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AI時代のコンテンツデリバリー 米Vice、ナショジオを率いたハント氏が語るメディア変革への備え

 生成AIの進化による揺れが収まらない2024年、これからのコンテンツ発信、メディア運営は今までと何がどう変わるのだろうか?━━今回本誌は、マーケティング先進国である米国でメディア運営の最前線に立ってきた、Jonathan Hunt(ジョナサン・ハント)氏に独自取材。Viceやナショナルジオグラフィックなどの名だたるメディア組織を率いてきた経験を持ち、現在はHubSpotで幅広いメディア運営をリードする同氏が、近年のメディア全般に見られるトレンドや今後企業が持つべきクリエイターとの関係性、現在注力するAI活用方法、日本企業に勧めたい未来への備えなどを明かした。

メディアの世界で間違いなく起こる「民主化」と「脱テキスト偏重」

━━まずはハントさんがVP of Mediaとして現在取り組む業務領域と、これまでの簡単なご経歴を教えてください。

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HubSpot, Inc. VP of Media Jonathan Hunt(ジョナサン・ハント)氏

 現在私はVP of MediaとしてHubSpotが持つ幅広いメディアの運営をしており、この部門内でコンテンツ制作から、デリバリー、収益化まで行っています。HubSpotが2021年に買収した「The Hustle」をはじめ、YouTubeチャンネルの収益化、配信も担当しています。

 HubSpot入社以前は、Vice、Vox Media、National Geographic、Complexといったメディアで運営を担当してきました。

━━ハントさんは名だたるメディア組織をリードされてきたご経験から、人々に求められるコンテンツの在り方、そのクリエイティブの最前線を熟知されていると思われます。近年、特に注目するチャネルや表現のフォーマットがあれば、その背景とともに教えてください。

 近年、メディアのコンテンツ制作、配信、収益化には、いくつもの大きな変化が起きていると考えています。

 改めて着目しておきたいチャネルの一つは、ニュースレターです。もちろん新しい手法ではありませんが、ファーストパーティデータを持っている方とつながり、企業と直接つながりのある人とのエンゲージメントの強化を促せる点は良い特長です。

 また、近年の大きな潮流を挙げるなら、オーディエンスは伝統的で大きなメディアよりも、個人のクリエイターやジャーナリスト、ニッチなメディアを信頼するようになってきていると感じます。伝統的なメディアも最近になって音声や動画にシフトしてきていますが、コンテンツはやはりテキストに偏っていますよね。その点、HubSpotとしては動画にかなりの投資をしています。

重要視すべきは「動画への投資」と「有効なパートナーシップ」

━━動画については具体的にどのような投資を行っているのでしょうか?

 現在HubSpotでは、長尺の動画、短尺の動画の両方を様々な内容で作っています。たとえば、AI関連で影響力のとても大きいYouTubeチャンネルを持つクリエイター、Matt Wolfe(マット・ウルフ)氏とパートナーシップを結び、動画を制作しています。

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HubSpot運営チャンネル「Marketing Against the Grain」で公開された、Matt Wolfe氏が登場している動画の サムネイル(画像クリックで動画が開き ます) 

 また先ほども述べたThe Hustleというメディアの創業者であるSam Parr(サム・パー)氏が現在手掛けているチャンネルとコラボしたり、当社のCMOとシニアVPが企業の生産性やセールス、アントレプレナーシップなどをテーマに情報発信しているYouTubeチャンネルおよびポッドキャスト番組も運営したりと、YouTubeをはじめとしたプラットフォーム内に当社独自のネットワークを作り上げています

━━企業がクリエイターと、たとえばYouTuber個人とパートナーシップを結ぶというのは、日本ではまだあまり馴染みがない印象です。単発のPR依頼ではなく、長い協力関係を結ぶパートナーを探す際には何か基準を設けているのでしょうか?

 基準はいくつかあります。第一に、プロダクトにフィットしているかどうか。たとえばHubSpotの場合で考えると、マーケティングやコンテンツ、カスタマーサービス、セールスなどの領域においてちゃんと専門性を持っているかどうかという点です。

 第二に、エンゲージメントの高いファンベースを持っているかどうか。YouTubeだけではなく、メール、LinkedIn、Instagramなどのチャネルでもコミュニケーションができているかどうかも重視をします。

 ただし、そういった条件を満たした方がいても、すぐに長期の契約を結ぶわけではありません。

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この記事の著者

安原 直登(編集部)(ヤスハラ ナオト)

大学卒業後、編集プロダクションに入社。サブカルチャー、趣味系を中心に、デザイン、トレーニング、ビジネスなどの広いジャンルで、実用書の企画と編集を経験。2019年、翔泳社に入社し、MarkeZine編集部に所属。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2024/10/11 07:30 https://markezine.jp/article/detail/47084

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