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ブランドは気まぐれな消費者とどう向き合うべきか?

ブームから浸透へ。第3の消費潮流「トキ消費」を生み出すための3つのヒントを解説

トキ消費を創出するためのポイント

MarkeZine編集部:トキ消費の特徴を踏まえて、ここからはマーケティングに活かすためのポイントを伺っていきます。トキ消費を創出するために、マーケターはどのようなことを意識するとよいでしょうか?

夏山:消費者が受身・客体的だったモノ・コト消費とは異なり、トキ消費は生活者が主体的に参加しなければ達成できない新しい消費スタイルです。その点で、従来の消費潮流とはまったく違うものであることを意識するとよいでしょう。読者の皆さんにおいては、いかにトキ消費を生み出すか? に関心があると思いますので、今回は、トキ消費を生み出すためのヒントを3つご紹介しようと思います。

ヒント1:お題を与える

夏山:取り入れやすいアプローチとして、トキの「お題を与える」という方法があります。たとえば、ある環境保護団体が「数量限定の商品を購入後、ハッシュタグとともにSNSに写真を投稿しよう」と呼びかける生活者参加型のキャンペーンを期間限定で実施していました。このように、参加の「お題」を出すことで生活者は参加しやすくなります。

MarkeZine編集部:お題=ハードルとも思えますが、逆に何かしらのお題があるほうがハードルが下がる場合もあるのですね。

ヒント2:新しいトキを作る

夏山:新しいトキを作るという方法もあります。日本愛妻家協会が、1月31日の8時9分に、夫婦でハグをしようという呼びかけを行っているのをご存知ですか? こうした日時を限定した語呂合わせ開催というのも一つのヒントになります。細かく日時を限定することで、非再現性を高めているんですね。

ヒント3:モノ・コト・トキを循環させる

夏山:3つ目にご提案したいのが、「モノ・コト・トキを循環させる」ということです。トキ消費をテコにすると、モノ消費・コト消費を活性化させることができる。言い方を変えると、従来型のモノ消費やコト消費も、トキ消費に転化させることができます。具体的には、「今、ここだけでしか買えない」というような状況を作ることで、モノ消費をトキ消費に転化させたり。体験の非再現性と参加性を高めることで、コト消費をトキ消費に転化させたりすることができるでしょう。

こんな例も!MarkeZine編集部ピックアップ「トキ消費」の好例

1.味の素冷凍食品 冷凍餃子「フライパンチャレンジ」

 ある主婦が不満からX(旧Twitter)で「油いらないって!!!!書いてたじゃん!!!!!!嘘つき!!!!!!」と、フライパンにこびり付いた餃子の写真を投稿。これに対し味の素公式アカウントがこびりついたフライパンを預かり調査するキャンペーンを展開。キャンペーンは話題を呼び、3000個以上のフライパンが届けられ商品を改善、販促とブランディングに貢献した。

2.Honda VEZEL「THE MOVIE OF GOOD GROOVE RADIO」

 みんなで同じ時間にドライブした記録を1つのムービーにまとめよう、というプロジェクト。1日限りの特別ラジオ番組にて、プロジェクトスタートの号令を放送。みんなで同じラジオを聞きながら、その時間にドライブしている動画・写真を撮影し、指定のハッシュタグをつけてInstagram/Xに投稿してもらうことで、トキを共有した。

3.キリンビール 晴れ風「晴れ風ACTION」

 「キリンビール 晴れ風」の売上の一部を社会貢献活動に還元するアクション。生活者は「晴れ風ACTION」を通して、日本の風物詩である桜や花火イベントなどの保全・継承に向けた取り組みに寄付することができる。「晴れ風ACTION」で寄付する方法は2つ。商品を購入するか、特設サイトへアクセスすると無料で付与される晴れ風コインを使って寄付する方法がある。

MarkeZine編集部:トキ消費の考え方を取り入れることで、マーケティングに新たな切り口が生まれそうです。

夏山:トキ消費を意識したマーケティングは、ブランディングにも寄与すると思いますので、取り入れる価値はあるのではないでしょうか。

 トキ消費は、生活者の主体的な参加によってはじめて完成するものです。企業側から見ると、トキ消費は生活者とともに生み出す消費と言えます。まずは、「生活者と一緒にどんなトキを作っていくか?」を考えてみるとよいと思います。

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この記事の著者

塚本 建未(ツカモト タケミ)

ライター・編集者・イラストレーター。早稲田大学第二文学部を卒業後、社会人を経て再び早稲田大学スポーツ科学部へ進学。2度目の学部卒業後は2つの学部と高校デザイン科で学んだ分野を活かすためフィットネス指導者向け専門誌「月刊Fitness Journal」編集部に所属してキャリアを積み、2011年9月から同雑誌の後継誌「月刊JAPAN FITNESS」編集部の中心的な人物として特集・連載など数多くの誌面を担当した。現在はWebメディアに主な...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/06/21 09:30 https://markezine.jp/article/detail/45503

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