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『MarkeZine』(雑誌)

第108号(2024年12月号)
特集「2025年・広告の出し先」

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【特集】2024→2025 キーパーソンによる予測と展望

【業界人間ベム】2025年・広告マーケティング業界7つの予測

 2025年、新年一発目はあの人物による「広告マーケティング業界予測」をお届け。7つのキーワードから、広告マーケティング業界の動向、今年取り組むべきテーマを探る。

2025年広告マーケティング業界7つの予測

【1】電通対アクセンチュアの図式が本格化

【2】有効な広告枠の減少が顕在化する

【3】動画CMの受容性に問題発覚

【4】広告会社は「営業のビジネス開発力」が試される

【5】リテールメディアに大変革 アップファネルとつながる

【6】「SNS」×「TV&ストリーミング」による因果関係がデータで立証される

【7】AI活用は中堅代理店生き残りの最後のチャンス

【番外編】2025年に考えたい、「新・トリプルメディア」

 2025年における広告業界の最大のテーマは「営業」だ。広告会社の「営業」とは? を再構築できる広告会社と旧来のままの広告会社で、今年を境に決定的な差が生まれる。特に上位3社以下の中堅代理店にとって、生き残るか潰れるかと言っていい。

 営業の再構築の必要性はAIによるものである。乱暴な議論をすれば、スタッフ機能はAIに取って代わられる。しかし広告会社のフロント営業そのものはそう簡単にはAIで代替できない。むしろもっと人間力が求められる

 また広告会社の収入モデルの変革が始まっているのは言わずもがなだが、今年こそフロントマンのビジネスプロデュース力が試される。やたらとコンサルというワードが出て来るが、本当のコンサル力を広告会社の営業が提供できるほど世の中甘くない。

 そもそも「営業」や「営業力」の本質について、企業内で成功例、失敗例をレビューしているだろうか。プレゼンの成否でレビューされるのは提案内容ばかりになっていないだろうか。提案より営業が何をしたか、何をしなかったか、クライアントとの関係性構築、情報取得、プレゼンをどうデザインするかにおいて主導的に働いたかなどが問われる。これが何故重要かというと、これから従来の広告だけでない新しいビジネス、新しい提案内容になるからで、本質的な「営業」の力こそが改めて広告会社の力となるからだ。

 では、ひとつひとつ解説してみよう。

【1】電通対アクセンチュアの図式が本格化

 これはもう数年前からこの図式が定着してきた。しかしアクセンチュアがプランニングだけでなく、エグゼキューション(プランの実行)にまで下りてくることで、【図1】のようなマトリックス上のど真ん中で、「がっぷり四つ」となる。ここに他の代理店がふらふら入ってきても吹き飛ばされるだろう。コンサル力を突破口にマーケティング支援をビジネスにする領域は、電通対アクセンチュアの対抗軸のなかで多くが進化するだろう。

画像を説明するテキストなくても可
【図1】

 そもそもアクセンチュアが儲かりもしない広告領域に降りて来るのはなぜか。ベムはAIによって広告におけるエグゼキューションが極めて重要になったからだと考えている。今後、コンサル課題の抽出は、大量のマーケティングデータからAIによって導き出すことが可能になる。広告の出稿データを基に、広告接触者とメッセージを最適化していくことをAIはいとも簡単に行ってくれるだろう。

 「コンサル」は課題の抽出と整理、「プランニング」はそれを解決する手段、「エグゼキューション」はプランの実行。従来人間がやると、エグゼキューションはほとんどやりっぱなしだ。それなりにデータを読み解いて次の課題抽出はするのだろうが、AIに任せれば、このループを自動的に最適化してくれることになりそうだ。

 ただそこに辿り着くまでは、AIを味方につけた人のコンサル力が主役となる。しかし人による分析では力及ばずだった「エグゼキューションデータから次の課題を抽出すること」がAIでは可能になること、ここに広告・マーケティング支援の大きな転換点がある。

【2】有効な広告枠の減少が顕在化する

 テレビ放送の視聴率低下はまったく収まらない。今のところ視聴率の落ちた分はほぼネットでの動画視聴に移行していると思われる。

 ただ、テレビでのCMの受容性と、たとえばYouTubeの動画CMの受容性が同じと考えるのは少し早計かもしれない。パッシブなテレビと、サムネイルを見てアクティブなコンテンツ視聴のYouTubeは当然のごとく視聴態度が違う。よってCMの受容性も変わる

 テレビは70年かけて視聴者にCMを受容してもらうべく、テレビ業界も広告業界も努力を重ねてきた。「CMがウザいならプレミアムにして課金すれば観なくて済みますよ」と言えるYouTubeとは違う。ターゲティングできるからと言ってそのCMが受容されていると勝手に思い込んではいけない。動画視聴を行うユーザーはアクティブで、しかもタイパも追及するなかでコンテンツそのものを志向するのであって、やはりCMはウザいものでしかない。こうなると、テレビからネット動画に視聴が移行することは、広告業界全体として“効果的な広告枠”が減っているということである。

 ただこれだけテレビから視聴者が逃げると、テレビではどうにも到達できないユーザーをネット動画CMで追いかけるのは当然のことである。受け入れられ方をもっと研究してクリエイティブを最適化することを考えて欲しい。

 しかしこの状況がピークとなるのは今年2025年までかもしれない。コネクテッドTV、つまり大画面でのYouTube視聴が拡大すると、CMの受容性も変化すると思われる。テレビ画面からの視聴にYouTubeがもっと使い勝手よく、洗練された仕様となるとCMもまた受容性を担保し効果的なものとなる可能性が高い。

 TVerも黒字化して堅調ではあるが、CMの在庫量はまだまだ微々たるものだ。ストリーミングでもテレビ同様のCMの受容性が担保される広告枠が増大することを広告主としては期待したいところだ。

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【3】動画CMの受容性に問題発覚?

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業界人間ベム(ギョウカイニンゲンベム)

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2025/01/06 09:30 https://markezine.jp/article/detail/47843

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