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テレビCM戦略の「認知ごっこ」を防げ。リテールメディアが本領を発揮する“オンターゲット”な活用例

リテールメディアを活用すれば獲得顧客の質も担保できる

 テレビCMの認知度向上と、購入場所であるリテールメディアを活用すれば、購買促進で大きな効果が得られると期待できる。ではそこで獲得した顧客の質はどのようなものか。

 カタリナリテールメディアネットワークでは、実購買データを活用してメーカーの戦略ターゲットである「LTVの高い層」に対してアプローチしている。具体的に言えば「自社製品カテゴリーの商品は良く購入しているが、自社製品はまだ買ったことがない」という層だ。

 その層にテレビCMだけでリーチしようと思っても、獲得できる戦略ターゲット顧客は平均43%ほどだが、そこにリテールメディアを活用することで戦略ターゲットの獲得率は67%に跳ね上がるという。「新規獲得顧客のうち、約7割が良質な層という成果は、通常の戦術ではなかなか得られません」と松田氏は強調する。

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 リテールメディアデータを活用したデジタル広告も同じことが言える。デジタル広告で幅広くブロードリーチした場合、自社ブランドの商品に興味がある層は、「自社商品カテゴリーのなかの、さらに細分化されたカテゴリーのなかにある自社ブランド」と非常にニッチで小さなパイになってしまうが、データを活用することでそのニッチな層に絞ってターゲティングすることで、獲得効果も必然的に高くなることが期待できる。

リテールメディア活用を促す新指標「CPOTM」

 こうしたリテールメディアの活用成果を基に、松田氏はある“提案”を行った。それはメディアの成果を図る新指標の導入だ。

 「従来は広告パフォーマンスのKPIとしてCPM(Cost Per Mille)が使われてきました。効率的に多くのインプレッションを獲得するには『CPMの値が少なければ少ないほど良い』とされてきましたが、単にインプレッションを獲得するだけでなく、『本当に良質な戦略ターゲットを獲得できているか』という点も含めてパフォーマンスを評価すべきです。そこで私たちはCPMではなくCPOTM(Cost Per On Target Mille)という指標を提案しています」(松田氏)

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 CPOTMは、文字通り「ブランドにとって価値あるターゲットにインプレッションしているか」を測るものだ。この「ターゲットに」「リーチできているか」を測ることは、実購買データが活用できるリテールメディアの得意領域と言える。

 もちろんターゲットを絞るので、CPMだけで測ればリテールメディアのほうが効率は劣る。たとえば「25歳〜49歳の女性」をターゲットにしたところ、YouTube広告のCPMは700円、カタリナのオフサイトリテールメディア「カタリナターゲティングアド」では1,000円だったが、訴求商品購買率ではYouTube広告が0.35%だったのに対し、カタリナターゲティングアドでは2.04%、CPTOMで換算すると約4倍の差がついた。

 「そもそもターゲットを絞り込むほど、求められるパフォーマンスは非線形的に高まるものです。ターゲットへのリーチが半分になると、非ターゲティングと同じ利益を出すには1.8倍の広告効果が必要に。リーチが5分の1にもなると約4倍の広告効果が必要になります。しかし、時期によって広告のクリエイティブやタレント、流すタッチポイントを変えるだけで2倍、4倍にパフォーマンスを上げるのは難しいもの。リテールメディアを組み合わせて戦略層にターゲティングしたほうが、中長期的に見てブロードリーチよりも十分効果的です」(松田氏)

 ビールカテゴリーでテレビCMとのメディアミックスを展開した事例では、リテールメディアは使わずにテレビCMを放映していた期間と比べ、顧客1人の獲得費用は約2分の1に抑えられ、10万人獲得までに要する期間も約3分の1に加速するなど非常に効果的だった。

 またカタリナのリテールメディアでは、売上の57%を構成する上位10%の消費者にリーチするため、購買効果もさることながら、消費者自身にとっても有益なオファーとなり、メーカー、リテール、消費者のWin-Win-Win関係が構築できる。

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 こうした成果を踏まえ、松田氏は小売事業者、そしてメーカーがリテールメディアを活用できるようになるために三つの提言を行った。

 「一つは、小売事業者もメーカーも『データに基づく広告戦略を』双方で展開できるように人材・組織を含め変化すること。次にメーカー向けの提言として、従来メディアとリテールメディアのミックス活用を展開すること。最後に小売事業者への提言として、自社単独のリテールメディアと共に大規模リテールメディアネットワークに参画することで規模を拡大していくことです」(松田氏)

 特に最後の「自社単独のリテールメディアだけでなく、大規模リテールメディアネットワークとの併走」は重要なポイントのようだ。米国では大手事業者のリテールメディアに広告出稿が偏っているため、他の小規模リテールメディアが苦戦したり、逆にウォールドガーデンに陥ってしまったりという弊害も出ている。国内リテールメディアが盛り上がるためにも、個々のリテールメディアが力をつけると共に、ネットワーク化して規模拡大の両立を目指すことで、消費者・メーカー・小売の「三方良し」の実現が望まれる。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:カタリナマーケティングジャパン株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/01/14 12:00 https://markezine.jp/article/detail/47478

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