ネガからの解放、文化的なステータスにも。調査から見るSpotifyの価値
SpotifyがZ世代にとって単なる音楽視聴ツールを超えた存在であることは、同社が毎年実施しているZ世代に関する調査「Culture Next」でも明らかになっている。セッションでは池田氏とともに登壇したスポティファイジャパン田村氏が調査を基に説明した。

特に注目すべきは、日本のZ世代の74%が「Spotifyはドゥームスクローリングに対する究極の解毒剤だ」と考えているという結果である。「ドゥームスクローリング」とは、インターネット上でネガティブな情報を無意識に閲覧し続けてしまう現象を指すが、Spotifyがこのような問題からの解放手段として機能しているのだ。
そして、SpotifyはZ世代にとって学習ツールにもなりつつある。日本のZ世代のうち42%がポッドキャストは他メディアよりも信頼できると回答していると言う。
「私もよくポッドキャストを聴きますが、話し手との距離が近くよりリアルで、深く掘り下げられた情報や専門家の“本音”を聴いている感じがします」(スポティファイジャパン田村氏)
さらに、日本のZ世代の30%が、テレビよりも、ポッドキャストを聴くことに、より高い文化的ステータスを感じていると言う。Spotifyでポッドキャストを聴くという行為自体がZ世代の中である種のステータスになっているとも言えるだろう。
他にも、Z世代は音楽を「聴く」だけでなく、「見せる」「シェアする」世代であり、「仲の良い人とプレイリストを共有して通学時間で使っている」という調査内でのコメントからもわかる通り、音楽を通じたコミュニケーションツールとして活用されている面も見られる。
このZ世代の特性に着目し構築されたのが、グローバルで展開されたコカ・コーラ×オレオによるキャンペーンだ。こちらでは、「Bestie Mode(ベスティーモード)」という体験型広告が活用された。

製品に付いているQRコードやSpotifyの広告に表示されるQRコードをスキャンして「Bestie Mode」を起動すると、「親友のカラオケの定番曲は?」や「親友が盛り上がる曲は?」といった親友の音楽的嗜好に関する質問が表示される。ユーザーがこれに答えていくと、その回答とユーザーのストリーミング履歴を基にパーソナライズされたプレイリストが完成。もちろん完成したプレイリストは親友と共有して楽しめる。Z世代特有の音楽を共有するカルチャーをいち早く取り込んだキャンペーンだった。
本キャンペーンはアメリカを含め50カ国以上(日本は対象外)のマーケットで展開され、成功を収めたという。
セッションでは、池田氏が日本におけるSpotifyを活用した具体的な施策も共有した。
「い・ろ・は・す」のブランドリニューアルキャンペーン
「い・ろ・は・す」のブランドリニューアルキャンペーンは、音声、動画、スポンサードプレイリストなど、Spotify上で利用可能なほぼ全ての広告メニューが戦略的に活用され、オーディエンスと親和性の高いクリエイティブを用いて展開された。新しい広告メニュー、1日予約型の「ホームページテイクオーバー」では、Spotifyのホーム画面にインパクトを持って広告を掲載できる。このメニューを用いて、藤井風さんの楽曲を使用したCMと連動させ、Spotifyユーザーが最初に目にする場所でブランドメッセージ「きっとあしたも、いい感じ」を効果的に訴求した。
また、本キャンペーンではアーティスト別のプレイリスト「This is」シリーズにおける、藤井風さんの「This is 藤井風」にスポンサード。既存のプレイリスト体験の中に自然にブランド要素を組み込むことで、ファンにとって違和感のない形でメッセージを届けるようにした。
「Z世代は押し付けがましい広告を嫌う傾向があります。そのため、親和性の高いクリエイティブを配信しつつ、適切な距離感を保ったメニューを選定しました。Spotifyでは音声、動画、プレイリストのタイアップやインタラクティブな体験を提供できるので、様々なメニューをうまく使いこなす事で効果的な場になると考えています」(日本コカ・コーラ池田氏)