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【100号特集】24社に聞く、経営構想におけるマーケティング

5つの柱でお客様の期待を超える マーケティングとイノベーションを実現する

アサヒビールの成長に欠かせない5つの柱

――イノベーションとマーケティングの連鎖を生み出し続け、100年続くビール会社となるために、マーケティングではどのような構想を描いていますか。

梶浦:基本となるのは既存カテゴリーを成長させながら、新たな価値を創造するサイクルを回し続けることです。そのためにアサヒビールは、以下5つの柱に関するマーケティングに注力しています。

1.スーパードライ、マルエフなどのビール類

2.スマドリ(微アルコール、ノンアルコール)

3.ハイバリューカテゴリー

4.ニッカウヰスキー

5.業務用市場

 1つ目のスーパードライを中心としたビールは一番比重が大きく、現在の経営のベースとなっています。成長させ続けるのも一番大変な事業ですが、価値・味を高め続けていきたいと考えています。

 2つ目のスマドリは、飲む人も飲まない人も一人ひとりの体質や気持ちに合わせてドリンクを選ぶ多様性を認め合えるこれからの飲み方を指す「スマートドリンキング」の略です。

 アサヒビールの調査では、日本の20代から70代の飲酒可能人口約9,000万人のうち、お酒を日常的に飲む人は2,000万人ほどで、飲まない・飲めない人はその倍以上の5,000万人いると推計しています。この5,000万人の方にどうやってアサヒビールのお客様になっていただくか、そしてグローバルを含めてスマドリのコンセプトを広げていくかが重要です。

 3つ目のハイバリューカテゴリーとは、お客様の期待を超える独自価値を持ち価格に左右されず選択され続ける商品です。価格競争に巻き込まれるような商品ではなく、機能価値と情緒価値の両面でお客様に驚きや感動を提供することを目指します。その対象はビールだけでなく、洋酒、スピリッツ、缶チューハイなどのRTD(READY TO DRINK)も当てはまります。

 そのために直近リリースするのが「未来のレモンサワー」です。生ジョッキ缶で採用しているフルオープン缶を利用し、缶を開けると本物のレモンスライスが浮きあがってくるという独自の価値を生み出しています。これにより、既存の缶チューハイよりも高い価値を認めてもらえるようチャレンジしています。

 4つ目のニッカウヰスキーは、アサヒビールの重要な資産です。ニッカウヰスキーは2024年に創業90周年を迎えますが、これをマイルストーンに成長ドライバーとして次の10年に向けた計画を立て、グローバルにもさらに展開していきます。

 最後の5つ目の業務用市場に関しては、様々な積極的な提案を通じて、外食ならではの飲用体験を提供していきます。飲食店を楽しくワクワクするブランド体験の場にし、外食業界を盛り上げたいと考えています。

スマドリの認知は2倍以上増加、取り組みに手応え

――2つ目に挙げたスマドリに関しては、テレビCMなどのコミュニケーションで見かける機会も増えたように感じています。スマドリに対する生活者、社会の反応はいかがでしょうか?

梶浦:スマドリの認知率は2023年1月時点で約14%でしたが、テレビCMやデジタル広告などのコミュニケーションで若年層を中心とした認知率が増加し、同年12月には約29%と約2倍になりました。20代で飲酒しない人の認知率に関しては40%を超えています。2020年12月にスマートドリンキング宣言をし、当初から携わっていますが、約3年を経て手応えを得られるようになってきました。

 昨今、飲酒に関する様々な社会課題が浮き彫りになり、「何かしなければならない」という意識が業界関係者はもちろん、社会全体で高まってきました。アサヒビールの新卒採用面接でも「スマドリに携わりたい」という学生の方が増え、社内でもスマドリに関わる部署の異動希望が増えています。お酒にまつわる課題を解決しながらお酒の良さを伝えていくのがスマドリの考えなので、それが若い方を中心に受け入れられているのは嬉しいです。

 また、ロー・ノンアルコール飲料の売上も好調なので、ビジネスとしてもスマドリが軌道に乗ってきたと実感しています。

――トヨタモビリティ東京のカフェのドリンクメニューをスマドリバー渋谷が監修するなど、異業種とのコラボレーションも行われ、業界外にも取り組みが広がっている印象があります。

梶浦:今年2月には、コナミグループのeスポーツCAFe&BAR「STROPSe」限定のオリジナルドリンクメニューを開発するなど、異業種の企業様との取り組みは増えています。

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経営、商売の感覚を持ったマーケターを育てていく

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この記事の著者

道上 飛翔(編集部)(ミチカミ ツバサ)

1991年生まれ。法政大学社会学部を2014年に卒業後、インターネット専業広告代理店へ入社し営業業務を行う。アドテクノロジーへの知的好奇心から読んでいたMarkeZineをきっかけに、2015年4月に翔泳社へ入社。7月よりMarkeZine編集部にジョインし、下っ端編集者として日々修業した結果、2020年4月より副...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/06/20 11:02 https://markezine.jp/article/detail/45380

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