生のレビューデータを整理して改善点や課題を抽出
──VoC分析にまつわる課題をRevuzeはどのように解決するのでしょうか?
RevuzeはAI技術を駆使し、オンライン上の膨大なレビューデータを収集・分析することに注力しています。現在のところ、RevuzeはSNS上の声は拾っていません。その理由は、商品を“実際に”購入し使用した消費者のレビューの中にこそ、有益な情報が詰まっているからです。バイアスを排除した声を収集できることが大きなポイントです。
また収集・分析作業にかかる工数の課題に対しては、生成AIの活用で対応しています。レビューには「ここは良いけど、こういう点を改善してほしい」などの様々な情報やトピックが書かれています。Revuzeの生成AIは、レビューの中に含まれる様々な要素を抽出し、ポジティブな視点、ネガティブな視点、商品やサービスに関する感想、会社イメージに対する感想など、分類・整理・可視化しコストを削減します。
分析結果は、SWOT分析や競合比較、星の数と具体的な評価内容との相関関係など、様々なパターンで提示されます。しかもそれがSKUレベルで示されているので、単なる分析結果の提示で終わらず、次の改善アクションに移りやすいというメリットがあります。
──なぜ、改善アクションに移りやすくなるのでしょうか?
Revuzeでは、競合商品も含めた商品群の中で、自社商品がどんな位置にあるかマトリックスを組んで提示する上、「センチメント(個人が抱いている感情)分析」により、商品のどの部分を伸ばしていくべきかというインサイトを与えるからです。詳しくは事例でご紹介します。
米国市場でPilotが実感した3つの導入効果
──具体的なRevuzeの活用事例を教えてください。
文房具メーカーである、Pilot Corporation of Americaでの事例になります。これはまさに、SKUレベルのインサイトを商品開発やプロモーションに活用した例です。
Revuze導入前、同社ではAmazonのレビューを手作業で収集し、Excelで分析を行っていました。手間と工数がかかる上、インサイトを活用した改善アクションへの移行に課題を抱えていました。そこで同社はRevuzeを導入し、小売店やSKUを横断して非構造のレビューデータを分析することにしたのです。これによる具体的な効果は3つありました。
1つは小売店に関連する課題を発見できたことです。ある商品の否定的なレビューを分析したところ、レビューの要因が商品そのものではなく小売店側にあったとわかったのです。そのため、商品と小売店側の課題とを切り分けられるようになりました。
もう1つは商品の改善アイデアが得られたことです。人気商品の「よりファンシーでカラフル」なバージョンのニーズが高いことを知り、新商品の開発につなげました。
最後は、SKUレベルのインサイトにより商品メッセージを改善できたことです。新商品の販売開始後、レビューから商品の特徴が理解されていないことに気づき、商品メッセージを変更しました。
そしてRevuzeを導入した最大の功績は、Revuzeのダッシュボードを共有したことで、マーケティング・営業・商品開発チーム間でフィードバックループを構築し、商品開発とマーケティング戦略の改善に役立つ社内コラボレーションを促進できたことでしょう。
さらにもう1社紹介したい事例があります。個人的な感覚に左右されるため、万人受けするマーケティング戦略が通用しない「香水」カテゴリーのブランドの例です。