動画を見た人の0.74%が検索行動に/マウスコンピューター
そして、2つ目として「マウスコンピューター」の事例が紹介された。目的は動画広告による新規のユーザーの獲得(購買)。View Through Search(ビュースルーサーチ:動画広告を見た後の検索行動/以下、VTS)を中間KPIとして設定し、動画広告からユーザーにどんなメッセージが伝わったのかを測定した。
オムニバスが提供するアトリビューションツール「pandora」とTubeMogulのビデオDSPをインテグレーションし、動画が配信された後のユーザー行動のトラッキングを行った。その結果、完全視聴割合は62.5%に。さらに42.7万インプレッションの中で3,146件、割合として0.74%が検索行動を取ったことが明らかになった。このVTSレートは動画のクオリティによって大きな差が出やすく、オムニバスの案件の中でも過去最高の値だという。さらにVSTを指標として配信サイト別での最適化を実施し、さらに動画配信とバナー配信を同時に最適化することで、CPA(顧客獲得単価)を下げることにも成功した。
「直接的な顧客獲得を目的とした施策はオムニバスにとっても初めてのことであり、そこで高い効果が得られたということで、今後の動画広告の活用法の1つとして可能性が広がった」と山本氏。そして、この2社の事例を通じ、その成功の秘訣は「目的を明確にしたうえで使用するソリューションを設計すること」「クリック、コンバージョンだけでなく動画を見せることに対する効果検証を行うこと」だと語る。
再生回数900万回超でブランド認知効果大/日清カップル―ドル
オンライン動画はシンプルな動画広告としてだけでなく、コンテンツとしての魅力を活かすことで様々な可能性を秘めている。山本氏はここで、大きな話題となった日清カップヌードルの動画広告を紹介。武者姿の若者がブラジルで素晴らしいリフティングを見せるという大きな話題となった動画で、わずか数日のうちに200万回再生された。現時点での再生回数は900万回を超えている。この動画コンテンツにはほとんど商品が登場しないものの、そのブランド認知効果を鑑みると広告としても無視できないだろう。
つまり、企業側にイニシアチブがあり、コストをかけて配信コントロールを行うことで閲覧を保証する「動画広告」もコンテンツとしての魅力を増せば、十分に強いエンゲージメントを実現できる。逆にユーザーが見ようとしなければ見てもらえない「動画コンテンツ」もコンテンツとしての魅力があれば、コストをかけずに閲覧が増え、効果が上がる。
こうした考察から、山本氏は購買行動からみた動画コンテンツの可能性を3つに整理。気づきや興味関心をもってもらうフェーズでは「カップヌードル」のような不特定多数のユーザーにとって魅力的でシェアしたくなるような動画、そして商品の特性や使い方にフォーカスした内容で購買に直結させる動画、そしてもう一つ、購買後の使い方など使用シーンを意識したより具体的な内容に基づく動画があるという。それらを目的に合わせて活用することで、より高い広告効果が得られるというわけだ。
最後に山本氏は改めて、動画広告活用のハードルが下がっており、成功事例も出てナレッジも蓄積してきたことで、広告への動画活用の好機であることを強調。オムニバスとして事例などのノウハウ提供を含め、動画活用の環境を整備していくことを宣言し、講演を終えた。