テレビ、PC、スマートフォンは同じ“スクリーン”
MZ:なるほど、純粋想起率が高く指名検索されるブランドは、コンバージョン率も高そうです。
友澤:そうなんです。TVCMはたしかに記憶に残す力があり、幅広い層へのリーチが可能です。つまり認知は上がるのですが、ネット上の行動まで促せない。そこを、同時期にYahoo! JAPANのトップ画面で流し、すぐ隣りの検索窓で検索へ、という行動まで促すことを意図しました。
三和:これまでも、プレミアムビジョンを使った自社サービスのプロモーションにおいて、テレビと組み合わせると相乗効果があるという結果は得られていました。ただ、いずれもある程度の知名度があるサービスだったのが、われわれとしては課題でした。
通常、新商品や新サービスは誰も知らない状態からスタートするので、認知率が課題のケースで「行動を促せる」という結果を得てLOHACOに寄与しながら、ヤフーとしては今後の事例にできればと考えました。
MZ:今回は、TVCMと同一の動画素材をプレミアムビジョンでも活用していますが、どのような考えがあったのでしょうか?
友澤:テレビもPCもスマートフォンも、同じスクリーンです、今、一日の中でこれら“トリプルスクリーン”に接触している時間はとても長くなっています。そこで今回は、トリプルスクリーンで可能な限りLOHACOに触れてもらい、印象を深めることを意図したので、同じ素材にしました。目的によっては、別の素材のほうが適していることもあると思います。
テレビのみに比べてテレビ×ネットは購買喚起1.4倍に
MZ:では、実際の結果を教えていただけますか?
三和:今回はクロスメディアキャンペーンの効果測定を行うため、TVCM接触とネット広告接触の両方を計測できる調査パネルを使いました。まず課題だった認知率ですが、40%弱がキャンペーン後には65.5%にまで上がりました。
接触頻度は、当然ながらクロスメディアのほうが上がりました。5回以上接触者の割合は、TVCM(1500GRP)のみだと5割前後、プレミアムビジョンを含めると6割以上。合計接触数が4回以下のユーザーに対して、5回以上だと広告認知率が1.4倍になったことから、クロスメディアによる接触数増が広告認知の向上につながっていると分かります。
MZ:テレビのみと、テレビ×ネット接触の効果は変わりましたか?
三和:変わりました。TVCMのみ接触の場合とクロスメディア接触の場合の広告効果指数を比較すると、広告認知は1.1倍、興味喚起と利用意向は1.2倍、そして実際に検索、LOHACOのページの来訪、購入など何らかのアクションをとった人は1.4倍となりました。
岩津:事実、1週間のプレミアムビジョン展開中に、当時の1日の受注金額が過去最高になりました。さらに、キャンペーン後も認知率などが下がらず、この記録も今現在ではすでに塗り替えている状況です。