ブランディングでは、認知の「量」と「質」を分けて考える
前編を読んだ方は、結局、BtoBのブランディングでもやはり認知が大事なのか、と思われたかもしれません。たしかに、BtoBの事業においても、認知なくしては購入も契約もあり得ないので、認知が重要なことには間違いありません。ただ、BtoCのようにターゲット顧客が広くないため、きちんと絞り込んだターゲット顧客内で確実な認知が取れている状態を創り出すことが重要です。
日本の人口は1億2,000万人を超えるのに対して、日本の企業数は約360万社。個人事業主を含んでも640万社しかおらず、テレビCMを大量に流したところで、ほとんどは事業とは関係ない人にリーチをしていくことになるでしょう。
自社のサービスやプロダクトに興味を持ってくれそうな顧客ターゲットをしっかりと見定めて、効率的に認知の量を獲得しつつも、それ以上に重要なのは認知の「質」、つまり認知する際に顧客に受け取ってもらう「ブランドイメージ」の形成です。
認知の質を測る「純粋想起率」とは
企業、サービス、プロダクトにおける認知の量を上げるには、CPM(Cost per Mille)の効率が良いメディアを選択し、幅広くリーチを取っていくことが重要です。しかし、先述した通り、BtoB事業における認知度向上では、単に多くの企業に名前を知られることではなく、ターゲットとなる企業において、特定のカテゴリーやニーズに直結したブランドとして思い浮かべてもらうこと、すなわち「純粋想起率」を高めることが肝要となります。
この純粋想起とは、競合他社が多数存在する中で、ターゲット顧客が特定のカテゴリーにおいて思い浮かべるブランドとして位置づけられることを指します。純粋想起率を高めるためには、ブランドイメージの「質」、つまり単なる知名度ではなく、ターゲット顧客が持つ「ブランドに対する信頼や評価の高さ」がキーとなってきます。
純粋想起率を高めるということは、認知の質を上げること、ブランドイメージを確立することと直結しているのです。