「What→So what→Now what」で考える
消費者視点での「価値」を掘り下げるには。次の3ステップで考えるのがコツです。
- What(何なの?)
- So what(それがどうしたの?)
- Now what(じゃあどうすればいいの?)
以下、例を挙げてみます。
What:私たちの商材は何なのか?
たとえば、ドイツの製法にこだわったパン屋の創業で考えてみます。
そもそも自社は何を提供しているのかを整理します。
【創業者の原点】
「幼少期、ドイツ留学の経験を持つ母親と一緒に作ったドイツパンに感動した」
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【ドイツ文化への着目】
「ドイツを訪れた際に、パンが家庭の中心であり、人々の生活に深く根付いている文化に強く惹かれた」
「日本では軽食や菓子として扱われることが多い一方、ドイツでは主食としての役割を果たし、栄養と食の楽しみを両立していることに感銘を受け、日本の食卓にも、パンを通じて健康と食文化を提供したいと考えた」
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【ドイツでの学び】
「ドイツのベーカリーで修行を重ね、本場の技術と伝統的な製法を学び、日本で開業した」
So what:それが顧客にとってなぜ重要なのか?
自社と顧客を関連付けていきます。
【顧客への価値提案】
「日本のパンの多くは砂糖や油脂を多く含み、主食としては栄養価が偏りがち。ドイツパンは、栄養価の高い素材を活かしつつ噛み応えのある食感で、健康を維持しながら満足感のある食事を楽しむのに適している」
「ライ麦(血糖値の急上昇を抑える)や全粒粉(ビタミンやミネラルが豊富)を使用し、健康志向の方々のニーズに応えるパン作りを追求した」
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【独自製法の採用】
「ドイツで学んだ長時間発酵や素材を活かす技術を採用し、味わい深く消化にも優れたパンを提供する」
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【多様性と選ぶ楽しさ】
「ドイツには300種類以上ものパンが存在し、地域ごとに独自の進化を遂げている。当店はライ麦パンやプレッツェル、サワードゥなど、日本の食卓に合う商品を厳選した」
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【共感と体験の提案】
「ただの食事ではなく、ドイツの伝統と情熱を詰め込んだパンを通じて、五感で楽しめる心温まるひとときを届ける」
Now what:次に顧客は何をすればいいのか?
顧客へのアクションを呼びかけ、自社と関係性を持つべき理由を整理します。
【ドイツパンを試してほしい】
「ふんわり軽い日本のパンとは一味違う、どっしりとした噛み応えと、素材本来の旨み&酸味を感じられるパンを体験してほしい」
「そのまま食べてもいいが、ライ麦パンにスモークサーモンとクリームチーズを乗せるだけでごちそうに。全粒粉パンは、厚めにスライスしてカリッとトーストし、はちみつやナッツを添えればおやつに。プレッツェルは、スープやシチューと一緒にいただくと、食感と塩味が絶妙なアクセントに」
「当店人気の『初めてのドイツパンセット』をお試しあれ(初回限定で送料無料)」
言葉にすると当たり前ですが、多くの企業側は「自社視点からの価値」を優先しすぎて「顧客視点での価値」に変換できていません。
「これだけ優れた製品だから、顧客にも当然伝わるはずだ」と無意識に決めつけず、顧客の期待や課題を掘り下げるプロセスを省略しないように。業界経験が豊富であるほど、自社が当たり前と考える専門知識や常識に引っ張られ、顧客が実際に何を求めているのかを見失いやすくなるので要注意です。
顧客が求める価値についてさらに深く考える上で、お勧めできる方法が二つあります。