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MA活用のポイントは、機械学習と人力の使い分けにあり

機械学習の使いどころ 「戦略」は人、AIは「戦術」

 機械学習が有効に使えるのは、マーケティング活動のどの場面においてなのだろうか。そもそも企業の施策は、戦略を策定し、戦術に落としていくことで作られる。たとえば、「売上の拡大」をゴールにすることが戦略策定であり、顧客単価・顧客数・顧客満足度などをKPIとして指標に設定し、いつ・どこで・何をするかという施策を立てることが戦術決定である。

 機械学習が役に立つのはこのうち戦術決定の部分にある。「何をゴールにするか」という戦略の部分はAIには決められないからだ。先ほどの例でいえば、人の手によって「売上の拡大」というゴールが設定されたうえで、KPIである「顧客単価を上げる」という具体的な施策を回していくときこそが機械学習による予測分析が意味を持ってくるタイミングなのだ。

 この機械学習を使うべき場面についてより詳しく見ていこう。林氏は、分析には構造把握・予測・最適化の三段階があると語る。

 一段階目の構造把握とは、現状を把握するための分析、または、全体構造を見る分析のことである。現状を把握するための分析の例としては、売上が月別にどうなっているのか、利益がどうなっているかを考えることが挙げられる。もう一つの全体構造を把握する分析とは、たとえば、顧客がいつどこに来てどの程度の金額を使い、何を買っているのかを考える分析である。

 二段階目は、前段の現状把握をもとに、今後実際に起こりうる未来を予測するための分析だ。あるイベント(購入・来店など)の確率予測や売上・来客数などの数値を予測するものなどだ。

 三段階目の最適化とは、二段階目で得られた未来予測をもとに、未来を最適化するための施策についての分析である。これを最適計算と呼び、予算や工数などのリソースに制約条件がある中で成果を最大化するための分析となる。

 これら構造把握・予測・最適化という3段階の分析のうち、構造把握は従来からの統計学が得意とする分野だ。機械学習が活用できるのは、二段階目の未来予測と、三段階目における施策の最適化のフェーズであると林氏は語る。

機械学習を実施すると何が得られるか?

 まず、予測したい指標(目的変数)と要因、考えられる要因群をまとめてデータを作り、予測したい指標を要因群で説明するモデルを作る。例えば、カタログの反応確率を予測したいなら、カタログ反応確率=0.05*年齢+0.008*購入金額+……というモデル式を全顧客に対して適用することでスコアリングを実施することができる。また、この処理の中で、予測モデルを構築できるだけではなく、結果をもたらしているトリガーとなるイベントや条件を発見できる。

 同様にして、顧客ロイヤルティ向上を目的とした要因発見を行うこともできる。突然解約した顧客を対象に、離脱確率を目的変数として教師付け※クラスタリングを実施する。そうして得られたクラスタを分析すると特徴がわかるので、その特徴に基づいて離脱を防ぐための施策を打つことが可能になる。

※教師付き:教師あり学習とも呼ばれ、機械学習の中の1種類。人間が正解パターンをいくつか提示したうえで、新しいデータが来た際にそれに対する正しい判断をさせるもの。その他に、「教師なし学習」、「強化学習」がある。

 たとえば、生命保険業界での活用をイメージしてほしい。離脱率が高く、入会日が比較的古いAというクラスタの特徴を見てみると、都心に居住し、家族がいる世帯構成の層であれば、「地方に引っ越したファミリー層」とみなし、地方在住の顧客にもメリットのあるようなキャンペーンを実施することで離脱を防ぐという施策につなげられる。

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この記事の著者

ヒロ88(ヒロハチジュウハチ)

ビジネスジャンルを中心に取材、編集を行なう。得意ジャンルは不動産開発、メディア開発。1988年生まれ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/05/15 09:00 https://markezine.jp/article/detail/26305

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