電話の効果測定を実現する、コールトラッキングツール
MarkeZine編集部(以下、MZ):はじめに、自己紹介をお願いします。
春田:「情報通信技術による夢ある未来社会の創造」を掲げるコムスクエアは、テレフォニーとインターネットを融合した技術を追求し、コミュニケーションに関わる支援を行っている企業です。20年近く、電話の効果測定を行うコールトラッキングツールである「コールトラッカー」を展開しています。
コールトラッキングとは、いつ・誰が・どこに・何秒・何回電話したか、など流入経路ごとに効果やアクションを可視化する電話の効果測定を指します。当社は国内コールトラッキングツールのパイオニアとして、導入実績1,000社超にサービスを提供しています。私はコールトラッカーの事業責任者を担っており、取締役として営業と技術の両面を統括しています。

春田:コールトラッカーは、不動産や中古車販売、弁護士・税理士などの士業、中古品買い取り、水道トラブル対応、介護施設など、様々な業種で使われています。「高単価」「購入まで検討時間が長い」「詳細な相談が必要」といった特徴を持つ商材で、特に多く導入されています。
デジタル時代に無視できない、電話効果の可視化
MZ:電話がマーケティングにおいて果たす役割を教えてください。
春田:昨今のデジタルマーケティングにおいて、電話は企業にとって重要な顧客接点として再評価されています。CTI(Computer Telephony Integration)ツールの普及により、電話対応のデータ化や自動化が進み、企業は広告効果の測定や顧客体験の向上、顧客対応の効率化を図れます。これにより、電話をデジタルマーケティング戦略に統合する動きが強化され、電話施策の再検討が進んでいます。
MZ:生活者目線では、電話の立ち位置は変わるのでしょうか?
春田:デジタル化が進む中、「電話よりもWebの問い合わせを活用するユーザーが多くなるのではないか」という意見もありますが、購買意欲の高い方は電話での詳細な相談を好む傾向が見られます。近年はAIチャットボットなどの導入も広がっていますが、一方で、高単価で検討時間が長く、口頭での相談が求められやすい商材を中心に、電話問い合わせのニーズは今後も根強く残るでしょう。
電話問い合わせの場合、Webサイトを見て、スマホで電話を掛けてくる方が約9割にのぼります。このような場合、オンラインのフォーム問い合わせと違い、流入経路やWebサイトに到達した検索キーワードなどをトラッキングすることは容易ではありません。
こうした中で重要になってくるのがコールトラッキングツールです。同ソリューションを活用すれば、Webのチャネルごとに広告効果やデータを把握し、オンライン施策やマーケティング戦略の最適化を実現できます。そのため、デジタルマーケティングに注力しているが電話の優先度は高くないと考える企業様にも価値を感じていただきやすいです。
コールトラッキングツールで取得できるデータと、その活用方法とは?
MZ:コールトラッキングツールではどのようなデータが取得できるのですか。
春田:コールトラッカーを例に仕組みをご説明すると、当社が効果測定用の電話番号を企業様に提供し、その番号を広告などに掲載いただきます。これにより、「どの番号に、いつ、どれだけの時間通話があったか」など、流入経路ごとに詳細なデータを取得可能です。
リスティング広告、ディスプレイ広告をはじめとするインターネット広告や自然検索、MAツールなどによるメールマガジン配信といったオンライン施策はもちろん、チラシやテレビCM、サイネージなどのオフライン媒体まで、広告媒体ごとの反応を数値化できるため、マーケティング戦略の最適化に活用いただけます。

MZ:流入経路を電話番号ごとに判別する仕組みなのですね。
春田:はい。当社では「静的発番」「中間発番」「動的発番」という3つの発番パターンを提供しており、それぞれ取得できるデータの粒度が異なります。
静的発番は、一つのチャネルに対して一つの番号を固定で割り当てる方式です。これにより、チラシやWeb広告など、各媒体からの問い合わせ数を個別に測定できます。
中間発番は、Webサイトへの流入経路ごとに番号を割り当てる方式です。GoogleやYahoo!、SNSなど、各チャネルからの流入に対して異なる電話番号を表示することで、どこから問い合わせられたかが把握できます。静的発番よりも、詳細に効果測定が可能です。
広告効果の正確な測定や、マーケティング戦略の最適化に貢献
MZ:最後の、動的発番はどのようなものですか。
春田:動的発番は、ユーザーがWebサイトにアクセスするたびに、リアルタイムで新しい番号を発行する方式です。セッションIDと紐付けることで、個々のユーザーの行動と問い合わせを正確に追跡できます。
また、Googleアナリティクスにはデフォルトで電話計測機能がありますが、「スマホでタップされた回数を計測する」という仕組みのため、誤タップや途中で電話をやめる人も含まれます。一方、動的発番では実際に電話をかけた人や、一定時間以上通話した人のみをカウントできるため、Googleアナリティクスよりも精度の高い分析が可能です。
MZ:コールトラッカーで得られたデータを、マーケティングへ活用する方法を教えてください。
春田:電話は、24時間いつでもかかってくる可能性があります。同ソリューションでデータを取得することで、時間帯や曜日ごとに問い合わせの傾向を把握することができます。これにより広告の出稿タイミングを最適化できる他、電話が集中する時間帯を特定してオペレーション改善につなげることも可能です。
さらに、Google広告などの運用型広告と連携することで、自動入札の学習データとして電話コンバージョンデータを活用できます。Webサイトを閲覧してからスマホで電話をかけるユーザーの行動を正確に追跡できるため、スピーディーかつ効果的にPDCAサイクルを回すことができるでしょう。このようにコールトラッキングツールを活用することで、広告効果の正確な測定やマーケティング戦略の最適化を実現できます。
感覚で捉えていた電話の貢献度も、的確に可視化する「コールトラッカー」
MZ:コールトラッカーならではの強みや特徴はありますか。
春田:コールトラッカーの導入企業様には、他のツールから乗り換えたというパターンも少なくありません。評価いただいている点には、「データ連携」「製品サポート」「データの精度」が挙げられます。
1つ目のデータ連携では、豊富なAPI機能を提供することで、企業様のニーズに応じた柔軟な施策を実現できます。基本的にどのデジタル広告プラットフォームとも連携でき、普段から使い慣れている管理画面をチェックいただけます。リアルタイムでのデータ通知や定期的なバッチ処理によるログ取得など、様々な連携方法にも対応しており、運用の手間を大幅に削減しながら効率的なデータ活用を実現できるのです。
他にも、アフィリエイターのIDを利用して、ユーザーがどのアフィリエイターを経由してWebサイトに訪問し、コンバージョンしたかの追跡も可能です。また、特定の顧客管理システムと連携することで、顧客情報に自動で通話履歴ログを追加できる点も特徴として挙げられます。
2つ目の製品サポートでは、お客様からの問い合わせに対応する当社の専任サポートスタッフが常駐。目的に合わせた適切な計測方法の提案や、技術的な課題解決の支援を行っています。

春田:3つ目のデータの精度では、先述の通り、動的発番方式によって実際の通話データと広告クリックデータを正確に紐付けることができるため、より精緻な分析が可能です。これまで感覚で捉えていた電話の貢献度も、的確に可視化できます。
加えてオプション機能も豊富にご用意しており、「Eメール通知」など出られなかった電話の機会損失を削減する機能や、通話内容のテキスト化も可能です。予測・分類・判定を得意とした独自AIによる要約や通話内容の判定などの分析にも注力しており、購買意欲の高い顧客の会話パターンを効率的に可視化し、データの取得およびユーザー動向の把握に活用できます。
安価で高機能な電話効果の分析を実現
MZ:マーケターの悩みの一つである、ツール導入や乗り換えにおけるコストはいかがでしょうか。
春田:コールトラッカーは、2019年より総務省から直接IP番号の指定を受けた通信キャリアとして、サービスとインフラの一体型でお客様に提供しています。そのため、一般的なコールトラッキングベンダーと異なり、大手通信キャリアを介さずに大量の番号を安価に提供することが可能です。2023年には価格形態を見直し、「電話番号使い放題プラン」の提供も開始しました。

春田:さらに当社では、犯罪収益移転防止法に基づいた厳格な法令遵守体制を整えています。この法律は、マネーロンダリングやテロ資金の移動を防止するために制定されたもので、近年は電話サービスへの規制も強化されています。またコールトラッカーはユーザーから企業への通話のみを可能とし、双方向通話が可能な電話サービスよりも悪用されにくい構造となっています。
MZ:最後に、今後の展望をお教えください。
春田:他のマーケティング施策と同じく電話を活用した施策においても、できる限りたくさんのデータ取得を目指すのではなく、データを用いて具体的に何を達成したいのかを明確にすることが不可欠です。ツールを導入した本来の目的を見失うことなく、問い合わせ増加や売り上げ向上といった具体的な目標から逆算して、データ活用を考えていくことが大切です。
とはいえ、導入を検討する際に「何をどこまでやればよいのか」という疑問を抱える企業様も少なくありません。だからこそ当社はお客様に伴走し、課題やニーズに沿った最適な解決策を見出すことを重視しています。
デジタル化が進む中でも、電話による音声コミュニケーションがなくなることはないと考えています。企業様に電話の価値を再認識いただき、課題に適切に対応していくことで、多様な顧客ニーズに応えてきたいです。
電話問い合わせ対応に課題を感じる方や、もっと効果的に活用したい方へ
様々な業種やサービスで導入されている「コールトラッカー」では、電話施策の効果の可視化や広告出稿の最適化を実現できます。
本記事で興味を持たれた方や、サービス詳細をもっと知りたい方は、「コールトラッカー」公式サイトからお問い合わせください。