SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

マーケティングを経営ごとに 識者のInsight

顧客と常に、密に接点を保つべくデジタルとアナログの両面で仕組みを構築

常に接点を保つ“エブリデイ富士通”

――1社でそんなに来られているとは、部門の広がりがよくわかりますね。

 ええ。それに、年に数百回開催するセミナーも、クラウドやIoT・ビッグデータ、モバイルといったいずれのテーマでも、非IT・現場部門からの参加が過半数を超えていました。さらにこの1、2年は福利厚生ではなく事業に直結するものとして“働き方改革”というキーワードが登場し、人事や総務の方にまで当社のソリューションを検討いただくような潮流も生まれています。

 そうした非IT部門で当社の営業がカバーできていないお客様が増える上に、ネットでの主体的な情報収集が進み、意思決定の直前まで、何なら意思決定自体もネットで行う場合も増加してきています。するとネットでの情報収集段階で候補に入っていないと話にならないので、この数年で急いでデジタルマーケティングを強力に進めてきたという経緯があります。

 イベントに来ていただいてもその印象は瞬間的なものなので、もっと日ごろから密にコンタクトを図りたいと、部内では“エブリデイ富士通”をコンセプトに日々のアプローチを続けています。

――なるほど。先ほどご紹介いただいたオウンドメディア「FUJITSUJOURNAL」は、JAAのWeb広告研究会が主催する「2015WebグランプリBtoBサイト優秀賞」も受賞されていますね。

 そうですね。私の本部内のデジタルコンテンツ部門が中心になって手がけています。以前は販促ツールも兼ねて、当社の動きをまとめた冊子を発行していたのですが、一旦休止していました。改めて自分たちで主導権をもってコンテンツ起点でのオンライン発信を始めたところ好評だったので、今度は「FUJITSU JOURNAL」を再編する形で、年4回の冊子の発行を再開しています。イベントで配布したり、再び営業が販促ツールとして活用したりしています。

組織横断プロジェクトで一貫したアプローチを実現

――そうした活動からも、営業との連携がうかがえます。多くのBtoB企業で「マーケティングと営業の壁」という課題を耳にしますが、御社ではどのように取り組まれているのでしょうか?

 そもそもデジタルマーケティングの実践自体、組織横断の推進プロジェクトで進めています。オウンドメディアやSNSなどの情報発信チャネル、また各種ツールが整った2015年10月の段階で、営業・SE・IT・マーケティングを横断したプロジェクトを立ち上げ、すべての顧客接点で一貫したコミュニケーションを展開することを目指しました。

 まず営業活動で得た情報や、イベントやセミナーへの参加状況、また以前から運用しているFUJITSU-ID という顧客プロファイルが22万件あるので、これらのお客様接点情報を統合してデータを一元化しました。以降はデータ分析と、それを元にしたMAによるシナリオ型プロモーションを実行し、リードを獲得し、中長期的な育成を強化してPDCAを回しています。

 営業との連携にはまだまだ課題も多く苦労しています。たとえばよくあるのが、営業にリードを引き渡す段階でのロストです。営業は営業で、自分たちの計画やタイミングで活動をしているので、マーケティングからホットリードを渡しても、うまくいかないことも多い。私も営業だったので事情はわかりますが、引き継ぎが難しいと双方のモチベーションも下がってしまいます。

 場合によっては、営業とマーケティングが最適に役割を分担し、営業が販売するケースに加え、マーケティングが販売までダイレクトチャネルで完了するケースも、もっとあってもよいかもしれません。

 昔はそうした活動に営業の理解を得るのは難しかったですが、徐々に変わってきましたね。それは、営業も前述のような顧客の変化を肌で感じているからだと思います。大手の顧客1社から200人も来ているなどという情報をシェアすると、自分たちのやり方を変えなければと実感します。ただ、部門横断のデジタルマーケティング推進を始めて2年弱になりますが、予定ではもう少し、成果が上がっている見込みでした。半年くらいは遅れている印象ですね。

次のページ
営業の意識や協力体制も徐々に変化してきた

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
マーケティングを経営ごとに 識者のInsight連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2021/02/26 17:59 https://markezine.jp/article/detail/27104

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング