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第8回 Web2.0以降のデザイン・プロセス(後編)

組織というインタラクティブ・システム

 この構図は、企業のマーケティング活動と似ているのではないでしょうか。企業は刻々と変わる市場環境において常にマーケティング活動を最適化していく必要があります。競合企業の動向、新規参入者による市場の変化、顧客の嗜好やコスト感覚の変化など、市場を変化させる要因はさまざまです。そうした変化が起こる市場においては、以前売れていたものが突然売れなくなっても不思議なことではありません。こうしたことから、企業組織そのものがれっきとしたインタラクティブ・システムであることがわかります。

 

 こうした視点に立つと、シックスシグマにおける「DMAIC」の思考プロセス、Define(定義)→Measure(測定)→Analyze(分析)→Improve(改善)→Contorol(管理)が、先の「ISO13407」の人間中心設計プロセスとほぼ同型であることにも気づきます。どちらも最初に何を行うのかの定義があり、「測定」=「利用の状況の把握と明示」「分析」=「ユーザーと組織の要求事項の明示」と続き、4番目の過程に実際の「改善」=「設計による解決案の作成」が来ます。最後の「管理」と「要求事項に対する設計の評価」だけが少し異なります。DMAICにおける「C」は、そこまでのプロセス全体の管理においても継続されるという統合的な視点が含まれるのに対して、ISO13407の場合は、統合的な視点そのものはプロセス自体に明示され、最後の過程では評価のみが切り出されている形です。

「デザイン」という言葉の持つ意味の変化

 こうした視点に立てば、企業組織に継続的な改善が必要であるのと同様、Webサイトにおいても継続的な改善を行うことで、ユーザビリティやマーケティング効果の改善が可能になります。そうでなければ変化するWeb環境に対応し続けることも難しいということがわかるのではないでしょうか。

 

 Webは現在、リアルな市場とパラレルに存在するもうひとつの市場環境としての地位を高めつつあります。企業は今後、自社組織の体制や戦略を市場の変化に合わせて再設計するのと同様に、Web環境の変化に合わせてWebサイトのデザイン、ユーザー経験のデザインそのものを随時再設計し続ける必要が増してくるでしょう。そのとき、これまでWebサイトの開発と運用(イニシャルとランニング)という形で区切られていた概念モデルはあまり有効ではなくなってくるはずです。それに代わって「ISO13407」の循環的なデザイン・プロセスのようなモデルの有効性が増し、「デザイン」という言葉が持つ意味合いも変化してくるのではないかと思います。

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この記事の著者

棚橋 弘季(タナハシ ヒロキ)

芝浦工業大学工学部(建築学専攻)卒。マーケティング・リサーチ、Web開発等の仕事を経て2003年より株式会社ミツエーリンクスに。現在はWebを使ったマーケティングに関する企画や自社サービスの開発に従事。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2007/02/09 16:30 https://markezine.jp/article/detail/711

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