SNS検索とは
SNS検索とは、SNSのプラットフォーム内で情報やコンテンツを見つけ出すための検索機能のことだ。
ユーザーは特定のキーワードやハッシュタグ、アカウントなどを入力し、関連する投稿や画像、動画などの情報をキャッチする。これによりリアルタイムで生成されるユーザーの生の声や、最新のトレンドなどの把握、友人や興味のあるアカウントの発見など、多くの目的で利用されている。
現在、特に多くのビジネスシーンで使用されているSNSはX、Instagram、TikTokの3つだ。
Xはテキストが中心のプラットフォームで、ビジネスシーンではニュースやトレンド情報の発信、告知などに利用されることが多い。
Instagramは画像がメインのプラットフォームで、ビジネスシーンでは視覚的なアピールで主に利用される。
TikTokはショート動画がメインのプラットフォームで、短い時間で詳細な情報を伝えるのが得意なプラットフォームだ。
ほかにも実名を公開することで知り合いを探しやすいFacebookもある。また、動画がメインでより詳細な情報や、ゲーム、音楽などの特定の情報を伝えたり、レビューの情報を得られやすかったりするYouTubeなど、たくさんのプラットフォームがあり、それぞれ得意分野が変わってくる。
SNSは、メールアドレスや電話番号、アカウント名、パスワードなどの情報を入力することでアカウントを作成し、利用できる。それぞれのSNSには課金要素もあり、広告を非表示にしたり、ビジネスに有利に働くさまざまな機能を拡張をしたりすることも可能だ。
SNS検索がマーケティングで注目される理由
スマートフォンが普及し、ネット環境が急速に発展した現代では、SNSの種類やユーザー数が世界的に急増した。これにより、特にトレンドへの適応能力が高い若い世代を中心に、SNSが日常生活での情報源として大きな役割を持つこととなった。
SNSは情報の拡散力が非常に高く、特にこれまでの検索エンジンでは賄いきれないニュースやトレンドといった最新情報をいち早く得るには、SNSが最適だ。今ではさまざまなメディアがSNSを主体として動くことも多く、SNSはメディアをつなぐ重要な媒体とも言えるだろう。
マーケティングやビジネスの観点からもSNSは重要なツールとして捉えられ、企業ではSNS検索を通じて自社製品やサービスに関する投稿を調査し、顧客の意見やレビューを把握することも増えている。口コミやレビューだけで言えば、今でも専門のサイトもある。しかし、SNSには投稿が手軽という側面があるため、今ではSNSの方がよりリアルな声をリアルタイムで聞けるため、ユーザーの反応を確認するのに利用されているというわけだ。
SNS検索のメリット
SNS検索には以下の3つのメリットがある。
- 効率よく情報収集できる
- リアルタイム検索ができる
- 多様な視点や意見を発見できる
それぞれ順に紹介しよう。
効率よく情報収集できる
SNSは手軽に投稿できるため、短時間に多くのユーザーから情報が集まる。今ではハッシュタグを付けた投稿も増えたので、SNS検索を用いれば効率よく特定の情報が集められるようになった。
時間を節約しながら、ユーザーのさまざまな意見や視点を得られるのは、SNS検索の大きなメリットと言えるだろう。
リアルタイム検索ができる
SNSはリアルタイムに情報が更新されるため、ニュースやトレンドなどの情報にとにかく強い。また、大きな事件や災害が発生したときなどにも瞬時に情報を得られるだろう。
ユーザーがその場で見た情報を瞬時に投稿できるため、主流なニュースメディアよりも早く情報が広がり、タイムリーな情報収集が可能なのも、SNS検索の大きなメリットだ。
多様な視点や意見を発見できる
SNS検索を用いれば、世界中のあらゆる業界のユーザーが発信する意見や情報へのアクセスが可能だ。検索エンジンを用いたWebサイトでの情報収集は、より正確な情報を入手しやすい反面、内容が一般論化してしまう部分がある。
しかしSNSでは、一つのトピックに対する多様な視点や意見が集まるため、より広い視野で情報を考察することが可能となるだろう。
若い世代の間ではSNS検索が主流に
現在では、SNSが情報源として確率し、若い世代の間ではGoogleやYahoo!などの検索エンジンを上回るほどに、SNS検索が情報収集の手段として利用されている。
そのため、デジタルマーケティング戦略を考えるうえで、SNS検索は無視できない要素となり、SNS上での情報収集の在り方や、ユーザーの動向や反応をチェックし、理解することが必要となるだろう。
まずは、なぜ若い世代の間で検索エンジンではなく、SNS検索が中心となり情報収集するのか、その背景を探ってみよう。
SNS検索が若い世代の間で主流になっている理由
SNS検索が若い世代の間で主流になっている理由を知ることで、若者の心を掴み、エンゲージメントを高めるためのマーケティング戦略の助けになるはずだ。マーケターや企業のWeb担当者にとって、特に参考になるだろう。
広告よりリアルな本音を求めている
SNS検索が情報収集手段として確立された一つ目の理由は、ユーザーがよりリアルな「本音」を知りたがっていることにある。
Web検索では広告やSEO対策された情報が上位表示されることが多い。中には企業からメディアに依頼され、PRとして投稿されている記事もあるため、純粋な本音の情報が得られるとは言い難く、ユーザーが不信感を抱くことも多くなっている。
マーケティング視点から見ても、近年特に消費者は広告に強い嫌悪感を抱く傾向にある。理由の一つとして考えられるのが「広告を発信する企業側が伝えたい情報」と「広告を受けとる消費者側が欲しい情報」に大きなズレが生じており、そのまま受けとる情報量だけが増加しているためだ。
Web広告の不快感や嫌悪感は「広告が目に触れても内容を読まない」「広告が出てきた時点ですぐに閉じてしまう」といった行動に表れる。最近では「お金を払ってでも広告を目にしたくない」という消費者もたくさんいる。
一方、SNSであれば情報発信するのは企業だけでなく、一般ユーザーも多い。ユーザー同士が発信するよりリアルな声で溢れているため、商品やサービスに対しての本音の情報を手に入れやすいと言えるだろう。
多くの人が目に触れるメディア記事の形式に沿った公式な文章よりも、一般のユーザーがプライベートの場面で発するリアルな声の方が、若者からの信頼を得やすく、情報として受け入れられやすいのだ。
できるだけ情報収集に時間を割きたくない
SNS検索が情報収集手段として確立された二つ目の理由は、情報収集の時間短縮が関係している。
現在の若い世代は、コストパフォーマンスやタイムパフォーマンスを重視する傾向にあり、とにかく短い時間で効率よく物事を回すことに執着していると言える。TikTokやYouTubeのショート動画が流行っていたり、近年の人気楽曲の多くがイントロを短く作成していたりするのが最たる例だ。
特に若い世代は小さいころからデジタルに慣れ親しんでおり、いろいろなWebサービスを日常的に目にしている。そのため、さまざまな媒体を目的に合わせて使いこなすことに非常に長けているのだろう。トレンド探しはX、旅先のお店探しはInstagram、ハウツーやレビューはYouTube、店の詳細は検索エンジンで調べるなどというように、情報収集においても検索媒体を細かく選び、時間短縮や効率化をしているのだ。
つまり、「検索エンジンを使わなくなった」「SNS検索しか使わない」というわけではなく、「情報収集にSNS検索を上手く組み合わせることによって、検索エンジンを使う頻度が減少した」というのが正しい見方となるだろう。
SNS検索と検索エンジンの違い
SNS検索は、世界中のトレンドを中心とした最新の情報や、ユーザーが発信したリアルタイムな情報を即座に確認できるのが特徴だ。Xなど、ランキング形式でトレンドがまとめられているプラットフォームもあり、今何が流行っているのかを瞬時に確認できるのがSNS検索の強みと言えるだろう。
インフルエンサーが発信している情報は「トレンドになりやすい」「信憑性が高い」「拡散力が高い」という特徴があるため、多くのユーザーが参考にしていると考えられる。
一方GoogleやYahoo!などの検索エンジンは、検索するキーワードが曖昧でも、過去の傾向や一般的な検索傾向から結果を反映するため、誰にでも扱いやすいのが特徴だ。「情報の蓄積量が多い」「客観的な情報や専門的な情報を得られる」ことが検索エンジンのメリットだが、広告感の強い記事も多く見られるため、不快に感じることもあるのが欠点と言えるだろう。
SNS検索は「トレンドの把握」や「リアルな口コミの収集」「特定の商品やサービスの情報収集」「コミュニティの形成」などを目的に、検索エンジンは「事実確認」「専門知識の習得」などの目的で利用するとよいだろう。
SNS検索や情報発信のスタイルはプラットフォームによって違う
SNSの情報発信のスタイルはプラットフォームによって全く異なるため、それぞれの特徴を理解することが重要だ。自分が欲しい情報別にプラットフォームを使い分けることで、より確かな情報が得られるだろう。
SNSの種類別に集まる情報の特徴は以下のとおりだ。
X
リアルタイムな本音を表現することが多い。ちょっとした思いやつぶやき、ネガティブな発言や愚痴、店先や旅先での感想のシェアなど、よいことも悪いことも関係なく、等身大の自分を発信する内容が多い傾向にある。
ニュースやトレンド、意見交換などさまざまな情報が飛び交い、拡散力も高い。ハッシュタグ検索が活発で、特定の話題について議論したいときに最適のプラットフォームだ。
「よい自分を見てもらいたい」と考え、自分らしさや個性を最大限に表現し、利用されることが多い。高画質な写真や動画を共有することに特化しており、視覚的な訴求力が高いのが特徴だ。
ファッションや美容、ライフスタイルなど視覚的なコンテンツが中心で、ハッシュタグ検索も盛んなためトレンドも掴みやすいプラットフォームだ。
YouTube
文章では伝えきれない情報、具体的なハウツーやレビューなど、テキストや画像だけでは伝えきれない情報量を発信する場として利用される。数時間単位の長尺な動画のアップロードも可能で、チュートリアルや作業用動画、実況動画など多様なコンテンツが楽しめるのが特徴だ。
チャンネル登録やコメント、いいねなど、ユーザー同士の交流を促進する機能が充実しているのも他とは違う点と言えるだろう。音楽やドラマ、アニメなどのコンテンツも充実しており、エンターテイメント性に富んだプラットフォームとも言える。
TikTok
若い世代に特に人気のプラットフォームで、流行の移り変わりが最も早いのが特徴だ。短尺動画の共有を主としており、音楽や効果音を使ったクリエイティブなコンテンツが多い。
アルゴリズムによって、ユーザーの興味関心に合った動画が自動的に次々と表示される使用のため、中毒性が高く、隙間時間から長時間まで多様に楽しめるプラットフォームだ。
友人や親戚など、知り合いとのコミュニケーションを目的としたプラットフォームだ。グループ機能も盛んで、特定のコミュニティに参加できるのも特徴的。
広告配信も盛んで、Instagramと連携し、マーケティングツールとしても活用されることが多い。
SNS検索をビジネスに活用するための手法
SNS検索をビジネスに活用するための手法は、主に以下の3つだ。
- プロフィールを最適化しアルゴリズムを理解する
- ハッシュタグを活用する
- 目的に沿ったプラットフォームを使い分ける
それぞれ順に解説しよう。
プロフィールを最適化しアルゴリズムを理解する
SNSを上手に運用するコツは、プロフィールを最適化することにある。SNSを使用するには自身のアカウントが必要となるので、まずは自分のアカウントがどのような分野に関連するかを明確に示し、他のユーザーとのコミュニケーションを取りやすくすることが重要だ。
プロフィール画像やヘッダーの画像なども、ユーザーに訴求するものを設定すればエンゲージメントを高められるため、テキストだけでなく画像にもこだわるとよいだろう。
また、SNSごとのアルゴリズムを理解すれば、自分にとって価値のある情報に辿りつきやすくなったり、トレンドをいち早くキャッチできたり、より多くのフォロワーを獲得したりできるようになる。効果的なマーケティング戦略を立案するためには重要な要素となるため、意識するとよいだろう。
ハッシュタグを活用する
SNSとマーケティング戦略を組み合わせる際は、ハッシュタグを上手く活用すればよりよい効果が得られるだろう。ハッシュタグを活用することで、興味関心がある投稿について簡単に検索できるようになるためだ。
企業側からハッシュタグやSNS上でのキャンペーンを打ち出すことで、自社の製品やサービスの投稿が活発になり、ユーザー自身がどんどん発信してくれるようになる。投稿を見つけやすくなる他、自社のアカウントのフォロワーを増やすことにもつながるので、SNSでマーケティングを行う場合はぜひ活用してほしい。
目的に沿ったプラットフォームを使い分ける
前述したとおり、SNSはプラットフォームによって特徴が異なり、利用目的も大きく変わってくる。そのため、使用するSNS媒体は自社が訴求したい内容に合わせて使い分ける必要がある。
拡散してもらいつつ賑やかに交流したい場合はX、商品ビジュアルを美しく見せたい場合はInstagramなど、訴求の目的に合わせてプラットフォームを選ぶとよいだろう。また、複数のSNSを組み合わせて訴求するのも効果的だ。
上手にSNSやSNS検索を使い、コンバージョンにつながる戦略を打ち出そう。
マーケティングにSNS検索を用いる際の注意点
マーケティングにSNS検索を用いる際の注意点は、以下の3点だ。
- プライバシーに関する情報の扱いや著作権
- 情報の正確性や信頼性
- 情報の取捨選択
それぞれ順に紹介する。
プライバシーに関する情報の扱いや著作権
SNSでは、個人のプライバシーに関する情報が意図せず公開されることもあるため、取り扱いには厳重に注意する必要がある。情報共有や利用を行う際は、その情報が個人の尊厳やプライバシーを侵害するものでないか、忘れずに確認することを意識するとよいだろう。
また、ユーザーの投稿をマーケティングに活用する際は、投稿したユーザーから利用許諾を取得する必要がある。無断で利用すれば著作権の侵害に当たるので必ず覚えておいてほしい。ユーザーの投稿を利用したい場合は、コメントやDMなどで直接許可を取るとよい。
情報の正確性や信頼性
SNS上では一般ユーザーの投稿が多いため、公開されているのが正確性や信頼性が担保されている情報ばかりとは限らない。そのため、間違った情報を拡散してしまわないように細心の注意を払わなければならない。
また、ユーザーの投稿をLPや広告などの企業のマーケティングに活用する際は、企業の表現物と見なされるため、薬機法の対象になる。たとえユーザー自身の実際の体験を元にした「事実」の内容だったとしても、表現によっては薬機法違反になるため、注意が必要だ。コンテンツの内容にも注意を払い、確認を怠らないようにするとよい。
情報の取捨選択
SNSは情報の宝庫と言えるかもしれないが、同時に情報過多に陥りやすいことも忘れてはならない。大量の情報に接することで重要な情報を見落としたり、情報に圧倒されたりしないように注意したい。そのため、自身にとって必要な情報を取捨選択するスキルが必要だ。
常に新しい情報が流れてくるからこそ、過敏になり過ぎず、適切な距離を保てるとよいだろう。
SNS検索で得た情報をマーケティングに活用する方法
SNS検索で得た情報をマーケティングに活用すると、たとえばXであればリアルタイムの情報やトレンドの追跡などができるだろう。自社の新商品が発売された直後のリアルタイムな反応を即座に見られるのは、Xの大きな強みだ。
また、ビジュアルを意識する商品であれば、Instagramでハッシュタグ検索するのも有効だろう。テキストだけで得られる情報には限りがあるが、視覚的な情報収集ができればその後の広告への表現にもつながりやすい。ユーザー視点だからこそ得られる切り口など、新しい発見があるのもSNS検索を行う大きなメリットだ。
さらに、自社の商品やサービスをユーザーが実際どのように試しているかを見たいときは、YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツを検索するとよい。自社を応援してくれるインフルエンサーとの交流で、大きな拡散を呼ぶこともあるので、各媒体でSNS検索し、新たな戦略を生み出せないか探ってみるとよいだろう。
マーケティングにおけるSNS検索の活用例
最後に、マーケティングにおけるSNS検索の活用例を3パターン紹介する。マーケターやWeb担当者の参考になれば幸いだ。
市場調査とトレンド分析
利用者の声を聞くことはビジネスの基本と言えるだろう。最新の情報を入手したい場合は、特定のハッシュタグやキーワードを使って製品やサービスに関連するユーザーの意見や感想を検索するとよい。
自社の製品だけでなく、競合他社の製品に対する顧客のフィードバックを調査するなど、市場を調査するうえでもSNS検索は有効だ。業界特有のトレンドやハッシュタグで検索すれば、新しいビジネスチャンスを見つけるきっかけにもなり、顧客が解消したい潜在ニーズをも探れるだろう。
顧客満足度の調査
SNS上では、投稿の手軽さからユーザーは自由な情報発信を行っている。だからこそ商品レビューにおいても素直な感想が投稿されているため、貴重な情報源となるだろう。
そのため、SNS上でブランドや製品について言及している投稿をチェックすれば、顧客からの直接的なフィードバックを得ることが可能だ。SNS検索を上手く使い、顧客の感想を常に把握し、顧客満足度の向上や製品開発に役立てるとよい。
イベントやニュースの調査
Appleや任天堂などの発表がXのトレンドになっているのを見たことがある人も多いのではないだろうか。このような大規模なイベントや重要なニュースなどは、リアルタイムで瞬時にSNSに共有されやすいコンテンツだ。特定のイベントやニュースに関連するハッシュタグを検索すれば、最新の情報やユーザーの反応を追跡できる。
また、現地でないと得られないイベントの詳細な情報も、SNS検索をかければ調査できるため、トレンドを追うまとめサイトなどを扱う場合には特に効果的だ。
このように、あらゆる情報をまとめて収集するのにSNS検索は非常に有用だ。業界のネットワークだけでなくSNS検索も活用し、効率良くデジタルマーケティングの戦略を立ててみてはどうだろうか。