購入率だけでなく客単価もアップ! 伴走型の業務スタイルが功を奏した
奥谷:想定していなかった成果も出ました。購入率だけでなく、客単価も上がりました。2010年に比べて約16%も向上しました。なぜかと思ったら、RFM分析で、顧客ランクがアップした人が18%もいたんですね。下がった人が11%だから、全体で7%は上がった計算になります。
平原:「リピート購入」の考え方を変えたのが良かったのでしょう。これまで一度購入した商品は推奨していませんでしたが、特定の商品をリピート購入する人が意外に多いことが分かりました。
奥谷:猫草とかね。「猫草クラスター」と呼んでいるのですが(笑)、そんな商品を継続購入されている方がいるとは、知りませんでしたよ。この数か月で多くの気づきを得ることができたのは、ALBERTの技術のみならず「伴走型」の業務スタイルによるものでは、とも感じています。
――「伴走型」つまりパートナーとして一緒に走り続けるということでしょうか?
奥谷:マーケティングは、仮説検証を経ないと結果にたどり着きません。データを持ち帰り、分析したものを納品する「納品型業務」ではなく、「伴走型」の業務スタイルでないとPDCAが回らないんです。ALBERTの担当の方とは週に一度打ち合わせをしているのですが、隔週で新たな仮説を提案してもらいました。
ビッグデータの時代に入り、今後のマーケティングにはデータ分析が必要不可欠になります。私も含めてマーケターはITに明るくない人が多いのですが、そこは経験を通じて学ぶ必要がある。ALBERTとの打ち合わせのおかげで、私たちも、直感ではなく定量的に議論できるようになりました。
平原:ありがとうございます。当社の仮説を、スピード感をもって実行して下さったので助かりました。
奥谷:ALBERTの技術やサービスは、「メールマーケティング」の部類に入るのかもしれません。でも、欲しい商品を察してご紹介するという行為は、お客さまとの関係性をつくる行為に他ならない。私はメールマーケではなく、CRMのあるべき姿を学ばせてもらったと思っています。
「フロー」のデータを「ストック」に変える
――今後は、両社でどのような取り組みを行っていくのでしょうか。
奥谷:ビッグデータの分析も視野に入れようかと考えています。たとえば弊社には、「持ち運びできるあかり」という商品があります。充電器から持ち上げるとあかりが灯るという商品ですが、サイトに寄せられたコメントから察するに、女性が買ってお子さんの枕元でご利用いただいているシーンが見えてきました。いわゆる、テキストマイニングですね。
平原:オンライン上のコメントやつぶやきまで分析すると、新たな打ち手も見えてきますね。
奥谷:でも、むやみに着手しても情報に埋もれるだけです。まず何を分析したいのかを明確にすること、ソーシャルメディア等で流れる「フロー」のデータを「ストック」に変えることが重要だと感じています。
たとえば、商品について口コミができる「My MUJI」では、口コミをした方に「MUJIコイン」を差し上げています。コインはソーシャルゲームで使えるので、顧客データが溜まります。ツイッターのようにさらさらと流れていく「フロー」データではなく、ゲームコーナーのような「池」をつくることで、ストック型のデータを溜めていく。これがビッグデータ分析への第一歩だと考えています。
平原:当社では、リアル店舗の購買データ分析にも力を入れています。今後はリアルではどのような購買がなされているのか、そこにオンラインとの違いはあるのかを知り、さらにお役に立てれば嬉しいです。