消費者離れを招く“不適切な”コミュニケーション
二つの“不適切な”コミュニケーションとは何か。
第一に挙げられるのは、各チャネルが個別に消費者とコミュニケーションを取ろうとする傾向だ。たとえば、「まったく同一のキャンペーン通知を、メール、LINE、SNSで同一の顧客に送付する」という失敗パターンがある。様々な顧客チャネルに対応し、接点を増やす試みは良いのだが、肝心の顧客のデモグラフィックデータや行動データを把握していないために、複数チャネルで同じ内容のメッセージを同じタイミングで立て続けに送ってしまうのだ。
チーターデジタルが毎年行っている「メール&クロスチャネルユーザー動向調査」によると、「複数チャネル登録をしていることにストレスを感じたことはどの程度あるか?」という問いに対して、31.7%のユーザーが「頻繁にある、またはたまにある」と回答したという。
しかもこの中の4分の1のユーザーが、「頻繁に送られてくるメッセージがストレスになり、企業との関係を絶った」と答えているそうだ。ユーザーとの接点を増やしたことが、逆に離反の原因になるケースといえる。
第二に、オンライン重視のコミュニケーションにより、リアルの場で販売機会を逸しているケースがある。遠藤氏は「オンラインは行動履歴や購買履歴など様々なデータを取りやすいので、レコメンドを送りやすく、顧客の反応も良いという大きな成果をもたらします。その一方で、オフラインのコミュニケーションがおろそかになり、顧客を失望させるケースも増えています」と指摘する。
確かに、オンラインで購入したお気に入りのアイテムと合う服を買いに店舗に行ったのに、すでに購入済みのアイテムを勧められたり、興味のないアイテムを紹介されたりしても購買には結びつかない。こうしたオンライン・オフライン間の情報のギャップが、コミュニケーション上の課題となっているわけだ。
MAツールで顧客コミュニケーションを改善できる理由
どうすればこれらの課題を解決できるのか。遠藤氏が解決策として挙げるのが、MAツールの活用だ。その理由は二つある。
ひとつは、顧客が求めるメッセージを適切なタイミングとコンテンツで届けること。これはコミュニケーションのありかたとしては当然のことかもしれないが、チャネルが多様化した現在、「認知・検討・購買」というステージの中で顧客がどのような状態にあるのか把握することは非常に難しい。
そこで、MAツールを用いて、顧客の購買履歴や行動履歴、属性情報を一元管理することに加え、メッセージに対する反応履歴を見ながら最適なコミュニケーションを探っていくことで、顧客との関係性を強化できる。
もうひとつが、オンラインとオフラインのデータを連係してコミュニケーションに活用できることだ。「顧客は、オンライン・オフラインに関係なく、あらゆる場面や接点においてシームレスに同じサービスが受けられることを無意識のうちに求めています。そこで、オンラインとオフラインで分断されがちなデータをMAツールで統合することで、顧客一人ひとりに応じた適切なコミュニケーションを設計できます」と遠藤氏は語る。そして、実際にMAツールを活用し、コミュニケーションを最適化できた事例もあるという。
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