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AI時代のコンテンツデリバリー 米Vice、ナショジオを率いたハント氏が語るメディア変革への備え

企業とクリエイターのWin-Winな関係とは?長期契約に不可欠なステップ

━━では、具体的にどのような流れで契約の判断をするのでしょうか?

 条件を満たす方が見つかったら、まずはパイロット的に小さなプロジェクトを行うようにしています。たとえば二つくらい、少ない数の動画をスポンサーし、そのROIが高いことがわかったら、短期の契約を結びます。その短期の契約の中で長期的なパートナーシップが結べそうだなということが確信できたら長期の契約に切り替えていく、という流れを踏んでいます。

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HubSpot公式サイトの公式動画紹介ページの様子。HubSpotではユーザーの目的に応じた複数のチャンネルを運営しており、クリエイターとのコラボ動画もハイペースで公開し続けている

 重要なのは、お互いにとってメリットがある関係がきちんと構築できることです。クリエイター個人にとっても新たなオーディエンスを増やせるといったメリットがあるからこそ、彼らは自身が最も得意とするコンテンツを作ることに注力できます。コラボレーションによって、むしろクリエイターが質の高いコンテンツ制作に集中できる。そうしたWin-Winな関係を構築することが大切ですね。

AIが実現する「国際化」&「リミックス」に大きな期待

━━メディアやコンテンツクリエイターの世界でも新たなテクノロジーが活用されており、表現の幅や届け方が日々広がっているかと思います。(HubSpotが9月に開催した)「INBOUND 2024」でも、AIの活用が多くのセッションで語られていました。ハントさんが注目するテクノロジーやその活用方法を教えてください。

 INBOUND 2024では、HubSpotのプラットフォーム全体を強化するAI機能群「Breeze」や、それに関連したMarketing Hub、Content Hubの機能アップデートを発表しました。生成AIを活用した新しい機能はメディアのクリエイターの方がコンテンツを作成したり、配信したりする方法を大きく変えるものだと思っていますし、個人的にもワクワクしています。

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AI機能群「Breeze」は2024年9月に開催されたINBOUND 2024の初日キーノートで発表されたばかり。その内容の一部はMarkeZineのニュースでも公開中(画像クリックでも飛びます)

 AI活用による変化の中でも私が特に期待しているのは、制作したコンテンツを世界中の様々なオーディエンスへとより手軽に届けられるようになることです。HubSpotでは1年間に約1万本の動画を制作するのですが、これまではそのほとんどが英語で作られたものでした。こうなると英語話者、場合によっては米国に住んでいる方のみにしかリーチできません。ところが、当社が今回発表したようなツールを活用することで、一つの言語の動画をより手軽に、高品質な形で他の言語に翻訳し、グローバルのオーディエンスにもリーチできるようになる。これはとても素晴らしいことだと思います。

 期待できるAI活用をもう一つ挙げるとすれば、コンテンツのリミックスです。HubSpotでは「コンテンツリミックス」という機能を実際に提供していますが、一つのコンテンツの形式を他の形式に変換し、ニュースレターなど様々なチャネルで使えるようにできます。この機能も、コンテンツクリエイターによる仕事の影響力を増やすことに貢献すると思います。

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HubSpotが提供するAI搭載機能「コンテンツリミックス」の利用イメージ(公式サイトより/クリックすると拡大)。オーディエンスがいる場所に合わせてコンテンツを簡単に調整し、改善。複数のチャネルやデバイスで一貫しつつ適切なメッセージングを支援する

 また、活用の中でも基礎的ではありますが、AIは新しいトピックの調査やアイデアづくりも助けてくれるため、コンテンツの質を上げていくことにもインパクトがあると考えています。

━━特に最近で、コンテンツ関連で検証に注力しているAIの活用方法はありますか?

 コンテンツの形式を他のものに変えるという試みは以前からありましたが、多くの場合は単なる“転写”のように、まったく同じ内容のまま、形、外観を少し変えるだけでした。HubSpotのコンテンツリミックス機能には別の形式にしたときにユーザーへの付加価値を提供できるポテンシャルがあるため、今まさにトライしています。

 もう一つ挙げるなら、INBOUND 2024で共同創業者兼CTOであるダーメッシュが発表した「agent.ai(※)」関連の活用です。クリエイター向けのAIエージェントを検証しています。今後はたとえば「新しいLinkedInポストを作るためにアイデアを考えてもらう」という活用も考えられるでしょう。こうした業務に複数のエージェントを使う試みを今メディアネットワークの中で行っているところです。

※agent.ai:AIエージェントを使用したり、公開したりできるマーケットプレイス兼プロフェッショナルネットワーク。

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正しい方法を知る者など存在しない 日本企業に勧める最も重要な備えは?

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/11 07:30 https://markezine.jp/article/detail/47084

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