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“その場”“その時”の感情や気持ちを計測する、楽天リサーチ「Real Timeアンケート」とは?

 デジタルマーケティングの強みは、ユーザーの行動履歴をデータとして取得しやすいことにあるが、デジタル上ですべてのデータを取得できるわけではない。たとえば、ユーザーがランディングページに到達した瞬間の感情そのものは、前後の遷移から推測はできてもデータには残らない。楽天リサーチは、そのリアルタイム性に着目。新アンケートサービス「Real Timeアンケート」を立ち上げ、好評を呼んでいる。

アクセスログベースで展開する、楽天リサーチの3つの調査方法

 楽天リサーチは、年間で国内約1,000社の企業・団体を支援している調査会社だ。同社は、アクセスログの活用から生まれた「楽天アクセスログ・リサーチ」と呼ばれるサービスをリリースし、リサーチ手法に新たな風を呼び込もうとしている。

 「楽天アクセスログ・リサーチ」を構成するサービスは3つ。1つ目が、計測タグを設置し、当該サイトやネット広告の接触ユーザーに対してクッキー情報をもとに後追いアンケートを実施する「Web Tracking Panel」(アクセスログモニター数は2016年4月時点で約84万人)。

 2つ目が、Webサイトへの来訪ユーザーにアンケートを行う「Real Timeアンケート」。ユーザーが該当ページに来訪したタイミングでリアルタイム調査ができる。後ほど詳述するが、アクセス解析事業を展開するサードパーティートラストと提携し生まれた新サービスだ。

 3つ目が、楽天リサーチのモニターデータやアンケートを組み合わせ、Webサイト訪問前後の行動を可視化するサービス「Web Log分析」。蓄積済みのデータを活用するため、即時の分析や調査を強みとする。

 今回は、2つ目の「Real Timeアンケート」に焦点を当て、リアルタイム調査を実例とともに見ていく。2010年にサービスを開始した、一般ユーザーが公開するレシピサービス「楽天レシピ」でReal Timeアンケートを導入したところ、顕著な成果をあげたという。

左から楽天株式会社 アドソリューションズ事業 レシピグループ 蔵川弓子氏、楽天リサーチ株式会社 営業企画部 毛利光太郎氏、株式会社サードパーティートラスト 代表取締役 上村謙輔氏
左から楽天株式会社 アドソリューションズ事業 レシピグループ 蔵川弓子氏
楽天リサーチ株式会社 営業企画部 毛利光太郎氏、株式会社サードパーティートラスト 代表取締役 上村謙輔氏

低コスト、短期間でのリアルタイム調査ができる強み

 楽天レシピは、料理レシピサイトとして月間約900万人が利用するサービスだ。一般ユーザーから寄せられたレシピ数は121万件(2016年11月現在)。人気レシピのランキングも会員登録不要・無料で情報公開している。

 楽天レシピが、Real Timeアンケートを導入したのは、低コストかつ短期間でリアルタイム調査ができる即時性があったからだという。レシピコンテストにおける参加ユーザーの属性や、サイト訪問者の態度変容の把握が調査の目的だった。

 「楽天レシピでは、8カ月連続企画として、“3ダウンレシピコンテスト”を行っています。これは、文部科学省が10年後の理想とする社会を想定した“COI(center of innovation)STREAM”と呼ばれる国家的プロジェクトの一環で、弘前大学と連携しながら、高血圧予防など食を通じた健康作りの取り組みです」(蔵川氏)

「高血圧予防に3ダウンレシピ」
「高血圧予防に3ダウンレシピ」

 油(1Down)と砂糖(2Down)を抑制した料理だと、自然に塩分の摂り過ぎが防げる(3Down)という人間の摂理に基づいて、ユーザーから3ダウンとなるレシピを募っている。

 「元々レシピに投稿するユーザーは、全閲覧者の約1%です。3ダウンレシピコンテストにも毎月約200のレシピが寄せられますが、多くは投稿しない閲覧のみのユーザーです。閲覧だけのユーザーは、コンテストを支持してくれているのか? サイトを通して高血圧予防に対して関心を高めてくださっているのか? 本音を調査したかったのです」(蔵川氏)

 また、Real Timeアンケートを通じて、実際のユーザーの声、定性的な内容をそれぞれの組織で共有し、分析結果をより実感しやすくしたい狙いもあったという。通常、サイトの評価はPVやCVRといった指標で判断される。だが、日頃マーケティングに携わっていなければ、その数字が良いか悪いかピンと来づらい。

「Real Timeアンケート」の詳細をチェック!

 本記事で紹介した「Real Timeアンケート」のより詳しい説明や、楽天レシピが実施したアンケート回答者の属性などが収録された資料を公開しています。ぜひ、ご確認ください!ダウンロードはこちらから ※掲載終了しました

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“その場”“その時”の感情や気持ちを計測したい

 ここからは、改めてReal Timeアンケートの基本スペックについて見ていきたい。なぜ楽天リサーチは、サードパーティートラストと提携し、リアルタイムに着目したサービスをローンチしたのか?

 「楽天リサーチでは、“その場”“その時”の感情や気持ちを確認できる術を模索していました。たとえば、レシピの動画を観ている最中と3時間後とでは、感想を聞かれても、回答が変わると思うんです。新築や新車購入なら1カ月後でも感想を覚えられていても、Webブラウジングや動画閲覧の感想は後々まで細かく覚えていないものです」(毛利氏)

 既に楽天リサーチが提供している、計測タグを設置するWeb Tracking Panelには一定の需要がある反面、タグ設置後からクッキーデータが貯まるまでに時間がかかる。そこで着目したのが、リアルタイムでクイックな調査手法を実現できるサードパーティートラストの開発力だった。

 「サードパーティートラストでは、通常のモニターサービスと比べて安価で、タグ設置後にすぐ調査開始できるアンケートサービス“VoicePocket”を開発しています。来訪ユーザーにその場でアンケート(ニーズ)をうかがえる、他社サービスにはない特性が、楽天リサーチ様が求める課題感にフィットしました」(上村氏)

 そこで、サードパーティートラストの技術と、楽天リサーチのリサーチに関する知見や、グループの資産を強みに、導入から分析までを提供するリアルタイム調査を手がけることになった。

公開初日のユーザーの声も拾うことができる

 Real Timeアンケートを導入すれば、Webサイト(対象ページ)に来訪したユーザーが、どういう属性で何をどう考えているのかを確認できる。他社に先んじて、“あってほしいが、今までになかった”リアルタイム調査を実現したわけだ。

 「たとえば、キャンペーンサイトのリアルタイム評価に活用できます。サイトの立ち上げ当日からユーザーの評価が集められるので、想定ユーザー層が来訪しているか、内容が過不足なく伝わっているかなどを調査して、即分析すれば、翌日には改善を反映するといったクイックなサイクルが実現できます」(毛利氏)

 アンケートの質問構成について、今回楽天レシピと楽天リサーチで議論を重ね作ったが、通常は質問構成の段階から楽天リサーチが引き受けることも多いという。

 「極端なことをいうと、“何となくサイトへのリアクションが気になるなあ”程度の、ざっくりとしたリクエストさえいただければ、責任を持って最適なソリューションを提供します。

 Real Timeアンケートだと、ある程度アンケートの質問数を絞り込みながら、クライアントが聞きたいツボとユーザーが少ない負荷で回答してくれるボリュームの、ギリギリのラインに整えて提供します。目的や内容にあわせて、初回来訪者か3回目の来訪者かなど、出現条件の設定をカスタマイズし、PCとスマホ、アプリそれぞれで最適なUIで提供します」(毛利氏)

「Real Timeアンケート」の詳細をチェック!

 本記事で紹介した「Real Timeアンケート」のより詳しい説明や、楽天レシピが実施したアンケート回答者の属性などが収録された資料を公開しています。ぜひ、ご確認ください!ダウンロードはこちらから ※掲載終了しました

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アンケートが出てくるタイミングもコントロールできる

 アンケート画面のUIは2種類。ウェブサイトのユーザビリティに極力影響を与えないウインドウ型のUIと、ページ全体を覆い尽くすスクリーン型UIだ。楽天レシピは前者を採用した。

 楽天レシピの場合、完全に回答したユーザー分のデータを抽出する形で、完全回答率が3.31%。楽天リサーチの平均値では、インセンティブありで約15%が目安だといい、インセンティブを与えずに3%を超える回答率はかなり高い結果であることがわかっている。

 「通常の楽天レシピ内でもアンケートページを作っていますが、インセンティブを付けても回収数が低調で苦労することもあるので、回収数にも満足しています。

 それに、来訪直後のユーザーにいきなりアンケート画面が出てきても意味はないので、アンケートが出現するタイミングもコントロールできる点も納得の仕様でした。データ収集後、3営業日目安でクイックにデータ分析までしてくれるので、広くビジネス活用しやすい手応えを得ています」(蔵川氏)

 「回答率は、ウェブサイトによって大きく異なりますが、ウィンドウ型で1~5%ほど。スクリーン型で、5~10%ほどとインセンティブ無しとしては高い回答率を保てていると思っています。楽天レシピ様のようにユーザーに継続して利用される”愛着を持たれるサイト”ほど、回答率が高くなる傾向があります」(上村氏)

リサーチでわかった結果
リサーチでわかった結果

 ちなみに、3ダウンレシピを通じて高血圧予防に対する興味や関心についての変化を尋ねたところ「非常に興味・関心が高まった」が12.0%、「興味・関心が高まった」が39.3%、「どちらともいえない」が36.2%、「あまり興味・関心が高まらなかった」が6.5%、「まったく興味・関心が高まらなかった」が6.0%だったという。他に、同一の質問に対して「年代別」「本人もしくは家族が高血圧かどうか」「高血圧への関心の有無」といった条件別でもデータが算出できる。

現実的な価格感で、トレンド探しやブランドリフト調査が可能に

 サービス名の通り“リアルタイム”を調査し、素早い分析という強みも重なって、Real Timeアンケートを通じた今後への展望は開けやすい。各社がReal Timeアンケートから得た発想や考え方も実践向きだ。

 「たとえば、通常は事後にしか効果が見えにくいwebキャンペーンでも、キャンペーン中にReal Timeアンケートを実施すれば、リアルタイムでのユーザーからの評価を元にサイトやメッセージングの改善ができます。また、ECサイト等で活用すれば、自社の競合となる製品や追加で購入を検討している商品を把握することもできます」(毛利氏)

様々な活用の可能性がある
様々な活用の可能性がある

 「楽天レシピだと、食の流行やトレンドの兆しを探るのに最適かもしれません。世の中の実際とサイト内では流行の中身がずれていたりします。楽天レシピならではの流行の兆しを見つけたり、流行の兆しを証明するエビデンスに使ったりできそうです。特にオフラインの購買が中心という商材は、データログが残りづらいので、Real Timeアンケートの使いどころだと感じます」(蔵川氏)

 「従来の追跡調査が中身の深さを追求できるのに対して、Real Timeアンケートの即時性は、広告主のスピード感にも並走できます。本格的な調査だと100万円は超えてくる、という従来型の状況を一変し、桁が1つ少ないコスト感でスタートできるのも強みです。また、リアルな声を扱うからこそ、ブランディング広告に触れたか触れていないかで、購買の有無を測定するブランドリフト調査にも応用できます」(毛利氏)

 さらにReal Timeアンケートは、Google アナリティクスとの連携も可能で、日頃の解析ツールの延長線上でも利用できる。

 「これまでウェブ解析の”定量データ”と、アンケートによる”定性データ”は分断されていました。Googleアナリティクスへアンケートデータを送信することで、Aと回答した人がウェブサイト内でどう動いているか、といったユーザー心理に深く迫った分析が可能になります。」(上村氏)

 データや数字では追いかけきれないユーザーの感情を、どれほど確度高く迫ることができるか。その術を持っていることはサービス開拓の大きな原動力にもなる。

 「今後の展望としてはVoicePocketと楽天リサーチでCookieシンクさせ、Real Timeアンケート回答者の中から楽天リサーチモニター会員を抽出し追跡調査を実施したり、アンケート回答結果へ楽天リサーチが保有する属性情報を紐付けた分析の提供も検討しています」(毛利氏)

 かなり有力で現実的な選択肢の一つに、Real Timeアンケートがあげられそうだ。

「Real Timeアンケート」の詳細をチェック!

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/01/10 17:24 https://markezine.jp/article/detail/25582