車のリアウィンドウには、訴求力がある!
──CheerDriveは、どんなサービスなのでしょうか?
企業様が一般車のリアウィンドウを広告枠として活用できるマーケティングプラットフォームです。ドライバー側は、CheerDriveアプリから広告キャンペーンに応募し、「応援したい企業」のステッカーをマイカーに貼ってドライブするだけで、走行距離に応じた報酬や特典が得られます。
このサービスは、広告代理店で働いていた時から実現したいと考えていたものでした。最初にアイデアが生まれたのは、地元から上京した頃です。当時、「水曜どうでしょう」という人気番組ロゴのステッカーを、ファンが自分の車のリアウィンドウに貼る文化がありました。実際にその様子を町中で見たことで大きな衝撃を受け、その時から「車のリアウィンドウには、訴求力がある」と感じていました。
──2021年3月にサービスを開始されていますが、現在どのぐらい利用が広がっているのでしょうか?
現在、企業様からの累計案件数は130ほどです。また、登録いただいているドライバー数は8万5,000人に増えました。起業当初はコロナ禍で、広告業界自体が縮小を余儀なくされている状況でした。加えて、当時はシェアリングエコノミーへの理解が今ほど進んでいなかったこともあり、クライアント側からの反応も「一般車がうちの看板を背負って走るなんて、考えられない」とシビアなものでした。そうした厳しいスタートを経て、地道に実績を積み上げていった結果、価値を認めていただける企業が増えてきたのだと感じます。
多数のメディアが取り上げた「カラオケ好きが乗っています」
──2024年5月に実施された「JOYSOUNDキャンペーン」は、マスメディアにも取り上げられて話題になっていましたね。
これは、通信カラオケ「JOYSOUND」の認知向上のためのキャンペーンでした。走行期間は1ヵ月、全国1,000台の一般車に参加いただき実施されました。
ドライバーは、応募時に3種類のステッカーから好きなものを選べたのですが、中でも「カラオケ好きが乗っています」というデザインが最も人気でした。先着順でドライバーを募った結果、わずか数時間で全枠が埋まるほど、ドライバーからの人気も高かったです。
またキャンペーンの反響として、テレビをはじめとする様々なメディアに取り上げられました。報道番組で放映された映像が、Yahoo!ニュースやTikTok、YouTubeなどのWeb媒体にも波及し、それがまたSNSで注目を集めて大幅な再生数の伸びを記録したのです。把握しているだけでも、総計627万回再生(※10月時点のYahoo!ニュース、TikTok、YouTubeの総計)されていました。
CheerDriveは通常の広告とは異なり、一般消費者の方にとってもメリットがあるため、キャンペーンの実施自体にニュースバリューがあります。またドライバーの方も、広告を目撃した方もSNSで投稿してくださるので、拡散力の強化につながっています。
──CheerDriveの広告効果についても教えてください。
メディア受けが非常に良いことは先述したとおりですが、本キャンペーンの実施後に大手調査会社に依頼し、CheerDriveの認知獲得効率についての大規模調査を行いました。走行エリアである東京都内の無作為抽出した1万人を対象に調査を行ったところ、我々にとっても驚くほどの広告効果が表れたのです。
認知獲得率は約12%!テレビCMに匹敵する効果
──驚くべき広告効果とは、一体どのようなものだったのでしょうか?
都内で1ヵ月間500台の対象車が走行した後、都内在住の20~60歳(人口構成比)の1万人に「街中で、このステッカーを貼った車両を見ましたか?」と質問しました。その結果、なんと全体の12%にあたる1,196人から「広告を見た」という回答が得られたのです。都内には、20~60歳の年齢層の方が756万人ほどいますから、推定で約90万人に広告認知してもらえたと言えます。
CheerDriveの料金体系については詳細をお問い合わせいただければと思いますが、約90万人が広告を認知した場合、約500台分の出稿料金を人数で割ると、一人あたりの広告認知コストは5.5円となります。これは、在京キー局のテレビCMに匹敵するパフォーマンスです。
また回答者に「ステッカーが貼られた広告車両を何回見ましたか?」と質問したところ、平均目撃回数は3.14回でした。行動圏内を走行する車に貼られている場合、何度も目にするからだと思われますが、このことが認知率を向上させると考えています。
──つまり、低コストでありながらしっかりと認知が得られるというわけですね。広告ステッカーを見た方からは、どんな印象を持たれたのでしょうか。
約9割の方に、好意的な印象を持っていただけました。最も多かった回答が「面白い・新しい」で34.6%、次に「目立っていた」が23.8%でした。一般的に広告を不快なものと認識する人が多い中、「見た人を不快にさせない」という調査結果が出たことは、非常に嬉しかったですね。
コストパフォーマンスやイメージの向上だけでなく、検索行動につなげられるという結果も出ています。2024年1月から5月に自社広告のキャンペーンを実施した際には、「チアドライブ」の指名検索数が8倍に、「マイカー広告」という造語の検索数が35倍も伸びました。このサービスには、見た人に行動を喚起する力があると私どもも改めて実感しました。
徹底対策を行った「ディブランディング」と「不正申請」
──サービスを運用する上でハードルになる部分と、その対策について聞かせてください。
最も避けるべきは、登録ドライバーの悪質な行為によって、クライアント企業にディブランディングを行ってしまうことです。これに関しては、各ドライバーに厳しい規約を守っていただいています。
たとえば、「あおり運転」などで出稿企業のブランド毀損が生じた場合、その行為を行った個人が責任を追及されることになります。こうした内容を確認事項とした結果、緊張感をもって安全運転に努めていただいています。その証拠に、3年半で1万台以上の車がステッカーを貼って走行しましたが、悪質な走行などのトラブルは一度も生じていません。
また、このようなシェアリングエコノミーサービスの場合、一旦不正が通ってしまうとビジネスとして成立しなくなります。だからこそ、徹底した不正対策に取り組んでいるのです。具体的には、CheerDriveアプリに実装されているカメラ機能を使い、キャンペーン開始時と終了時に広告ステッカーを貼った車の外観と、走行距離メーターの写真を送ってもらいます。それらをスタッフが一件ずつ目視でチェックすることで、不正を極めて難しくしています。
広告ステッカーには貼り直しが難しい素材を採用しているため、一度でも剥がした形跡があれば報酬は一切お支払いしません。これらの対策により、不正を防ぎつつ走行距離を確認しています。また安全面にも配慮しており、車内から問題なくリアウィンドウの外が見えるように、広告ステッカーが透けて見えるシースルーフィルムを採用しています。
前澤友作氏からの出資につながった行動喚起力
──今後どのような広告主に、このサービスをおすすめしたいですか?
BtoC向けの商品・サービスを扱われている企業様全般です。一般の方を巻き込んで、話題性のあるプロモーションを実現させたいなら、ぜひ検討いただきたいです。
マイカー広告を街中で見た宣伝担当者や決裁者が、衝撃を受けて出稿につながることがあります。実は弊社は、前澤友作氏の前澤ファンドから出資いただいています。この出資も、前澤氏が街中でCheerDriveの広告車両を目撃し、前澤ファンド側から弊社に連絡をいただいたことがきっかけでした。
──登録ドライバーからは、どのような案件が人気なのでしょうか?
商品やサービスのファンが多い案件は人気ですね。そういう意味では、ファンコミュニティを活用したキャンペーンにも向いています。
CheerDriveは、その名のとおり「応援」がキーワードです。なにしろ、大事な車に大きなステッカーを貼るわけですから、心理的なハードルはそれなりにあります。だからこそ、広告を見た人には「このドライバーは、この商品を応援しているんだろうな」というポジティブな印象を提供できるはずです。この点が、一般的な広告と比べて説得力がある部分だと思います。
市区町村単位のエリア指定、1ヵ月前の申し込みで実施可能
──広告主側は、参加ドライバーの属性を指定したり、選択したりできるのでしょうか?
市区町村単位のエリアを指定する形で、参加ドライバーの選定が可能です。たとえば「新規開店した店舗から半径20km以内の市区町村」といったセグメントもできるので、きめ細かなレイヤーマーケティングに対応できます。登録ドライバーは、首都圏だけでなく地方都市にもいらっしゃいます。他にも、年齢や性別といった属性を指定して、参加ドライバーを募集することも可能です。
──出稿するとしたら、どういった手続きが必要なのでしょうか?
まずは台数と期間とエリアを決めていただきます。その後は、広告のデザインを入稿いただくか、弊社で制作する。それだけですね。弊社の場合、走行実施の1ヵ月前に申し込んでいただければ対応できますので、一般的な屋外広告よりも早いタイミングでの露出が可能です。
──最後に、今後の展望について聞かせてください。
今よりさらにサービスの認知度を上げて、今後は誰もが一度はCheerDriveの広告を見たことがある、という状況にしていきたいです。そうなれば、より多くの企業様に使っていただけるはずですし、結果的にそれが自家用車を持つ方の生活を豊かにすることにもつながります。サービスの拡大とともに、企業と生活者の双方が豊かになる未来に貢献していきたいです。