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第114号(2025年6月 最終号)
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LINEマーケティング活用最前線(AD)

LINEの真価を発揮させる“連携”の選択肢とは。「来店頻度向上」「継続購入拡大」事例に学ぶ

 ユーザーとコミュニケーションを取るために、LINE公式アカウントや自社のネイティブアプリを接点にする企業は多い。しかし、アカウントの開設やアプリのリリース後は「一方的な情報発信にとどまっている」というケースも少なくない。そんな中、アプリを廃止してLINE一本に絞り、エンゲージメント強化を実現する企業や、LINEを活用した適切なコミュニケーションで大幅な売上拡大を達成する企業がある。2025年5月20〜21日、東京・六本木で開催された「Hello Friends! W!th LINEヤフー」では、そんな成功例についてLINEのパートナーであるギックス、クウゼンのセッションが行われた。その模様をレポートする。

自社アプリではLTVが上がらない?イオンファンタジーの課題

 自社のモバイルアプリをリリースしたは良いものの、実際に運用を始めてみると、「どうやってコミュニケーションを取ったらいいのかわからない」「マーケティングにどう活かせるのかわからない」と悩む企業は非常に多いようだ。「Hello Friends! W!th LINEヤフー」のCAFEセッションに登壇したイオンファンタジーも、アプリ活用に悩んでいた企業の1つだと言う。

 イオンファンタジーはイオングループに属するアミューズメント企業で、イオンモール内にある「モーリーファンタジー」などのファミリー向けアミューズメント施設を運営している。同社 グランドデザイン本部 デジタルコミュニケーショングループ ゼネラルマネジャーの山下和之氏によると、そもそも専門のCRMチームが立ち上がったのは2022年のことだ。

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株式会社イオンファンタジー グランドデザイン本部 デジタルコミュニケーショングループ ゼネラルマネジャー 山下和之氏

 「CRMを進めるにあたり課題は大きく2つありました。1つ目はモーリーファンタジーでは、クレーンゲームや乗り物などに100円硬貨を投入して遊ぶゲーム機を提供しています。それぞれのゲーム機が独立していることから、お客さまがいつ、いくら使って遊んだという行動データを取得することが難しいという課題です。2つ目は会員の属性データを集めるためにアプリを開発しクーポンを配信することでアプリ会員を集めていましたが、アプリをダウンロードして会員登録をしてくれるお客様が少ないという課題がありました。

 当社施設はファミリーの利用が多く、幼児、小学生、中学生、高校生と子どもが成長する中、常に遊び場として選んでいただけるようにするにはどう働きかけるべきか、会員数をどのように伸ばしていくか、改めて戦略を見直す必要がありました」(山下氏)

 そんな同社が選択したのは、自社アプリを止めることだった。「モーリーファンタジーをご利用いただくお客様は『買い物や映画のついでに遊ぶ』というお客様も多いため、登録も簡単で来店した時に使いやすいLINEがお客様にとって最適なのではないかと考えました。またミニアプリなど様々なツールとの連携が簡単でお客様のニーズに合わせたサービスを提供しやすいというのもLINEへの移行を選択した理由です」と山下氏は話す。

施策設計から成果分析まで「Mygru(マイグル)」を活用

 こうして注力チャネルを自社アプリからLINEに切り替えたイオンファンタジーは、2024年3月にLINE公式アカウントをリリース。店舗内で地道に友だち集めを展開し、1年間で120万人の友だち数を獲得、ブロック率は8%台という成果を出している。こうして収集したファンベースを基にアンケートを展開するなど、今まさにマーケティング活動を進めている最中だと言う。

 イオンファンタジーのLINEを通じたマーケティングにおいて要となっているのが、LINEミニアプリ、そしてギックスが提供するマーケティングツール「Mygru」との連携だ。

 山下氏とともに登壇したギックス Data-Informed事業本部 Mygru Div.の小川有奈氏は、Mygruについて次のように説明する。

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株式会社ギックス Data-Informed事業本部 Mygru Div. 小川有奈氏

 「Mygruは、オフライン・オンラインの行動データを可視化・分析し、顧客理解と最適化のサイクルを実現するマーケティングツールです」(小川氏)

 たとえば具体的な使い道の1つが、ミッションクリア型コミュニケーションだ。ユーザーに対して『3つの異なる店舗で買い回りをする』『2種類の動画を視聴する』といったミッションを設定し、それをクリアしたユーザーにインセンティブを付与、その後ユーザーがどのような行動を取ったかを追跡してそのデータを蓄積し、分析ができるのだと言う。

 イオンファンタジーも、全国400店舗においてサービス利用の促進や、サービスを訴求する動画視聴を促し、ユーザーの来店行動を促進した。実際に展開された施策は2つある。

サービス認知度&来店頻度アップ!2つのLINE活用施策

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 施策の1つは、制限時間内にゲームを遊び放題で利用できる「よくばりパス」の利用促進、再来店促進施策だ。「よくばりパス」を使ってスタンプを3個獲得すると、次回使える「よくばりパス」30分無料クーポンをプレゼントした。

 もう1つは、2本の動画を視聴するとインセンティブがもらえるというものだ。「よくばりパス」の認知拡大をめざした訴求動画と、モーリーファンタジーのキャラクター「ララちゃん」が子どもたちの夢をかなえる取り組み「ララ夢」の動画を2本視聴すると、メダルやクレーンゲームの1回分無料プレイなどお得なクーポンを付与した。

 これら「スタンプ」「視聴回数」の達成はMygruで管理。裏側でLINEの識別子を基に個々のユーザーの行動を認識しており、どのような行動変化につながったかを可視化した。

 「よくばりパス」の利用促進施策では、クーポンを獲得したユーザーのうち77%が再来店し、実際に「よくばりパス」の30分無料クーポンを利用した。つまり利用促進・再来店促進という2つの目的をほぼ達成できたわけだ。

 もう1つの動画視聴によるサービス認知度向上についても、2ヵ月間の中で約2万5,000人が動画を視聴したという成果が出ており、認知度向上という目的に対してしっかりとした成果が得られたと言う。

 こうした成果を得て、イオンファンタジーでは引き続きギックスとともに、MygruとLINEを活用した施策展開に注力していくと山下氏は語った。

継続購入が伸長!有効性を左右する「データ連携」

 LINEのマーケティング活用に注力する企業がある一方で、チャネルとしてどう活用するべきかを悩む企業は少なくない。LINE公式アカウントを開設したのは良いものの、画一的なメッセージ配信をしているだけで、売上拡大やエンゲージメントの維持・向上に至っていないケースは散見される。

 CAFEセッション「1st Partyデータ活用の新潮流:LINEのデータとCRM統合で実現する新しいマーケティング」では、まさにその点に焦点が当てられた。登壇したのは、LINEヤフーのテクノロジーパートナーであり、LINEの活用コンサルティング事業を営んでいるクウゼン 執行役員 COOの中里航平氏、LINEヤフー コーポレートビジネスカンパニー ビジネスデザイン統括本部 DXソリューション本部 DXディレクション部 部長の奥亮介氏だ。

 奥氏によると、企業からLINEヤフーに寄せられる質問の中でも「顧客データをどうやって取得するのか」「どのように活用すれば良いか」の2つが非常に多いと言う。

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LINEヤフー株式会社 コーポレートビジネスカンパニー ビジネスデザイン統括本部 DXソリューション本部 DXディレクション部 部長 奥亮介氏

 マーケティングに向けて顧客データを取得するチャネルは様々だが、基本的には自社WebサイトやECサイト、ネイティブアプリが主軸となる。これに加えて、LINE公式アカウントやYahoo! JAPANなどを含む様々なオンライン接点でのデータ、店頭・イベントなどのオフライン接点で得たデータもデジタル化され、蓄積されていく。「こうして収集したデータを、LINEにどのように反映してマーケティング活動を進めていけば良いか、その転換手段に悩まれている企業は非常に多いと感じています」と奥氏。

 このファーストパーティデータとLINEの“接点”となる手段を提供しているのがクウゼンだ。同社の中里氏は「CRMのファーストパーティデータとLINEを組み合わせれば、より大きな成果を生み出せます」と語り、事例を挙げた。

 ある浄水器メーカーでは自社のファーストパーティデータとLINEを組み合わせ、カートリッジの継続購入施策を実施。すると、これまでLINE経由ではほとんど発生しなかったカートリッジの売上額が、一気に「8桁規模」の売上まで成長したと言う。どのような施策を行ったのか?

売上に効いた施策設計とは?「既存データ×LINE」の事例

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株式会社クウゼン 執行役員 COO 中里航平氏

 元々その浄水器メーカーでは、浄水器購入者の個人情報や購入品をCRMで管理していた。そしてLINE公式アカウントの追加案内を行う際は、購入した浄水器の種類やカートリッジの交換サイクルをアンケートで自己申告してもらっていたと言う。そのため、回答はするものの交換時期を誤って認識していたり、そもそも回答しない購入者が多数いたりなど、データが不十分で良いコミュニケーションを取れなかった

 そこで、この浄水器メーカーが行ったのは、購入者がLINE公式アカウントの友だちをする時、アンケートでメールアドレスのみを入力してもらうという変更だった。そのメールアドレスをキーにして自社CRMに格納されている顧客データとLINEのIDを連携させ、顧客データに紐付くカートリッジの購入サイクルに合わせてリマインドを送る、という仕組みに変えたのだ。ただし、それにはCRMとLINE公式アカウントをAPIデータ連携することが必要であり、クウゼンが提供するLINE拡張プラットフォーム「クウゼン(KUZEN)」を導入、設計した。

 メールアドレスのみのアンケート入力に変更したところ、パーソナライズの精度が大幅に向上。購入者の入力負荷も軽減され、継続率もアップして売上が上がるという三方良しの結果となった。

 LINEとファーストパーティデータの組み合わせが有効なのは、こうした部品交換ビジネスモデルだけではない。ある人材紹介会社では、ユーザーにLINE公式アカウントの友だち追加を促す際に希望職種や給与などの条件をアンケートで取得している。裏では求人データベースとLINEをクウゼン(KUZEN)でAPI連携させており、アンケートの情報を基に該当する求人案件を抽出してメッセージで案内を送るという取り組みを実施している。

 そのほか、フィットネスジムやオンライン英会話サービスのように、トライアルから実際に利用を開始するまでの時間軸が長いサービスにもこの施策は有効だ。たとえばオンライン英会話の無料レッスンを受けたものの未入会のユーザーに対して入会を促すメッセージを送る、入会はしたものの最近になって利用回数が落ちているユーザーにクーポンを配布するなど、そのユーザーの状態をCRM経由で把握しながら施策を出し分けることで、LINEのコミュニケーションの精度が上がる。

 継続型のビジネスにとって、初心者をロイヤルユーザーに育てることは事業の根幹と言える。そのプロセスを、自社CRMとLINEをAPI連携して自動化させることで、工数をかけずにパーソナライズの精度が上がり、担当者の負荷も大幅に軽減させながらビジネス上の成果を上げられるわけだ。

LINEの真価発揮を阻む2つの共通課題と打開策

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 ただ、CRMにあるファーストパーティデータとLINEを連携させるにはいくつかハードルがある。どのデータをどのように活用し、どんな施策を打つべきなのか。その仕組みをどのように構築するのか。多くの企業が悩むのはこの2点だ。

 中里氏は「多くの企業が悩むまさにその領域がクウゼンの得意分野です」と話す。API連携を司るKUZENは、よく企業で利用されている主要データベースに対応しており、迅速にシームレスなデータ連携の仕組みを立ち上げられる。そのうえで、どのデータを活用してどのような施策戦略を打つかについては、豊富な実績を基に丁寧なコンサルティングで対応すると言う。一歩進んだコミュニケーションを実現してビジネス成果を上げるために、ファーストパーティデータとの連携施策は鍵となる。

 いずれにせよ、LINE公式アカウントの活用にはまだまだ伸びしろがある企業は多いようだ。

※記載の役職・所属は記事公開当時のものです

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

提供:LINEヤフー株式会社

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2025/07/14 10:00 https://markezine.jp/article/detail/49196