生産部門のスタッフに、ブランドについてのセッションを行いました。こうして全社的に関わるという意味では、マーケティングこそビジネスの根幹だと感じます。

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90周年を機にパーパスを具体化する

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この記事の著者

三ツ石 健太郎(ミツイシ ケンタロウ)

早稲田大学政治経済学部を2000年に卒業。印刷会社の営業、世界一周の放浪、編集プロダクション勤務などを経て、2015年よりフリーランスのライターに。マーケティング・広告・宣伝・販促の専門誌を中心に数多くの執筆をおこなう。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 10:48 https://markezine.jp/article/detail/45333

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