生成AIは「正解のない領域」。地道な一歩を積み重ねて
──2022年の立ち上げから2年が経過したAI活用プロジェクトですが、定量的な成果は見え始めていますか?
夏目:一定の成果は現れていますね。日常的に生成AIを業務に活用する「日常利用率」は、1年目に10%だったものが、2年目では30%弱まで伸長しました。なお、プロダクトデザイン室のメンバーに限ると、80%は生成AIを一度は使ったことのある状況です。ただ、理想は「生成AIをコミュニケーションツールのように誰もが日常的に使う状態」ですので、100%を目指して周知活動を継続していきたいです。
──最後に、AI活用プロジェクトの今後の展望や、組織的な生成AI活用におけるポイントがあれば教えてください。
浅川:リクルートがこれまでやってきた、マーケティング、プロダクト開発、営業といった一連の業務プロセスは、生成AIの登場によって何かしらのアップデートがかかり、結果的に「より良いプロダクトをより早く」世に出せるようになると信じています。まだ社内でも生成AIに抵抗のある人はいますし、すべてが肯定的に進むわけではありませんが、それでも一歩一歩、成果を出しながら推進を続けていくしかないと思います。
夏目:PowerPointやExcelのように、生成AIが日々の業務の中で当たり前に、何も考えずに使ってもらえる世界を目指していきたいです。なお、生成AIは「唯一無二の正解がない領域」です。だからこそ、一番大事なのは「やってみること」。様々な施策を地道に試して検証し、どんな施策であれば効果が出るのか知ることが、生成AI活用を広める一番の近道だと思います。
工藤:AIと共同して仕事することができる「AIネイティブ」な人材はこれから増加していく可能性があります。そんな未来に適応できる人材を増やしていくことに、少しでも寄与できればと思っています。また、生成AIはこれから、IT革命以上の大きなビジネスインパクトをもたらす可能性を秘めております。
特に知識労働の分野では、生成AIを活用できる人とそうでない人との間で「生産性」や「創造力」に差が生まれ、競争力に直結する可能性があります。この急速な変化の中で、私たち一人ひとりが生成AIの可能性を積極的に捉え、日々の業務にどう活かせるかを考えていくことが重要です。そうすることで、組織全体が成長し、より良い未来に向けて前進できると信じています。