SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第104号(2024年8月号)
特集「社会価値創出につながる事業推進の在り方とは?」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

有園が訊く!

「LTVマーケティング」で価値を創出 新体制のオプト、金澤社長が目指す“ユーザー起点”の支援

 生成AIのインパクトがマーケティング業界に大きく及んでいる今、広告やマーケティングに携わる各社の方向性が注目されている。2024年4月、デジタルホールディングスグループの中核会社でマーケティング支援を手掛けるオプトが、会社統合によって新体制に移行。金澤大輔氏が代表取締役社長CEOに再任した。本稿では、Microsoft Advertisingの事業責任者を務める有園雄一氏が、金澤氏に組織再編の狙いや今後の戦略について聞いた。

3つの領域「広告支援/DX/事業開発」で新しい価値を創出

有園:デジタルホールディングスグループは2024年4月、連結子会社4社をオプトに統合しました。デジタルホールディングス(以下、デジタルHD)のCOOを務めていた金澤さんは、3年ぶりにオプトの代表に復帰しています。なぜこのタイミングで、グループの組織再編をしたのですか。

金澤:2020年7月の商号変更によって誕生したデジタルHDは、約3年間、グループとしてのケイパビリティを広げることに取り組んできました。DXが加速する社会変化に対応し、新たな課題、さらには産業変革を通じた社会課題の解決と向き合うためです。一方、もともと広告代理業を中心にサービスを提供してきたため、他の領域にサービスを広げても、「広告支援とあわせて提供してほしい」という要望が多くありました。

 しかし、そのやり方だけでは今までにないような新しい価値を生み出すことは難しい。広告支援に加えて、DX、そして事業開発の3つの領域を独立させた形でサービスを提供し、対価をいただけるようにすることが必要です。そのため、3つの事業領域それぞれで新しい価値を創造することを掲げてきました。

 それでわかったことは、DXや事業開発のビジネスの進め方が広告とは違うことです。広告支援は1を10、10を100にするような支援が多いですが、DXや事業開発は0から1を作る。「与えられた課題をどう解決するか」という広告のプロセスと比べて、DXと事業開発は「顕在化していない課題を見つけて定義すること」が求められます。今までとは異なるやり方なので難しかったですが、ノウハウを蓄積してきました。

 そんな中、AIが台頭。クライアントでも、経営レベルでAI専任の部隊を組織する動きが出てきました。そのため、サービスごとに担当部署にアプローチするのではなく、クライアントの経営層と話した上で、AIを活用した広告支援・DX・事業開発の価値提供を進めるほうがクライアントの事業成長に貢献できると判断しました。そのために、中心的な機能をオプトに集約したのです。

株式会社デジタルホールディング 取締役 兼 株式会社オプト 代表取締役 CEO金澤大輔氏
株式会社デジタルホールディングス 取締役 兼 株式会社オプト 代表取締役社長 CEO 金澤大輔氏

組織再編にあたり、変えなかった3つのこと

有園:3つの事業をオプトが担っていくのですね。

金澤:事業開発領域は、起業経験者が集まり、新規事業開発を担ってきたグループ会社の社員が活躍しています。DX領域には、M&Aによってデジタルに強い2社に入ってもらっています。ただ、異なる事業、サービス、ビジネスプロセスの会社を一つにまとめるのは、胆力が必要でした。

有園:胆力は仕事をする上でとても大事ですよね。思うようにいかないことばかりですから。オプトの広告事業で作り上げてきた文化と、DXや事業開発の文化は全く違うので、大変だと思います。合併に関して、グループ内からさまざまな意見があったのではないですか。

金澤:まずはパーパス、バリュー、意思決定システムの3つは変えないことを社員に伝えました。グループ全体として目指す姿は変えずに、登り方を変える。そういった話をしました。

 また、当社はどんなことでも社内に開示する社風があります。社員から経営に対して辛らつな意見が寄せられても、取捨選択せずに極力開示しています。会社に対して当事者意識を持ってもらうためです。今回も社員の意見とそれに対する見解を伝え、対話を重ねました。合併によって吸収された事業会社の社長たちが前向きなメッセージを出してくれたことも大きかったですね。

 さらに統合前に1年間、ユニットベースで検証も行いました。広告で取り引きしているクライアントに対して、新ソリューションのアプローチをしたところ、引き合いが多く、実績も出ました。定量的にも定性的にも手応えがあり、統合した方がいいという結果でした。実績に基づいているため、社員の納得感も高まったと思います。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
「マーケティングの7P」の構造が変化している

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
有園が訊く!連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

加納 由希絵(カノウ ユキエ)

フリーランスのライター、校正者。地方紙の経済記者、ビジネス系ニュースサイトの記者・編集者を経て独立。主な領域はビジネス系。特に関心があるのは地域ビジネス、まちづくりなど。著書に『奇跡は段ボールの中に ~岐阜・柳ケ瀬で生まれたゆるキャラ「やなな」の物語~』(中部経済新聞社×ZENSHIN)がある。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2024/08/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/46183

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング