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マーケティングの近未来

儲かる広告主に共通する6つの条件/Cookieレス時代にそのセオリーはどう変化するのか?

「質の循環」が悪循環に陥りつつある

 この「GDN circulation」 にうまく乗っかるためには、たとえば、FromA であれば、検索広告で効果の良いキーワードを100個抽出する。検索広告で効果が良いということは、Googleのクオリティスコアが高いキーワードになっているはずだからだ。クオリティスコアの高いキーワードで検索した場合に表示される自然検索結果リストは、当然、その先の「GDN広告枠付きサイト」に出稿するFromAの広告も効果が高くなりやすい。なぜなら、検索広告の効果から、相性がよいことがわかっているからだ。

 そのため、たとえば、「アルバイト 表参道」のキーワードで効果が高いとするなら、その検索結果リストの中にある「GDN広告枠付きサイト」を分析して、そのサイトのGDN広告枠にFromAの広告が掲載されるように、プレイスメントターゲティングなどの手法を使っていた。これを、効果の高い主要な100キーワードですべて分析し、対応していく。そうすると、「GDN circulation」 がグルグルと回り出すのだ。

 もちろん、充分な効果を出すためには徹底的に分析しないとならないし、適切な設定には時間もかかる。効果をみながらのPDCAも常に回していく。だが、一度、軌道に乗せることができれば、「Rank 1st theory」が当てはまる企業は、先に紹介した6つの条件が整っているため、基本的に質が高く、「Rank 1st theory」と「GDN circulation」 の両方が「質の循環」として、グルグルと半自動的に回っていく。売上と利益をあげるキャッシュマシーンになっていく。

 私は検索連動型広告のシステムをOEM提供する企業などで働いたあと、ネット広告やデジタルマーケティングのコンサルティングを約13年やっていた。過去にここまで自分のノウハウを公開したことはない。Google広告の攻略法は、この「質の循環」、つまり、「Rank 1st theory」+「GDN circulation」を基軸として、いくつかのバリエーションを使い分けながらコンサルしてきた。

 しかしながら、いま、これが、通用しなくなり始めている。おそらく、新たな攻略法を構築しなければならない時期にきている。たとえば、元Google社員の岡田 吉弘氏(現、LIFT合同会社代表)は先日、もう「GDNは提案しない」とブログで書いている。これは、GDNに限った話ではなく、そのほかのアドネットワーク・DSPにもすでに影響が出ている。多くのブラウザで3rd party cookieが廃止されたため、ターゲティング広告の精度が徐々に低下し始めているからだ。

 3rd party cookie 廃止によって、Googleが利用できる情報量が激減している。その結果、ターゲティング広告の質の低下が起こり、それは、CTRの低下に直結し、CVRの低下にも間接的に影響する。すると、クリック課金型のGoogleの売上が落ちることになる、なぜなら、CTR低下はクリック数低下になるからだ。そのため、Googleは品質に目をつぶってインプレッション課金型(CPM売り)の広告で穴埋めすることになる。CPM売りが増えるということは、広告をたくさん表示するとGoogle の売上が上昇するということになる。また、「GDN広告枠付きサイト」のパブリッシャー側は、たくさんの広告枠を設置したほうが儲かることになる。つまり、MFA(Made-for-Advertising)と呼ばれるサイトが増殖することになる。

 あまり説明は要らないと思うが、「質の循環」が3rd party cookie 廃止によって「悪質の循環」に変貌してしまった。いまのままでは、悪化の一途だ。Googleは、2025年初頭から段階的に3rd party cookieを廃止していく(参照)。Googleのプライバシーサンドボックスの導入で、「Rank 1st theory」+「GDN circulation」の「質の循環」が悪循環に変わっていくとき、我々はほかの攻略法を構築しなければならない。

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Cookieレス時代、新たな攻略法が必要に

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この記事の著者

ヴァイオレット・エヴァーインディゴ(ヴァイオレット・エヴァーインディゴ)

1990年代に米国西海岸に留学し、シリコンバレーで就職。1998年のGoogle誕生に衝撃を受け、ネット広告・デジタルマーケティング領域に職域を転換。2000年代初めに帰国。米国大手IT企業・プラットフォーマーを6社経験。デジタルマーケティングのコンサルティングを生業とする。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2024/07/22 08:00 https://markezine.jp/article/detail/46193

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