スマホ以外の接点を強化する狙い
──最初に「kikito(キキト)」がどのようなサービスなのか教えてください。
櫻井:kikitoはNTTドコモの家電レンタル・サブスクサービスです。アクションカメラやVRゴーグル、美容家電、フィットネスなど、様々な領域の最新家電やデバイスを気軽に試していただけます。
櫻井:たとえば「旅行のときだけカメラを使いたい」など、期間を日単位で選びたい方には短期レンタルプランを、月額定額制で好きなだけ使いたい方には月額サブスクプランを用意しています。商品によって条件は異なりますが、一定期間利用すると、その商品はお客様のものとなる仕組みです。
櫻井:kikitoを利用いただくメリットは、購入前に試せることにあります。特にVRゴーグルのような先進性が高い製品の場合、興味はあってもなかなか購入に踏み切れない方が多いですよね。また、お子様の月齢が低い時期だけ「見守りカメラ」などのベビー用品を使いたい親御さんのニーズにも対応可能です。
──通信事業をコアに据えるNTTドコモが、家電レンタル・サブスクサービス事業に参入した背景をお聞かせください。
櫻井:通信事業の場合、お客様との接点はスマートフォンがメインとなります。スマートフォンは今後も重要なデバイスであり続けると考えていますが、5GやAI、XRといった最新技術のポテンシャルをお客様に最大限感じていただくにあたり、スマートフォンだけでは不十分になりつつあると感じていました。
そこで当社では、スマートフォンと何かを組み合わせて価値を生み出したり、スマートフォン以外のデバイスを通じてお客様との接点を強化したりしています。その一環として2021年4月にローンチしたサービスがkikitoです。気軽に試せるサブスクの形をとることで、先進性の高い製品を多くの方々にとって身近な存在にしたいという思いもあります。
前例がなく手探りのマーケティングに課題
──kikitoのマーケティングを実行するにあたり、どのような課題がありましたか?
櫻井:kikitoのローンチに向けて準備を始めた2019年当時は、家電サブスクのプレイヤーが少なかったため、参照できる事例がありませんでした。社内にも当然前例はなかったですし、外に目を向けてもkikitoのマーケティング戦略につながる有効な事例を見つけることができなかったんです。「運用広告とオーガニックをどれくらいの比率にすれば獲得につながるのか」など、手探りの状態で進めていましたが、2022年よりアイレップさんに出向いただき、マーケティングを強化することになりました。
藤原:2022年度に出向という形でNTTドコモにジョインし、2023年度はアイレップの「常駐型コンサルティングサービス」を活用いただく形で櫻井さんのチームに所属していました。
藤原:常駐型の場合、マーケティングのみならずサービス全体の状況を把握できるため、クライアント企業様の事業に対する解像度が上がり、ビジネスの構造や特徴を踏まえた提案ができるようになります。
常駐期間はNTTドコモの社員として、物流や商品の調達など広告以外の領域のミーティングにも参加しながら「アイレップのマーケティングの知見をどう活かせばkikitoの新規ユーザー獲得につなげられるか」を考えていきました。