ライフスタイルの変化により表面化してきたECとカタログ通販のバッティング
カタログのような見せ方にこだわりがある一方、ユーザー側のライフスタイルが変化していることもフェリシモは理解している。
新しいところでは、iPhone/iPadの普及が目覚ましい。それに合わせてフェリシモはiPhone/iPad向けのeカタログを制作。eカタログの閲覧数、そしてiPhone/iPadからのトラフィックは順調に毎月伸びてきているという。
「まだ母数として多くはありませんが、お客様の数は確実に増えています。利用頻度も高いです。iPhone/iPadはパソコンを起動するよりも速くサイト閲覧に移れますから、利用頻度が高くなっているのではないでしょうか。主婦の利用も多いように思われます」(島氏)
またECが生活に浸透するにつれて、消費行動にも変化が生まれていると島氏は指摘する。
「以前はECとカタログ通販を、お客様は分けて考えていらっしゃいました。どちらかと言えば、バッティングしていたのはリアル店舗とEC。店舗で商品を見てネットでオーダーするお客様が増えてきたと問題視されていました。
それが最近では、かなり複合的にクロスオーバーしてきています。『カタログ通販で月に7千~1万円分商品を買っていたけれど、今月はECでこれだけ使ったから、カタログの分を減らそう』と考える人が現れ始めているようです」(島氏)
ECサイトと競っていくためには、当然あるべき機能がないと新規のユーザーは困ってしまう。あるべき機能は提供していかなければ。アルファスコープ導入の背景には、消費行動の変化によるフェリシモのそんな危機意識もあったのかもしれない。
必要な情報はクロール収集 ― ワードクラウドによる検索機能を手間なく導入
ところが、いざECサイトと同程度の検索機能を提供しようと考えた時、フェリシモのビジネスモデルが災いした。オリジナル商品を作って顧客に届ける。その間、詳細なサイズや商品の色など、細かな商品データをインデックス化して管理する必要がないため、フェリシモには検索する際に必要となる商品データが不足していたのだ。
「Googleに商品データを提供したり、Amazonに出品したりといった機会がありました。外部のサービスと比べてみて、初めて自社が世間と違うことに気が付きました。本来あるべき情報が無い。そのギャップを感じています」(島氏)
検索用のシステムを普通に一新していたのなら、「必要なデータをどうやって収集するのか」「既存のワークフローに手を加えるのか」等、検討事項が多く厄介なことになっていたかもしれない。
だが幸いにも、アルファスコープの導入に関しては、検索用データが不足していても問題がなかった。既存商品情報ページのクロールだけで必要な情報は集めることができるからだ。フェリシモ側の手間は、ほとんど掛からずに導入できたと島氏は振り返る。
「どちらかと言えば、苦労したのは操作性の部分です。Ajaxを使い、ページ遷移無しで検索結果リストを変えられるようにしました。体感的には、5倍くらい速く検索できるように感じてもらえるようになったのではないでしょうか」(島氏)